結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年01月15日(土曜日)

「四住期&人生の四季」と米国小売業のコロナからの復活

寒の水飲み干す五臓六腑かな
〈細見綾子・兵庫県出身の俳人〉

東京新聞巻頭コラム「筆洗」が、
取り上げた一句。

「寒の水」は寒中の水。

「寒九」と言う言葉がある。
1月5日の寒の入りから9日目のことだ。

その寒九に汲んだ水は、
1年のうちでもっとも澄み切っている。
服薬に用いるのがよいし、
酒造りにも化粧水としても、
紙漉きにも欠かせない水だ。

その寒九の水を飲み干すと、
五臓六腑に染み渡る。

その意味では、寒いけれど、
ほかにはない、いい季節だ。

新型コロナウイルス新規感染は、
オミクロン株によって、
第五波までよりもスピードが速い。
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1日の新規陽性判明者数は、
全国では2万5630人。
東京都が4561人、大阪府が3692人。

1000人台は7県。
沖縄県1829人、神奈川県1538、
愛知県1480人、広島県1212人、
兵庫県1191人、埼玉県1173人、
そして福岡県1098人。

あっという間に広がった。

マスクに手洗い、ディスタンス♫
マスクに手洗い、ディスタンス♫

ファイザー社が経口薬の販売承認を、
厚生労働省に申請した。

ワクチンのブースター接種も始まる。

明るいニュースだ。

それでもリスクマネジメントは、
商売する者にとって必須だと思う。

コロナ禍を教訓として、
むしろそれをバネにして、
前進したい。

忌み嫌ってはならない。
動的平衡の中で、
感染症と共生していく。

それが三千年紀の私たちである。

かつて五木寛之さんが言っていた。
「この年齢になってつくづく感じることは、
人生の設計についてです」

インド人は人生を4つに分けて考える。
「四住期」と言う。

第1は学生期(がくしょうき)
学び、成長していく期間。

第2は家住期(かじゅうき)
仕事を得て懸命に働き、
家に住んで頑張る期間。

第3は林住期(りんじゅうき)
林の中に住み、世俗を離れ、
自分らしく自由に生きる時期。

第4は遊行期(ゆぎょうき)
何者にも囚われず、
遊ぶように過ごす人生の最終期。

中国人も同じく人生を4つに分ける。
「人生の四季」と言う。

①青春
20歳ころまでの人間としての春の時期で、
青い色に象徴される。
②朱夏
40歳ころまでの夏の時期で、
赤や朱色に喩えられる。
③白秋
60歳ころまでの秋の期間で、
白の時代である。
④玄冬
80歳ころまでの冬の時期で、
「玄」の色はほぼ黒の時代といっていい。

日本画家の篠田桃紅は書いている。
「玄というのはまた、
一筆の濃墨で書くのではなく、
淡い墨を重ねて刻していき、
真っ黒の一歩手前で控えた色」

篠田桃紅さんは107歳まで生きて、
玄を極めていった。
篠田桃紅

人生100年時代にこの4つの期間は、
大昔の区分とは大分、異なる。

青春は25歳まで、
朱夏は50歳まで、
白秋は75歳まで、
玄冬が100歳までか。

そうすると私はまだ白秋であり、
林住期にある。

自分でもそれがぴったりだという気がする。
そんなときにコロナに出会った。

篠田桃紅さんのように生きれば、
玄冬はもっと長くて、豊かになる。

さて全米小売業協会。
NRFと略される。

2021年のホリデーシーズンの実績を発表。
11月から12月にかけての商況。
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総売上高は8867億ドル、
100円換算では89兆円。
前年同期比14.1%増。

アメリカはすごい。

売上高総額と伸び率。
いずれも過去最高。

ウォルマートとアマゾンにけん引されて、
11月から「早仕掛け」を展開した。

それが効果を生んだ。

もちろんオンライン販売も、
絶好調だった。
前年比11.3%増の2189億ドル。
全体のほぼ4分の1のシェアとなった。

まだまだこの比率は高まる。

eコマースはリアル店舗よりも、
「早仕掛け・早仕舞い・際の勝負」である。

一方、
米国商務省国勢調査局の発表。
12月の小売業売上高実績。
6268億ドルで前年対比16.9%の増加。
もちろん休日と季節調整済みの数値だ。

さらに2021年全体の売上高は、
2020年より19.3%の増加。

2021年10月から12月までの四半期は、
前年比17.1%の増加。

食品と飲料は8.4%増。
衣料とアクセサリーは29.5%増。
ゼネラルマーチャンダイズは14.6%増、
無店舗販売は10.7%増で、
フードサービスは41.3%増。

日本もじわりじわりと復活するだろう。

国家や企業の景況は、
人間よりももっと雄大で緩やかだ。

すぐに白秋や玄冬には至らない。

アメリカと言う若い国家の時代は、
まだまだ朱夏なのだろう。

寒の水を五臓六腑に染み渡らせて、
自分自身の時代と向き合いたいものだ。

〈結城義晴〉


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