楽天市場取扱高1兆円・ネット消費市場10兆円⇒リアル&ネット融合
昨夜、立教大学で講義しているころから、
雨はみぞれに変わり、雪になった。
雪の池袋キャンパス。
一段と美しかった。
聴講に来ていた常盤勝美さんと写真。
その雪。
深夜に降り積もるかと思ったら、
都心はそうでもない。
「ちょっと残念」。
などと子供のようなことをいったら、
仕事している人たちには迷惑か。
今朝はからりと晴れて、
雪景色がまぶしい。
さて、朝日新聞『天声人語』、日経『春秋』、
そろってウィンストン・チャーチルを取り上げた。
またまた「カブった」。
第2次世界大戦前後のイギリスの首相。
ヒトラーと闘い、勝利を収め、
戦後の復興処理を的確に成し遂げた名宰相。
今日が47回目の命日。
『春秋』は、チャーチルをこう、評する。
「『国民の意思は固くて、無慈悲なもの』と理解しつつも、
民主主義を上回る政治形態はないと信じていた」
『天声人語』は、1940年5月10日のチャーチルの言葉を紹介する。
国家存亡の非常時に首相に就任した時の感慨。
「過ぎ去った人生のすべては、
ただこの時、この試練のための
準備にすぎなかったという気がした」
朝日と日経がカブった原因は、
チャーチルの命日というだけではない。
野田佳彦首相が何度も、
この名首相の言葉を引用したから。
そしてコラムの結末はどちらも野田首相への皮肉。
しかしノーベル文学賞を受賞したチャーチル。
「過ぎ去った人生のすべては、
ただこの試練のための
準備にすぎなかった」
この言い回し、いいですね。
この時、チャーチル65歳。
私にもまだまだ、
「これまでは準備だった」と言える時が、
来るかもしれない。
日経新聞1面トップ。
「『楽天』取扱高1兆円」の記事。
インターネットモール「楽天市場」。
ここに出店している店舗の総売上合計額(取扱高)が、
昨年、1兆1000億円前後。
これは前年比16%増。
会員数は7360万人。
これは年間9%の伸び。
その理由の一つが、客層の拡大。
年齢は中心層の30~40代から、
50~60代へと広がった。
2011年12月期の楽天の連結営業利益は、
710億円前後。
前年比11%増で、4期連続最高益。
すごい勢い。
1兆円達成まで、設立から14年。
ダイエーの1兆円は昭和53年だったか。
現在の1兆円と言えば、
三越伊勢丹ホールディングスは2012年3月期に、
百貨店事業で1兆953億円。
昭和47年(1972年)、三越の売上高をダイエーが抜いた。
そして2012年、百貨店三越伊勢丹の売上高に、
楽天が並びかけ、追い抜く。
ダイエーの直近の2011年2月期の売上高は、
9118億円。
「時代は変わった」を感じさせる事実。
この楽天をはじめとするネット消費膨張は、
スマートフォンの普及にも支えられている。
楽天市場では、
「モバイル端末経由の取扱高が全体の2割」。
物流サービスも飛躍的に向上している。
アマゾンジャパンは、
昨年4カ所の物流拠点を開設した。
米国アマゾンの子会社ザッポスは、
全米で即日配達を売り物にしている。
それと同じサービスを日本でも展開する。
この配送スピードに、
既存小売業もかなわない。
野村総合研究所の試算。、
ネット消費の国内市場は2011年度は10兆450億円。
2016年度には、
これが約16兆1000億円と予測。
2011年度から比較すると6割の成長。
そしてこれは、小売業最大の
食品スーパーマーケットの市場規模に迫るものとなる。
日経新聞はご丁寧にも、
「きょうのことば」でも、
「ネット消費」を取り上げた。
その定義は、
「インターネット経由で買い物や旅行の予約、
音楽やゲームなどのコンテンツを購入すること」
私は「ネットとリアルの融合」を唱えているが、
それはしばらくネットが躍進することを意味している。
その間に、さまざまなバリエーションが生まれてくるに違いない。
一つだけ確かなことがある。
すべては顧客が便利な方向に進むということ。
ピーター・ドラッカー。
〈企業の目的と使命を定義する場合、
出発点は一つしかない。
顧客である。
顧客によって事業は定義される。
顧客を満足させることこそ、
企業の使命であり目的である〉
最後に、報告。
昨日・今日、東京・フォーシンズホテル椿山荘で、
日本リテイリングセンターの2012年政策セミナー開催中。
ペガサスセミナー2562回目にあたる。
一昨年7月に渥美俊一先生が逝去されたにもかかわらず、
全国から480名ほどが参加。
桜井多恵子さん、梅村美由起さん、
渥美六朗さん、そして木下潮音さんが講師。
私は昨日は広島、
今日は都内での事業報告会で、
今回は30年ぶりくらいに、
ペガサス政策セミナーを欠席。
渥美先生はいないし、
ああ、さびしい。
<結城義晴>