結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2012年02月11日(土曜日)

[第2日目]ナゲット、ホールフーズetc.ユニークさ競う米国競争の本質

昨日の2月10日、
復興庁発足。

遅い。

しかし、迅速に、的確に、
実行したい。
頼む。

今日、2月11日、
建国記念日。

この国のかたち、
復興庁がイノベートするくらいの意気込みが、
求められる。

読売新聞『編集手帳』。
「『建国記念の日』は、
命というものに思いをめぐらす日でもあろう。

この11か月、どれほど多くの弔鐘を聴いたか」

今、カリフォルニア州都サクラメント。
ハイアット・リージェンシー。
定宿。

部屋の窓の外に、
カリフォルニア州議事堂の夜景が浮かび上がる。

ここ、アメリカの建国の日は、
7月4日。
「独立記念日」、Independence Dayと呼ばれる。
1776年、アメリカ独立宣言に署名された日。

日本の建国の日は、
紀元前660年2月11日。
神武天皇が即位したとされる日。
こちらは史実というより、
神話の世界。

それでも、神話であることを承知したうえで、
自分たちの建国の日とし、
命に思いを巡らしたい。

合掌。

さて、サクラメントの2日目。
今日も快晴。
昨日は気温20度、今日の予報も19度。
寒くもなく暑くもなく、いい視察日和。
20120211190620.jpg

最初に向かったのは、
フランス風カジュアルレストランの「Mimis Cafe」
ホテルの朝食ではなく、
レストランのブレークファスト体験。
普通のアメリカ人は、その方が普通。
20120211185830.jpg

1978年アーサー・J・シムズが創業。
現在はボブエバンズファームズ社の子会社。
全米に580店ほどを展開するチェーン。
20120211185853.jpg

美味しい料理とワインを提供する店として、
地域に愛されている。
20120211190741.jpg
店内はフランスの片田舎風の内装。

価格は、20~35ドルとやや高めだが、
この時間、地元の年配者やファミリーがやってきては、
朝食やブランチを楽しむ。
20120211185920.jpg

サクラメントの2日目は、ナゲットマーケット、ホールフーズ、
二つのファーマーズマーケット、ウィンコ・フーズ、
そしてローカルチェーン・レイリーズのアップスケール型ベルエア2店を回った。

ナゲットマーケットは昨日のウッドランド1号店に続き、2店目。
ローズビル店。

20120211191539.jpg

店内に入ると青果部門。
季節の果物、野菜、フラワーが目に飛び込んでくる。
20120211201824.jpg

主通路にバナナ、リンゴ、オレンジなどが箱ごと並ぶ。
20120211191522.jpg

その右手にはアーティスティックに陳列された葉物や根菜。
20120211191616.jpg

湾曲した什器を使い、
まるで絵を描くようにカラフルに陳列されている。
ナゲットの真骨頂。
20120211191649.jpg

対面にはリンゴを箱ごと並べて販売している。
手をかけるところ、省力化する陳列のバランスが良い。
20120211191704.jpg

反対側から入口を見たところ。
大きな窓からの採光と輝く床面で、
売り場はまばゆいばかり。
20120211191801.jpg

青果部門から左手に、売り場が続く。
金属のオブジェがおもしろい。
20120211191736.jpg

右壁面に沿って、ベーカリー、ミート売り場となり、
奥がワインやリカー売り場、
左手がグロサリーとなる。
20120211191821.jpg

「STOP」のサインが目につく。
いわゆる特売商品。
20120211191855.jpg

ナゲットはヘルス&ビューティケアが、
もう一つの核部門。
バスタブを什器に使ったプレゼン。
20120211191632.jpg

床面の輝きは独特。
ゴンドラトップには観葉植物。
20120211191915.jpg

サービスデリ部門は、
ウェグマンズ、ホールフーズに負けないグルメ志向。
20120211191945.jpg

そのサービスデリを購入し、昼食。
20120211192008.jpg

ナゲットの象徴である豊穣の女神。
20120211192029.jpg

ローズビル店ストアディレクターのジョナサンさんが、
インタビューに答えてくれた。
20120211191348.jpg

「他にない顧客サービスと商品を提供する」
ナゲットのミッションを、
情熱的に語ってくれた。
20120211191405.jpg
シュミットの体験価値マーケティングや、
アルブレヒトのサービス・マネジメントを、
学んで、共有していることは明らか。

若いけれどストア・ディレクターたちは、
マネジャーの上を行く経営者の考え方を持っている。
ジョナサン店長を囲んで記念写真。
20120211191426.jpg

「部門責任者に信頼して任せ、全責任は自分が負う」
ジョナサン店長の意気込みを応援して固い握手。
20120211210634.jpg

一方、オーガニック・スーパーマーケットのホールフーズ。
2011年9月末期で年商101億0800万ドルとなり、
100円換算で1兆円を超えた。
店舗数311店。
ロズビル店は繁盛店。
20120211190035.jpg

こちらも季節の果物がカラフルに平台で展開されている。
20120211190057.jpg

ディスプレイはナゲットのジョナサン店長も参考にするほど。
20120211190128.jpg

量り売りのコーナーは圧巻。
20120211190154.jpg

この日は、コーディネーターの五十嵐ゆう子さんが、
店内をツアーして解説。
五十嵐さんは、まるでホールフーズのアソシエーツのよう。
具体的で生活実感に基づいた説明。
浅野秀二先生と並んで、
現地コーディネーターとして秀逸。
20120211190912.jpg

参加者たちは、真剣にメモを取る。
20120211190843.jpg

ビネガーの量り売りコーナー。
20120211190945.jpg

お客は自らボトルに詰める。
20120211191007.jpg

ホールフーズのベビー向けブランド「ハッピーベイビー」。
20120211191029.jpg

インストアベーカリー売場のカウンターには、自転車の車輪。
ホールフーズの什器開発は常に革新されている。
20120211191141.jpg

ペストリーとベーグルのコーナー。
金属とウッディな素材をうまく組み合わせている。
20120211191201.jpg

インタビューに応じてくれたのは、
ロズビル店のマーケティングマネジャー。
20120211191050.jpg

「ジョン・マッケイCEOが、私に直接言った。
地球を健康にしたくないか?
それは一人ひとりを健康に変えることから始まる。
わたしはその理念に賛同し、仕事に情熱を傾けている」

ホールフーズは、2011年4月から、
洗剤や日用品に『エコスケール』を導入し、
食だけでなく、環境へ配慮したライフスタイル提案を始めている。
「仕事は忙しくなったが、顧客の教育は大事」
20120211191117.jpg

ここでもみんなで記念撮影。
20120211191233.jpg

情熱と知識をもったマーケティングマネジャー。
知識商人と呼ぶにふさわしい。
20120211191246.jpg

健康といえば、菜食主義にシンパシーを抱く顧客を、
メイン・ターゲットにするファーマーズマーケット。
その代表格がスプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
20120211192128.jpg

店舗中央奥に核部門の青果がある。
20120211192152.jpg

壁面に田園風景が描かれ、
その手前には、高い平台に果物、青果が積み上げられている。
20120211192352.jpg

カラフルなリンゴやオレンジのフルーツ類。
20120211192213.jpg

壁面は葉物野菜とサラダ野菜。
20120211192239.jpg

青果部門の前面のレジ前のスペースは、
バルク売り場。
20120211192254.jpg
ファーマーズマーケットの特徴は、
青果部門とバルク部門。

店舗入り口左サイドに、
ベーカリー部門。
20120211192409.jpg

ベーカリーからミート・シーフードに続く。
しかしこの部門はプラス・アルファ。
20120211192510.jpg

ミートよりもシーフードが充実。
20120211192526.jpg
ヘルシー・メニューが何よりも優先されるからだ。

そしてバイタミン・サプリメント部門。
20120211192455.jpg

この店はごらんのとおり繁盛している。
20120211192557.jpg
ファーマーズ・マーケットも、
紛れもないスーパーマーケット業態の一種だ。
しかしファーマーズマーケットとして、
フォーマットが確立されている。

フォーマットとは業態の分化したもの。
それをファーマーズマーケットが証明している。

スプラウツはそのファーマーズマーケットのトップ企業。
とうとう店数3ケタを達成して、現在105店。

一方、サンフラワー・ファーマーズマーケット。
20120211192706.jpg

西海岸を中心に41店舗。
スプラウツよりも営業的。
20120211192728.jpg

コンセプトは、
“Serious food….Silly Prices”
直訳すれば「真面目な食品、不真面目な価格」か?
20120211192742.jpg

スプラウツと並んで、
フォーマットが確立されたことを認識させられる。
しかしもしかしたら、やがてスプラウツと統合するかもしれない。
なにしろオーガニック・スーパーマーケットは、
ホールフーズが第2位だったワイルド・オーツを傘下に入れた。
このサンフラワーは、
そのワイルド・オーツの共同創業者がつくった会社。
マイク・ギランド。

バレンタイン・プレゼンテーションも、
カッコいい。
20120211192832.jpg

このサクラメント地区でナンバー1シェアは、
レイリーズ。
132店で年商31億ドル(3100億円)。
この地区の4分の1の占拠率を占める。
レイリーズはサクラメントを中心とするロールスーパーマーケットチェーン。
そのレイリーズが展開するアップスケールタイプがベルエア。
20120211193323.jpg

占拠率ナンバー1のマーケット・リーダーの闘い方は、
マルチ・フォーマット&マルチ・バナーであることが多い。

このベルエアは既存店とリニューアル店を、
2店、比較視察。
つまり使用前使用後。
その報告は、帰国後に譲って、
この店もバレンタイン・デコレーションがいい。
20120211193856.jpg

ローカルチェーンの闘い方のひとつは、
ホスピタリティ。
顧客の車まで、
カートを押しながらサポートするサービスを展開。
20120211193844.jpg
しかしそれでもこのベルエアもコンベンショナル型で、
市場を切り取られる側に回っていることは確かだ。

切り取る側はウィンコ・フーズ。
スーパー・ウェアハウスストア。
ディスカウント型の倉庫スタイルのスーパーマーケット。
20120211203445.jpg
79店舗で、年商43億3000万ドル。
100円換算で4330億円。

ウォルマートよりも安いアイテムが満載されている。
20120211203727.jpg

良く売れているし、客数も多い。
20120211203610.jpg

しかしこの店も、まぎれもないスーパーマーケット。
ディスカウント・ニーズに応えるフォーマットだ。
20120211203632.jpg

そして、トレーダー・ジョー。
20120211204455.jpg

トレーダー・ジョーも青果・鮮魚・精肉・乳製品、冷凍食品、
加工食品・菓子、酒、ドライグロサリーの品ぞろえ。
この店も紛れもないスーパーマーケット。
しかしリミテッド・アソートメントで価格志向、
そのうえ健康・安全を徹底している。
そしてホスピタリティにあふれている。
20120211204737.jpg

トレーダー・ジョーがスーパーマーケットではないと考えるとすると、
それは頭が固すぎる。
スーパーマーケットの中の、
uniqueなフォーマットなのだと理解すると、
納得がいく。

そしてアメリカのスーパーマーケット産業界でも、
そのuniqueさが何よりも強い武器となっている。
20120211204521.jpg
トレーダー・ジョーは、
363店の85億ドル。
1万平方フィートに標準化された店舗。

いつみても、どの店も、
すごい。
最後に、ダラーストア第3位のダラー・ツリー。
4101店で58億8200万ドルを売り上げる。
20120211203753.jpg

繁盛店狙いではないけれど、
しっかり利益が出る。
店数が増えるほどに、
その利益率は高まる。
まさにチェーンストアの収益メカニズムを体現したフォーマット。
20120211203807.jpg
ウォルマートが最も恐れるのは、
このダラーストア群である。

今日も、バスのなかで、語り続けた。
いくら話しても、終わらない。
いつも新しい発見の連続。
私の好奇心も尽きるところがない。
20120211193939.jpg
1日のご清聴を感謝したい。

バスはホテルに向かう。
20120211193949.jpg

夕食はサクラメントのオールド・タウン近く。
マイクロ・ブロワリーで8種類のビールを試した。
20120211194004.jpg
後悔した。

ビールは、せめて2種類。
それをたっぷり楽しむべし。

店舗視察は、いろいろ試す。
しかしビールは絞り込んで楽しむ。

あまりに店舗を巡ったので、
ビールの飲み方を間違えた。

しかし、気持ちよく酔った。
酔ったら、みなおなじ、か。
(つづきます。しかし、明日はジジの出番。
閑話休題、悪しからず)

<結城義晴>


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2012年2月
« 1月 3月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
26272829 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.