結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年06月20日(日曜日)

「ブレイクスルー思考」の「過去の延長上に未来はない」

父の日の日曜日。

届いたプレゼント。
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ネーム入りタイトリストボール。
愛用のPro V1。
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このボールに記されたネーミングは、
一つひとつ手作業で作成されている。

ありがたい。

日経新聞「私の履歴書」。
今月は木瀬照雄さん。
TOTO元社長。

今日のタイトルは、
「ブレイクスルー」

福岡県の八幡出身の木瀬さん。
1947年生まれの団塊の世代。
鹿児島のラ・サール高校から、
京都大学教育学部へ。

そして東洋陶器(現TOTO)に入社。

現場で苦労を重ねながら、
1996年6月、株主総会で取締役就任。
49歳で経営戦略室長となる。

そこで出会ったのが、
日比野省三中京大学名誉教授。
その著作は『ブレイクスルー思考』
ジェラルド・ナドラー教授との共著。

この本の考え方は、例えば、
「今ある商品をどう改良すればいいかを
過去の経験からは考えない」

「これは何のためのものか」
目的を考え抜き、
出てきた結論をさらに
「何のため」と問うことを繰り返す。

そこから結論=理想の姿を導き出す。
「こんなものがいい」
「こんな技術がいる」

極端に言えば、
「こんなもの無くてもいい」
という結論になることもある。

「すぐに実現できそうなもの、
5年後、10年後、
もっと先までかかりそうな理想の姿、
と並べていくと、
未来からの視点で
新しい価値を提案できる思考が身につく」

ウォシュレットは、
このブレイクスルー思考から生まれた。

木瀬さんは語る。
「要するに根本を考え抜くこと」
TOTOでは「コンポン」と呼んだ。

97年春から、
ブレイクスルー思考がスタートした。
各事業部から5、6チームが参加した。
木瀬さんも新任取締役チームとして、
「家電量販店ルート開拓」をテーマにして、
ブレイクスルーに取り組んだ。

日比野教授は2週間おきに来社して、
ステップごとの指導をし、
宿題を出した。

TOTOは毎日、
コンポンと向き合って、
考え抜いた。

ウォシュレットチームの課題は、
「未来の理想のウォシュレット」。

自動開閉、自動洗浄、
簡単掃除、清掃除菌などは、
その結果として、実現していった。

「空飛ぶウォシュレット」は、
航空機向けとして結実した。

ナドラー&日比野教授の、
「過去の延長線上に未来はない」
これが木瀬さんの背骨になる。

「こうありたい」と描き、
未来からの視点で新しい価値を提案し、
実現していく。

「10年後の姿を描き、
そのためには5年後には、3年後には
ここまでやらなくてはいけない」

ジョン・F・ケネディの考え方と同じ。
システムズ・アプローチの思考法である。
つまりあるべきかたちを決め、
そこに到達するための方法を模索しつつ、
理想に近づいていくことだ。

私の著書『コロナは時間を早める』
三刷ができている。
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第五章は、
「ブレイクスルーの戦略計画」

この章では、
ナドラーと&日比野省三の考え方を借りた。

コロナ禍の「キャズム」のときには、
ブレイクスルー思考法が、
大いに役立つと思う。

過去の延長上に未来はない。
なぜなら大きな断絶の溝によって、
過去から現在、そして未来への軌道が、
絶たれてしまったからだ。

月刊商人舎6月号特集は、
小売業のXフォーメーション
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この特集の中の記事が、
イオンのポスト・コロナ戦略
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イオンはこれまで、
3カ年の中期計画を 策定してきた。

しかし吉田昭夫社長は、
2021年からの5カ年計画とした。
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つまり2021年から2025年までの計画だ。
イオン5カ年計画

私は「述懐」を書いた。
イオン「新5カ年中期経営計画」に思うこと

「従来の中期計画より2カ年多いのは、
その2カ年はキャズム期間が
長引くとの認識だろうか。
キャズムが終わって、
本格的なポスト・コロナ時代を
迎えたときから数えれば、
3カ年計画となる。
それを想定しての5カ年計画なのだろう」

これも「ブレイクスルー思考」である。

岡田元也会長の問題意識が根底にある。

もしかしたら、
このブレイクスルー思考から、
「イオンのウォシュレット」が、
生まれるかもしれない。

「過去の延長線上に未来はない」

しかしドラッカーは言う。
「未来を築くために初めになすべきことは、
明日何をなすべきかを決めることではなく、
明日をつくるために今日、
何をなすべきかを決めることである」
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明日を決め、
明日のために今日、
何をなすか。

ここまで考えねば、
ブレイクスルーではない。

〈結城義晴〉


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