「ニトリダイニング みんなのグリル」の「お、ねだん以上」
ゴールデンウィークが明けると、
一般の人たちは、
日常に戻っていく。
4月30日と今日、明日に、
休暇を入れていれば、
11連休となる。
だから5月10日の月曜日から、
完全に通常の生活サイクルが戻ってくる。
日刊新聞は5月2日の日曜日から、
5日のこどもの日まで、
夕刊の休刊が続いた。
そして今日の5月6日は朝刊が休刊。
新聞記者や新聞社の社員にも、
ゴールデンウィークが用意されている。
しかし小売業、サービス業の就業者には、
黄金週間の休暇はない。
将棋界では5月4・5日に、
名人戦七番勝負の第3局が指された。
愛知県名古屋市の亀岳林万松寺。
渡辺明名人(37歳)が、
挑戦者の斎藤慎太郎八段(27歳)に快勝。
渡辺は棋王と王将のタイトルを併せもつ三冠。
現在、おそらく最強の棋士だ。
シリーズ成績は2勝1敗で、
渡辺リードとなった。
この名人戦に、
藤井聡太王位・棋聖が登場するとしても、
最速で再来年である。
自ら高校を中退した藤井をはじめ、
将棋のプロ棋士にも黄金週間はない。
もちろん、
コロナ患者を受け入れている病院にも、
その医師や看護師の皆さんにも、
黄金週間はない。
警察官や消防署員、
鉄道・バスなど公共交通機関の運転士。
飛行機の操縦士。
宅配便のドライバー。
コロナ禍がなくても、
エッセンシャルワーカーの人たちは、
土日祝日も盆も正月も、
黄金週間もない。
感謝しなければならない。
商人舎流通スーパーニュースも、
連休中は配信を停止していた。
今日から再開したが、
コロナ感染ニュースが、
溜まっていた。
セブン&アイnews|
4/23~4/29グループ店舗・施設で50人の感染者
ヤマダデンキnews|
4/1~5/2に社員や委託先従業員など58名感染
ライフnews|
4/25~5/5に首都圏17名・近畿圏29名が感染
感染リスクの中で仕事する人たちに、
敬意を表したい。
日経電子版の記事。
「ニトリ、外食参入」
ニトリホールディングスが外食事業に参入。
バナーは、
「ニトリダイニング みんなのグリル」
低価格ステーキハウス。
店舗運営は子会社の㈱ニトリパブリック。
まず2店舗を開設。
3月13日に東京都足立区に、
「環七梅島店」
二トリ梅島ショッピングセンター別棟。
4月27日に「相模原店」
神奈川県相模原市。
ニトリのホームファッション店に併設した。
当面はニトリの集客力を活かして、
相乗効果を狙う。
しかし最終的には、
外食事業単独で利益が出せる経営とする。
そのために規模の拡大を狙う。
主力アイテムは500円のチキンステーキ。
ハンバーグ700円、リブステーキ990円。
持ち帰りサービスにも対応する。
品質の伴った低価格商品は売れる。
「利は売りにあり」
第1に食材は卸を通さずに調達する。
「利は元にあり」
将来は家具と同様に、
生産から販売までの一貫体制を目指す。
そのために多分、
ニトリは食肉製造業のスペシャリストを、
積極的にスカウトしているだろう。
ただし食材の調達は、
そう簡単に、短期間で、
うまくはいかない。
時間がかかる。
第2に店舗では、
ニトリの家具や食器を使って、
投資コストを下げる。
第3に低価格を実現するために、
ニトリのノウハウを活用する。
外食店舗の内装工事は、
社内のリフォーム事業専門部署が担う。
第4に不動産コストを下げるために、
全国約450店のニトリの敷地を活用する。
いずれも、
「利は内にあり」
ニトリは2021年2月期も34期連続で最高益更新。
外食店をニトリに併設すれば、
顧客には便利だし、滞在時間が伸びる。
イケアのフードサービス併設と同じ。
コストコのファストフードと同じ。
外食業界は新型コロナによって、
苦境のどん底にあると言ってよい。
しかしローコストオペレーションで、
損益分岐点を下げれば収益力は担保できる。
拙著『コロナは時間を早める』では、
第四章で「小売業態地殻変動」を整理した。
その結論の節は「食」を中核とした地殻変動で、
タイトルは「ティファニーで朝食を?」
図らずもニトリは、
ノンフードの強いフォーマットに、
フードサービスを、
コンバイン(結合)させる戦略を採った。
ニトリは将来的には、
アパレルの出店拡大も検討する。
その底流にあるのは、
エブリデーローコストであり、
エブリデーロープライスである。
「お、ねだん以上。」である。
似鳥昭雄さんの哲学が貫徹されれば、
成功への軌道を描いていることは確かだ。
〈結城義晴〉