訃報/小嶋千鶴子さんご逝去。ロピア岐阜進出当日模様。
小嶋千鶴子さんが永眠された。
5月20日。
1916年3月3日生まれ。
享年107。
『LIFE SHIFT』の人生100年時代を、
圧倒的に先取りしたモデルのような方だった。
ご本人は「私は私や」と言われるだろうが、
イオン㈱の岡田卓也さんの次姉。
イオン名誉顧問。
四日市の岡田屋に生まれ、
1939年5月、23歳のときに、
㈱岡田屋呉服店の代表取締役就任。
1946年に岡田卓也さんが、
あとを継いで代表取締役社長に就任。
1969年2月に3社合併で、
ジャスコ㈱が設立されると、
小嶋さんは取締役に就任。
1972年6月には常務取締役となって、
おもに人事を担当した。
1977年5月、
自ら60歳定年制を貫いて、
監査役に退く。
1981年5月、相談役、
1988年8月、名誉顧問。
小嶋さんが監査役に就任された1977年、
私は㈱商業界に入社して、
販売革新編集部に配属された。
そして、ある特集企画で、
小嶋さんにインタビューした。
私の最初の出会いだった。
特集の企画書と依頼状を郵送し、
そのあとで電話をかけて、
直接、お願いした。
その電話で、
小嶋さんから叱られた。
「あんた、
モラルとモラールの意味の違い、
わかっとんのか?」
今もその時の声が、
耳の中に残っている。
叱られたけれどインタビューには、
きちんと対応していただいた。
ひどく緊張しながら話を聞いたが、
優しく対応してくださった。
他社の新入社員を叱りつけてくれるのが、
小嶋さんだった。
今でも、感謝している。
そんな小嶋さんがつくった人事風土が、
ジャスコからイオンへと貫かれた。
小嶋千鶴子さんの著書『あしあと』は、
非売品だが、真の名著だ。
こんな一節がある。
「人事は人間を知ることから始まる。
人間を知ることは
人間を愛することから始まる。
愛することは理解することである。
よりよく知ることである。
個々人は個々に違う。
違うことを知ることである」
「一人一人について、
過去どのように生きてきたかを知り、
今後どのように生きていきたいかという
希望を知り、
今どうしているかを知り、
目標をもたせることである」
文章書きの真髄は、
一文を短くすること。
小嶋さんの文章は、
見事な名文だ。
小嶋さんは言い切る。
「人事担当者は知ることから始める。
そのためには、聞くことから始める。
注意深く見ることから始める」
「基本は、愛情である」
泣けてくる。
心からご冥福を祈りたい。
さて私は岐阜。
早朝、モレラ岐阜に到着。
ロピアモレラ岐阜店オープン当日。
8時から全体朝礼。
シンプルに注意点とチーフの紹介をして、
接客7大用語唱和などやらないし、
責任者の訓示なども一切ない。
そして開店作業。
道場六三郎さんの推奨商品を、
この店ではじめて、
大々的にエンド展開する。
その最終仕上げ。
㈱道場六三郎事務所は、
昨12月28日にロピアの子会社となった。
雨模様ながら、
開店前から顧客が並び始めた。
「Lopia Open!」の手作りクッキー。
私も特別にいただいて、
1日中、胸ポケットにさしていた。
何度も何度も開店前の店内を歩く。
ピーター・ドラッカー。
「良い工場は静かだ」
そして試食。
新製品のミルフィーユローラー。
9時45分には売場が完成。
行列が300人を超えて、
そのために10時開店を早め、
9時45分オープン。
ピークには屋外駐車場に600人が並んだ。
ロピア中京圏進出、
大丈夫だ。
その後、買物して食事。
一貫ずつチョイスできる寿司。
大トロ、中トロ、ノドグロ、
金目鯛、マアジ、ウニ巻、イクラ巻。
絶品。
入場制限をかけたが、
すぐに惣菜売場はこの状態。
ロピアの売場を確認して、
私は近隣のクリニックに出発。
バロー本巣文殊店。
スーパーマーケットを中心に、
ドラッグストアとホームセンター。
グループの総力を挙げた商業集積。
2005年、そのバローグループに入ったタチヤ北方店。
バローのホームセンターが隣接している。
それからカネスエ北方店。
実に原則に忠実な店をつくっている。
さらに直接競合しているのは、
アピタ北方店。
昨日も訪れ、今日も視察。
ロピアオープンの日には、
力が入っていた。
さらに西に走って、
ラ・ムー穂積店。
大黒天物産㈱のディスカウントスーパーマーケット。
これも徹底したローコストオペレーション。
そのラ・ムーと競合するのは、
イオンタウンのザ・ビッグエクストラ。
イオンビック㈱の運営だが、
日本で一番いいザ・ビッグだと思う。
(マックスバリュ東海の運営ではありませんでした。訂正して関係各位にお詫びします)
ロピアの岐阜進出1号店は、
ディスカウント競争の真っ只中である。
さて、ロピアの違いは出せたのか。
ポジショニングは構築できるのか。
月刊商人舎6月号で解明する。
乞う、ご期待。
小嶋千鶴子さんの口癖。
「あんた、今、何の勉強してるん?」
「何の本読んでるんや?」
勉強する者が、
優れた店をつくる。
そして競争に勝ち、
社会貢献する。
小嶋千鶴子さんは、
ドラッカー主義者だった。
合掌。
〈結城義晴〉