17日間あめりか漂流記⑬エブリデー・ロー・プライスのお恵み
勝利とは、
自ら、
勝ち取るものではない。
たいていの場合、
相手から、
恵んでもらうものである。
だから、人はみな、
自ら出来ることに、
専念する。
自らの役目に、
献身する。
自分の出来ることに、
専念できない敵が、
地雷を踏む。
自らの役目に献身できない敵が、
自滅してくれる。
アメリカ商業を見続けて、
改めて、
そう、思う。
だから理念が、
重要なのである。
理念なき経営が、
滅びるのである。
理念とは、
謙虚にいえば、
自ら出来ることが昇華したものである。
自らの役目が純化したものである。
ご存知、
エブリデー・ロー・プライス。
ウォルマートが貫く経営理念。
現在、
[オールウェーズ・ロー・プライス]と称する。
主要品目に関して、
売価をギリギリのところに抑えて、
上げ下げしない経営戦略。
この経営戦略を、
テキサスのローカルチェーンHEバットが、
採用した。
成功した。
グルメスーパーマーケットウェグマンズも、
取り入れた。
苦労して定着させた。
そして、
アメリカ最大のスーパーマーケット企業クローガーも、
追随しはじめた。
はてさて、いかに。
ここで、考える。
どの企業のエブリデー・ロー・プライスが、
敵にお恵みを与えてしまうものなのか。
それともエブリデー・ロー・プライスは、
すべての小売業にお恵みをもたらすものなのか。
たいていの場合、
勝利とは、
敵から恵んでもらうものである。
〈明け方のダラスより、結城義晴〉