ゼレンスキーの国会演説と関西スーパー鴻池店の改装
ウクライナ大統領。
ウォロディミル・ゼレンスキー。
44歳。
夕方の6時から、
日本国国会でオンライン演説した。
歴史に残る演説だった。
しかし彼が本来もっている、
豊かな表情が影を潜め、
ウクライナの民が傷つけられ、
殺されていることに、
深く悲しんでいる様子がうかがえた。
疲れているようにも見られた。
「両国の間には、
8193kmの距離があります。
経路によっては、
飛行機で15時間もかかります。
ただし、お互いの自由への思いに
差はありません。
また、生きる意欲の気持ちにも
差はありません。
それを実感したのは、2月24日です。
日本がすぐ援助の手を差し伸べてくれました。
心から感謝しております」
「日本は、発展の歴史が著しい国です。
調和を作り、その調和を維持する能力は
素晴らしい。
環境を守り、文化を守ることは
素晴らしい。
ウクライナ人は日本の文化が大好きです。
それはただの言葉ではなくて、
本当にそう思っているのです」
「距離があっても、
私たちの価値観はとても共通しています。
ということは、もう
距離がないということになります。
私たちの心は同じように温かい」
「ウクライナのため、世界のため。
また、明日のため、将来のために、
自信を持てるように」
淡々と、よどみなく、
しかし固い決意が込められていて、
12分間のスピーチは素晴らしかった。
私たちも、
ウクライナのため、
世界のため、
そして私たち自身のために、
戦争への反対の意思を示し、
ウクライナを支援したい。
さて私は大阪3日目。
JR伊丹から、
関西スーパー鴻池店へ。
商人舎流通Super News。
関西スーパーnews|
関西スーパー鴻池店(兵庫県伊丹市・419坪)刷新
1968年12月に開店した第4号店。
売場面積はワンフロア419坪。
2016年8月に、
旗艦店の中央店を増床・改造して、
モデル店をつくった。
「中央店モデル」である。
その後、2017年2月の桜台店、3月の荒牧店と、
次々に改装して、成果を上げてきた。
昨年はオーケー㈱による買収騒動が起こり、
そのリモデルが中断されていたが、
新生関西スーパーマーケットとなって、
初めてのモデル店への改造である。
全社員一丸となって、
このリニューアルに取り組んだ。
あの事件で、
関西スーパーの結束は固まった。
例はよろしくないかもしれないが、
ロシアに侵攻されたウクライナのようだ。
それがこれまでの改装をさらに進化させていた。
店舗中央のコンコース沿いに、
「キッチンスマイル」が設けられて、
料理提案や試食をしている。
私もいただいた。
柄谷康夫常務取締役が、
売場の改善点を説明してくれた。
柄谷さんはコーネル大学ジャパンの2期生。
「奇跡の2期生」の番長。
店頭の売場レイアウトを見ながら、
改善カ所の説明を受けた。
私の隣が柄谷さん。
そして石原栄題さん、畠山武店長、
中西淳さん。
中西さんが専務取締役経営企画室長、
柄谷さんは営業本部長、
石原さんは広報秘書チームリーダー。
そのあと、改装の考え方や趣旨を、
中西専務と柄谷常務から、
たっぷりと聞いた。
阪神淡路大震災のときの、
鴻池店の写真なども見せてもらった。
その1995年のあとに建て替えられた。
さらに2008年に改装し、
三度目の改造である。
このインタービューの間には、
昨年の株主総会の話や、
将来への抱負なども次々に出てきた。
「一晩喋りつづけてしまいますわ」と、
柄谷さん。
「これからが大変ですが、
全社員一丸となってやり抜きます」と、
中西さん。
話を聞いていて、
私は北野祐次さん、水谷久三さんのことを、
思い出した。
45年前の私自身の、
関西スーパー研修が蘇ってきた。
昨年の株主総会の賛否の投票後、
本社に戻った幹部に対して、
誰ともなく全員が集まって来て、
拍手が沸いた。
この話は感動的だ。
私も泣いた。
ウクライナの人々が、
全国民が、
拍手でゼレンスキーを迎える日を思うと、
やはり泣けてくる。
この店舗改装のケーススタディは、
月刊商人舎4月号で掲載する。
試練を乗り越えた人間は強い。
艱難は商人を鍛える。
しみじみとそれを思った。
〈結城義晴〉