阪急オアシス野中北店・平野西店の新フォーマットとポジショニング戦略
昨日、大阪から帰ったら、
片隅に少しだけ雪が残っていた。
今日は朝、羽田空港国際線ターミナルに集合。
立教大学大学院・結城ゼミ第3期生の修了旅行。
総勢8人の動きやすい旅。
台湾へ向けて出発。
ラウンジで、朝からビール。
みな、元気いっぱい。
楽しみです。
さて昨日は大阪。
3月1日オープン当日の阪急オアシス野中北店。
大阪市北西部の阪急電鉄三国駅から徒歩圏に位置し、
マンションの1階に居ぬき出店した。
関西スーパーが撤退した後の物件。
この日は人出がひと段落する2時ごろに訪れたが、
開店の賑わいはごらんの通り。
入ってすぐに青果売り場。
地産地消を謳う「おひさん市」。
現在、1000軒余りの農家、生産者と契約して、
商品供給を受けている。
入り口に並べられたイチゴ1パック298円がオープンの目玉商品。
補充したとたんにお客が手に取り、飛ぶように売れる。
右手壁面には「おひさん市」の果物や野菜が木製多段什器に並ぶ。
「採れたての安心・安全でおいしい生産者直売」。
「おひさん市」のボードの下には、
生産者の顔写真が名前入りで掲げられている。
顔の見える商品として大人気だ。
そして果物のカラーリング陳列の見事さ。
阪食の陳列技術の真骨頂。
野菜のばら売りコーナー。
1個単位で販売する。
手間暇がかりそうだが、
少人数世帯、単身世帯のお客には大好評。
トマトやさやブドウ、えんどう、天心甘栗など
ばら売りのアイテムも増えた。
青果売り場から鮮魚売り場へ。
ガラスで仕切られているが、
作業がみえるたオープンキッチンスタイル。
バックヤードの床を高くして、
作業状態を顧客が見上げる形にした。
ホールフーズが、
シアトルのパイク・プレイスの魚屋から学び取ったやり方と同じ。
だからマグロの解体ショーなどもよく見えるようになっている。
長崎県産地直送の鮮魚。
長崎県知事の肝いりで、
3つの島と4つの漁港から商品が途切れることなく供給される。
平ケースには、阪食が強化するハーフデリ商品。
半加工品から、最後に自宅で焼くだけの商品までそろう。
魚屋の鮨「魚彩」。
フレッシュな鮮魚をネタにリーズナブルな価格で提供する。
奥壁面に沿ってミート&デリの精肉売り場、
まず、とんかつなどの揚げ物コーナー。
揚げたてのとんかつは試食でお勧めする。
売り場の平台では、黒毛和牛の牛めし550円などのミートデリを販売。
主通路に設けられたキッチンステージではメニュー提案。
奥壁面の最後のコーナーは、
ワインとチーズ売場。
一角には、日本酒の島陳列。
そしてデリ&ベーカリーのコーナー。
惣菜は大皿に盛られたばら売り。
そして左壁面が惣菜売り場。
各売り場ではインカムをつけたスタッフが、
おすすめ商品をアピールする。
その前の主通路には、弁当類が並ぶ。
ごらんの通りの人。
平ケースのいちま鮨、
平台の和菓子コーナー。
什器使いにも常に工夫が加えられ、
洗練されてきた。
どれでも105円のインストアベーカーリー・コーナー。
コモディティ・アイテムは、
しっかり低価格をアピールする。
そして店舗最左翼左壁面最後に設けられた無料のレストスペース。
中央に配置されたグロサリーは低めの什器。
什器の上部には、
使用シーンをわかりやすく表示。
阪食では価格表示をおおきな文字で表示している。
高齢者にも見やすく、わかりやすい。
オリーブオイルの品ぞろえは、豊富。
阪食自慢のカレーコーナー。
阪食百貨店大食堂の名物カレーは1周年で10万食。
阪食の強みは、阪急ブランド。
この自社の「強み」、他の模倣を許さない商品は、
強烈に訴求する。
レジは6レーン。この日はダブル台でフル対応。
㈱阪食の千野和利社長と、
商品統括部志水孝行部長。
千野さんとは、
ポジショニング戦略について、
じっくり語り合った。
それがすなわち、
本当の「ブルー・オーシャン戦略」になっている。
つまりは簡単には模倣できない店づくり、売り場づくりを、
実現させ続けること。
そのために持続的な小さなイノベーションは、
欠かせない。
一方、この日は、
ひと月前の2月1日にオープンした
阪急オアシス平野西店も視察。
大阪市南部の平野区は職住一体型の下町エリア。
800㎡の意欲的な小型店。
屋上駐車場42台だけの店だが、
近隣2キロ圏からの自転車客が多い。
足元商圏は2万4000人弱。
しかしポイント5倍セールのこの日は、
つぎつぎにお客が自転車をこいでやってきて、
駐輪場はあふれんばかり。
入り口を入るとご覧のひとだかり。
2週間目のポイント5倍セール日には、入場制限をしたという。
開店後ひと月が経過しても、
応援部隊が必要なほどの混雑ぶり。
次から次に顧客がやってくる。
カートが足りなくなるほどの来店客だ、
この平野西店では、青果部門の真ん中に、
加工スペース設けられた。
鮮魚売り場は長崎県と提携して、
常に鮮度抜群の商品が品切れしない。
寿司の商品化が間に合わず、
それでもお客が売場の前で出来上がるのを待っている。
平台の商品に群がる人人。
そして精肉売り場。
ここでも主通路は身動きできないほどの人。
デリ&ベーカーリー売場。
お客は主通路にあふれている。
ベーカリー売場にまで達したレジ待ちのお客。
こちらにもレジ待ちのお客。
これだけの来店客をいかにさばくか。
これが平野西店の課題になる。
それにしてもよく入っている。
高度成長時代のダイエーの店では、
並べた商品が飛ぶように売れた。
そんな風景をおもいだすほど、
平野店にはお客が殺到していた。
驚いたし、感動した。
阪急オアシス平野西店の近隣には、
万代、ライフストア、サンディ、玉出など、
激戦が繰り広げられている。
その真ん中に飛来した阪急オアシス。
異次元の競争を展開することで、
このエリアにも、こういったニーズが潜在することを証明した。
㈱阪食は、
エイチ・ツーオー・リテイリングのスーパーマーケット部隊。
2010年度年商898億6700万円。
千里中央店から始まった新しいフォーマットが成功をおさめ、
レギュラータイプの1500㎡から1200㎡、
そして900㎡、800㎡までのそれぞれのタイプを、
採算に乗せてきた。
千野社長は、
これからは「人が大事です」と言い切った。
その通りだと思う。
私は付け加えた。
「最後は商品の勝負になります」。
店とフォーマットが確立された、
人と商品。
この軌道に乗せるまでが、
本当に苦労の多いひと仕事だが、
軌道に乗ったら油断せず、
人と商品の充実に邁進する。
店や売り場の改革ほどに、
目に見えて成果が上がるという類の課題ではない。
しかし、人と商品こそ、
模倣のできない真のポジショニングをつくるものである。
この日、案内してくれたのは㈱阪食の松元努常務。
昼食は、なにわ筋にあるシチリア料理「ラ・クッカーニャ」。
素材を生かした調理で、本当においしかった。
松元さんに、心から感謝。
<結城義晴>
2 件のコメント
結城先生、こんにちは。昨日は、当館へお越しいただき誠にありがとうございました。早速、先生のホームページを訪問させていただきました。今後ともよろしくお願い申し上げます。
徳光信誠さま。
こちらこそありがとうございました。
徳光さんの信念、感動しました。
ブログにさせていただきました。
時間がないので、まだまだ書ききれないのですが、
機会があったら、日勝生加賀屋のこと、
原稿にします。
よろしく。