[第2日目]ナゲット、ホールフーズetc.ユニークさ競う米国競争の本質
昨日の2月10日、
復興庁発足。
遅い。
しかし、迅速に、的確に、
実行したい。
頼む。
今日、2月11日、
建国記念日。
この国のかたち、
復興庁がイノベートするくらいの意気込みが、
求められる。
読売新聞『編集手帳』。
「『建国記念の日』は、
命というものに思いをめぐらす日でもあろう。
この11か月、どれほど多くの弔鐘を聴いたか」
今、カリフォルニア州都サクラメント。
ハイアット・リージェンシー。
定宿。
部屋の窓の外に、
カリフォルニア州議事堂の夜景が浮かび上がる。
ここ、アメリカの建国の日は、
7月4日。
「独立記念日」、Independence Dayと呼ばれる。
1776年、アメリカ独立宣言に署名された日。
日本の建国の日は、
紀元前660年2月11日。
神武天皇が即位したとされる日。
こちらは史実というより、
神話の世界。
それでも、神話であることを承知したうえで、
自分たちの建国の日とし、
命に思いを巡らしたい。
合掌。
さて、サクラメントの2日目。
今日も快晴。
昨日は気温20度、今日の予報も19度。
寒くもなく暑くもなく、いい視察日和。
最初に向かったのは、
フランス風カジュアルレストランの「Mimis Cafe」
ホテルの朝食ではなく、
レストランのブレークファスト体験。
普通のアメリカ人は、その方が普通。
1978年アーサー・J・シムズが創業。
現在はボブエバンズファームズ社の子会社。
全米に580店ほどを展開するチェーン。
美味しい料理とワインを提供する店として、
地域に愛されている。
店内はフランスの片田舎風の内装。
価格は、20~35ドルとやや高めだが、
この時間、地元の年配者やファミリーがやってきては、
朝食やブランチを楽しむ。
サクラメントの2日目は、ナゲットマーケット、ホールフーズ、
二つのファーマーズマーケット、ウィンコ・フーズ、
そしてローカルチェーン・レイリーズのアップスケール型ベルエア2店を回った。
ナゲットマーケットは昨日のウッドランド1号店に続き、2店目。
ローズビル店。
店内に入ると青果部門。
季節の果物、野菜、フラワーが目に飛び込んでくる。
主通路にバナナ、リンゴ、オレンジなどが箱ごと並ぶ。
その右手にはアーティスティックに陳列された葉物や根菜。
湾曲した什器を使い、
まるで絵を描くようにカラフルに陳列されている。
ナゲットの真骨頂。
対面にはリンゴを箱ごと並べて販売している。
手をかけるところ、省力化する陳列のバランスが良い。
反対側から入口を見たところ。
大きな窓からの採光と輝く床面で、
売り場はまばゆいばかり。
青果部門から左手に、売り場が続く。
金属のオブジェがおもしろい。
右壁面に沿って、ベーカリー、ミート売り場となり、
奥がワインやリカー売り場、
左手がグロサリーとなる。
「STOP」のサインが目につく。
いわゆる特売商品。
ナゲットはヘルス&ビューティケアが、
もう一つの核部門。
バスタブを什器に使ったプレゼン。
床面の輝きは独特。
ゴンドラトップには観葉植物。
サービスデリ部門は、
ウェグマンズ、ホールフーズに負けないグルメ志向。
そのサービスデリを購入し、昼食。
ナゲットの象徴である豊穣の女神。
ローズビル店ストアディレクターのジョナサンさんが、
インタビューに答えてくれた。
「他にない顧客サービスと商品を提供する」
ナゲットのミッションを、
情熱的に語ってくれた。
シュミットの体験価値マーケティングや、
アルブレヒトのサービス・マネジメントを、
学んで、共有していることは明らか。
若いけれどストア・ディレクターたちは、
マネジャーの上を行く経営者の考え方を持っている。
ジョナサン店長を囲んで記念写真。
「部門責任者に信頼して任せ、全責任は自分が負う」
ジョナサン店長の意気込みを応援して固い握手。
一方、オーガニック・スーパーマーケットのホールフーズ。
2011年9月末期で年商101億0800万ドルとなり、
100円換算で1兆円を超えた。
店舗数311店。
ロズビル店は繁盛店。
こちらも季節の果物がカラフルに平台で展開されている。
ディスプレイはナゲットのジョナサン店長も参考にするほど。
量り売りのコーナーは圧巻。
この日は、コーディネーターの五十嵐ゆう子さんが、
店内をツアーして解説。
五十嵐さんは、まるでホールフーズのアソシエーツのよう。
具体的で生活実感に基づいた説明。
浅野秀二先生と並んで、
現地コーディネーターとして秀逸。
参加者たちは、真剣にメモを取る。
ビネガーの量り売りコーナー。
お客は自らボトルに詰める。
ホールフーズのベビー向けブランド「ハッピーベイビー」。
インストアベーカリー売場のカウンターには、自転車の車輪。
ホールフーズの什器開発は常に革新されている。
ペストリーとベーグルのコーナー。
金属とウッディな素材をうまく組み合わせている。
インタビューに応じてくれたのは、
ロズビル店のマーケティングマネジャー。
「ジョン・マッケイCEOが、私に直接言った。
地球を健康にしたくないか?
それは一人ひとりを健康に変えることから始まる。
わたしはその理念に賛同し、仕事に情熱を傾けている」
ホールフーズは、2011年4月から、
洗剤や日用品に『エコスケール』を導入し、
食だけでなく、環境へ配慮したライフスタイル提案を始めている。
「仕事は忙しくなったが、顧客の教育は大事」
ここでもみんなで記念撮影。
情熱と知識をもったマーケティングマネジャー。
知識商人と呼ぶにふさわしい。
健康といえば、菜食主義にシンパシーを抱く顧客を、
メイン・ターゲットにするファーマーズマーケット。
その代表格がスプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
店舗中央奥に核部門の青果がある。
壁面に田園風景が描かれ、
その手前には、高い平台に果物、青果が積み上げられている。
カラフルなリンゴやオレンジのフルーツ類。
壁面は葉物野菜とサラダ野菜。
青果部門の前面のレジ前のスペースは、
バルク売り場。
ファーマーズマーケットの特徴は、
青果部門とバルク部門。
店舗入り口左サイドに、
ベーカリー部門。
ベーカリーからミート・シーフードに続く。
しかしこの部門はプラス・アルファ。
ミートよりもシーフードが充実。
ヘルシー・メニューが何よりも優先されるからだ。
そしてバイタミン・サプリメント部門。
この店はごらんのとおり繁盛している。
ファーマーズ・マーケットも、
紛れもないスーパーマーケット業態の一種だ。
しかしファーマーズマーケットとして、
フォーマットが確立されている。
フォーマットとは業態の分化したもの。
それをファーマーズマーケットが証明している。
スプラウツはそのファーマーズマーケットのトップ企業。
とうとう店数3ケタを達成して、現在105店。
一方、サンフラワー・ファーマーズマーケット。
西海岸を中心に41店舗。
スプラウツよりも営業的。
コンセプトは、
“Serious food….Silly Prices”
直訳すれば「真面目な食品、不真面目な価格」か?
スプラウツと並んで、
フォーマットが確立されたことを認識させられる。
しかしもしかしたら、やがてスプラウツと統合するかもしれない。
なにしろオーガニック・スーパーマーケットは、
ホールフーズが第2位だったワイルド・オーツを傘下に入れた。
このサンフラワーは、
そのワイルド・オーツの共同創業者がつくった会社。
マイク・ギランド。
バレンタイン・プレゼンテーションも、
カッコいい。
このサクラメント地区でナンバー1シェアは、
レイリーズ。
132店で年商31億ドル(3100億円)。
この地区の4分の1の占拠率を占める。
レイリーズはサクラメントを中心とするロールスーパーマーケットチェーン。
そのレイリーズが展開するアップスケールタイプがベルエア。
占拠率ナンバー1のマーケット・リーダーの闘い方は、
マルチ・フォーマット&マルチ・バナーであることが多い。
このベルエアは既存店とリニューアル店を、
2店、比較視察。
つまり使用前使用後。
その報告は、帰国後に譲って、
この店もバレンタイン・デコレーションがいい。
ローカルチェーンの闘い方のひとつは、
ホスピタリティ。
顧客の車まで、
カートを押しながらサポートするサービスを展開。
しかしそれでもこのベルエアもコンベンショナル型で、
市場を切り取られる側に回っていることは確かだ。
切り取る側はウィンコ・フーズ。
スーパー・ウェアハウスストア。
ディスカウント型の倉庫スタイルのスーパーマーケット。
79店舗で、年商43億3000万ドル。
100円換算で4330億円。
ウォルマートよりも安いアイテムが満載されている。
良く売れているし、客数も多い。
しかしこの店も、まぎれもないスーパーマーケット。
ディスカウント・ニーズに応えるフォーマットだ。
そして、トレーダー・ジョー。
トレーダー・ジョーも青果・鮮魚・精肉・乳製品、冷凍食品、
加工食品・菓子、酒、ドライグロサリーの品ぞろえ。
この店も紛れもないスーパーマーケット。
しかしリミテッド・アソートメントで価格志向、
そのうえ健康・安全を徹底している。
そしてホスピタリティにあふれている。
トレーダー・ジョーがスーパーマーケットではないと考えるとすると、
それは頭が固すぎる。
スーパーマーケットの中の、
uniqueなフォーマットなのだと理解すると、
納得がいく。
そしてアメリカのスーパーマーケット産業界でも、
そのuniqueさが何よりも強い武器となっている。
トレーダー・ジョーは、
363店の85億ドル。
1万平方フィートに標準化された店舗。
いつみても、どの店も、
すごい。
最後に、ダラーストア第3位のダラー・ツリー。
4101店で58億8200万ドルを売り上げる。
繁盛店狙いではないけれど、
しっかり利益が出る。
店数が増えるほどに、
その利益率は高まる。
まさにチェーンストアの収益メカニズムを体現したフォーマット。
ウォルマートが最も恐れるのは、
このダラーストア群である。
今日も、バスのなかで、語り続けた。
いくら話しても、終わらない。
いつも新しい発見の連続。
私の好奇心も尽きるところがない。
1日のご清聴を感謝したい。
バスはホテルに向かう。
夕食はサクラメントのオールド・タウン近く。
マイクロ・ブロワリーで8種類のビールを試した。
後悔した。
ビールは、せめて2種類。
それをたっぷり楽しむべし。
店舗視察は、いろいろ試す。
しかしビールは絞り込んで楽しむ。
あまりに店舗を巡ったので、
ビールの飲み方を間違えた。
しかし、気持ちよく酔った。
酔ったら、みなおなじ、か。
(つづきます。しかし、明日はジジの出番。
閑話休題、悪しからず)
<結城義晴>