棋士羽生善治「技術至上対極境地」とマック原田泳幸CEO「中食狙い」
朝日新聞将棋欄。
名人戦への挑戦権を争うA級順位戦を連載している。
その8回戦は羽生善治と谷川浩司。
羽生は第十九世永世名人。
谷川は第十七世永世名人。
どちらも中学生プロ棋士となった「超」のつく天才。
この二人の対戦記を書くのは剣記者。
「谷川の世代までは、
盤上には個々人の生き方が反映し、
技術や実力を発揮できるかは
人間力で決まるという考え方が支配的であった」
それを羽生が覆す。
「が、初期の羽生は盤上理論の解明に重きを置き、
将棋と人生は無関係という態度を貫いた」
このあたり、すこぶる面白い。
羽生も、1970年9月27日生まれの41歳。
「現在の羽生は、
技術至上の地平とは
対極の境地に立つ」
理論や技術を極めたから、
やっとその対極の境地に至ったのだと思う。
理論や技術を無視して、
人間力をのみ強調するのは、
それこそ大間違いだ。
年齢や経験に応じて、
理論や技術の習得が必須となる。
故渥美俊一先生がこの論者だったし、
私も同感だ。
私は三つに整理している。
理論武装、技術武装、
そして理念武装。
そのすべてが揃って、人間力経営となる。
理論や技術を軽視する人間力経営は、
精神論と蔑視されても仕方ない。
さて、読売新聞夕刊の『よみうり寸評』。
トマト大人気の話題を取り上げた。
「ナマはもちろんのこと、
近所のコンビニではジュースが売り切れていた」
「トマトに脂肪燃焼効果があるらしい」
京都大学が発表した健康効果の研究成果。
「実験結果から考えると、人の場合、
毎食時に200mlのジュースを飲まないと効果がない」
しかしトマトもトマト・ジュースも売れる。
「米国民1人当たりの年間トマト消費量は45㎏」で、
「日本の5倍」。
アメリカのトマト売場はすごい。
バークレー・ボウルのトマトとアボカド売り場。
そしてこちらはオーガニック・スーパーマーケットのホールフーズ。
トマトとアボカドの組み合わせが多い。
読売新聞のコラムにのったりすると、
またバカ売れする。
日経新聞朝刊の『人こと』に、
日本マクドナルドHD会長兼社長・原田泳幸さん登場。
「コーヒー販売のライバルは喫茶店ではなく
コンビニエンスストアなどの中食だ」
各紙が報じたが、昨日の17日、
主力商品「プレミアムローストコーヒー」の全面刷新の記者会見。
しかしこの発言、
スターバックスやドトールを、
無視したようなニュアンスがあって、
刺激的。
記事では、この発言の狙いを分析する。
「自宅で出来合いの弁当類を食べていた
単身者などの来店を促すことにある」。
しかし私には、本当の狙いは、
やはりスターバックスだと思われて仕方ない。
やり手の経営者のマスコミ発言には、
別の目的が潜んでいる。
「中食需要を取り込めば、まだまだ成長できる」
この発言も本意ではあろうが。
原田泳幸、1948年12月3日生まれの63歳。
経営には「個々人の生き方が反映し、
技術や実力を発揮できるかは
人間力で決まるという考え方」の真っただ中にある。
それにしても、中堅幹部の人材も揃った日本マクドナルド。
2011年12期売上高は前期比6.6%減の3023億円ながら、
連結営業利益は上場以来最高を更新。
2012年12月期も過去最高更新の予想。
「外食・内食の融合」は、
今年最大のトレンドだが、
それを正確にとらえている。
<結城義晴>
[追伸]
今週も結城義晴の毎日更新宣言、
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みなさん、良い週末を。