ジジとお風呂[日曜版]
ボク、お風呂、
入りません。
基本的に。
お風呂、
嫌いです。
ぬれるのは、
苦手です。
でも、
お風呂、
見るのは、
好きなんです。
一番好きなのは、
お風呂のお水というか、
お湯というか、
残っていた液体が、
流れていってなくなるところ。
かならず、
見に行きます。
毎日。
お風呂の真ん中あたりまであったお水が、
少しずつへっていく。
最後は、
ぐるぐる、
うずになって、
なくなっていく。
それを、ジッと、
見る。
不思議です。
なぜ、
ぐるぐる、
するんだろう。
最後に、ちょっと、
音がします。
お風呂場に、
その音が響きます。
それもいい。
お水がぜんぶなくなると、
なんだか満足します。
そのあと、
お風呂のおそうじ。ドロドロの黄色いものを、
チューブから、
お風呂のへりにかけて、
スポンジであらう。
白いあわがでます。
これも不思議。
かならず、これも見ます。
手伝うことはできません。
一度、
やってみたい気も、
するけど。
それが終わると、
ふたをして、
ボタンをおすだけ。
そして、ユウキヨシハルさんが、
帰ってくるのを、
待ちます。
おとうさんは、
お風呂、
大好きです。
入ると、
長い。
中で、
本、
読みます。
でも、
ボクは、
お風呂、
入るのは、
嫌い。
このうちの、
おにいさんも、
おねえさんも、
お風呂、
めんどくさいみたいです。
ボクのシンプルライフ。
お風呂のお水が、
ぐるぐると、
なくなっていくのは、
なんど見ても、
おもしろい。
お風呂のお水が、
ぐるぐると、
なくなっていくのは、
なんど見ても、
おもしろい。
すごく、
おもしろい。
でもボクは、
お風呂には、
入りません。
ボクは、
ぬれるの、
苦手なんです。
<『ジジの気分』(未刊)より>