ドラッグストアMD研究会基調講演と「頂しか見えない富士」
今年の富士山は雪が少ない。
そう思っていたけれど、
新神戸から帰ってくるときには、
頂のあたりに雪がかぶっていた。
頂上だけ見えて、
裾野は雲に隠れていたから、
余計に雪が多く見えたのか。
それにしても裾野が見えない富士は、
妙に大きく見える。
不思議だ。
富士の姿が大きく見える。
頂しか見えないものは、
その頂が高ければ高いほど、
大きく見える。
今日午後から、
明治記念館。
「昭和は遠くなりにけり」などと言うが、
明治はさらに遠い。
本館。
明治神宮による結婚式場として、
昭和22年11月1日に開館。
現在は宴会場・会議施設としても利用される。
明治神宮会館庭園には立派な松がある。
ドラッグストアMD研究会。
第193回定例会新春政策セミナー。
私は基調講演1。
もちろんこのオミクロン株の第六波だから、
オンラインセミナーとなった。
テーマは、
「コロナは時間を早める」
それがドラッグストアに、
どんな影響をもたらすか。
そしてどんな意思決定をしなければならないか。
私の後は基調講演2。
「マツキヨココカラ&カンパニーの今後のビジョン」
塚本厚志代表取締役副社長。
私も別室で聴講したが、
ビジョンとともに、
最新のMDやDX、ロゴの新発表もあって、
実に興味深い話だった。
その塚本さんとツーショット。
塚本さんは商業界時代から、
私の講演などを聞いてくれたそうだ。
広報担当や事務局が、
入れ替わり立ち代わりで、
シャッターを切ってくれた。
そのあとで、
この研究会の石田岳彦会長と写真。
ウエルシア薬局㈱取締役副社長。
石田さんは今回のセミナーの冒頭で、
会長としての開会挨拶をした。
月刊商人舎も読んでくださっていて、
「島田先生はお元気ですね」
父上の石田健二さんの話もした。
今年90歳になられるから、
島田陽介先生よりも4つ年上だ。
まだまだお元気だとか。
今日はありがとうございました。
その島田陽介先生のドラッグストア観。
ちょっと手厳しい。
月刊商人舎1月号、
「島田陽介の大予言」から。
「今、スーパードラッグストアの
業績がいいと盛んに言われていますが、
僕はスーパードラッグが
一番危ない商売だと思っています」
島田陽介は、
「スーパードラッグストア」の用語を使う。
「化粧品と薬は
基本的にナショナルブランドで、
“ストアブランド”を出すのは
ものすごく難しい」
ここで言う「ストアブランド」は、
メーカー製品のコピーブランドではない。
島田用語だが、
小売業独自の商品であり、
独自のブランドである。
「雑貨や食品を
ラインロビングしていますが、
その食品はラインロビングできる
範囲だけのものです」
食品ではオリジナルブランドは、
比較的開発しやすい。
しかし薬と化粧品は難しい。
「つまりメーカーがつくったものを
仕入れて並べているだけですから、
完全にコピーされます」
「コピーされるとは
どういうことかと言うと、
規模が大きい企業が圧倒的に
有利であるということです」
「したがって買収・合併が進みます」
私も「コロナはM&Aを早める」と考えている。
「一番手がウエルシアなら、
二番手は誰になるのかというのが
現在の競争です」
「極端なことを言えば
日本では2社か3社になってしまう」
これも私の言葉で言えば、
「複占」か「鼎占」である。
「スーパードラッグが
有望であるということと、
各企業が有望であるということは
まったく逆で、
業界が有望であればあるほど、
企業の淘汰が進みます」
私は基調講演で、
アメリカの状況を示した。
ドラッグストアに関しては、
ウォルグリーン・アライアンス・ブーツと、
CVSヘルスによって、
「複占」状況が出来上がっている。
全米チェーンストアランキングでは、
ウォルグリーンが第6位、
CVSヘルスの小売事業が第8位。
三番手のライトエイドは26位で、
大きく離されている。
マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャー。
マーケットフォロワーは、
ずっと引き離されていて、
全体として見れば、
鼎占から複占に至る過程にある。
もちろん多数のニッチャーは、
潰れていくことはない。
それがドラッグストア産業にとっても、
大いなる救いである。
裾野が雲に隠れて、
頂しか見えないものは、
その頂が高ければ高いほど、
大きく見える。
庭園の一本松とは違う。
不思議なことだが、
それが事実である。
〈結城義晴〉