結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月20日(水曜日)

コロナ感染15万人超と日本マクドナルドの「複合危機戦略」

新型コロナウイルス新規感染。
陽性者は全国で、
1日15万人を超えた。

過去最多を更新。

30府県で最多の陽性者数。

大阪府が2万1976人、
初めて2万人を超えた。

東京都は2万0401人。

愛知県が1万3628人、
神奈川県が1万1443人。

その主な理由はオミクロン株BA.5。

感染拡大のスピードは、
これまでのBA.2より3割程度速い。

“免疫逃避”の性質をもっていて、
ワクチンや感染で得た免疫をかいくぐる。

重症化に関して、
WHO(世界保健機関)のコメントでは、
「BA.2と比べて変化しているという証拠はない」

つまり感染力は強く速いが、
重症化はBA.2と変わらない。

危険度は高まっている。

朝日新聞「天声人語」

コロナで縮小していた祇園祭を話題にする。
山鉾(やまほこ)が3年ぶりにもどってきた。
祇園の山車(だし)の巡行。
kyoutogionmaturi

「祇園祭の起源は、
平安時代の疫病流行にある」

「人々は怨霊のたたりを鎮めようとしたが、
現実には劣悪な衛生環境があった」

当時の京都は汚物の処理が行き届かず、
夏には鴨川が氾濫して、
目もあてられぬ状態になった。

一方、現代のオミクロン対策は、
手洗い、マスク、ディスタンスの堅守。
そのうえワクチンもある。

コラムニスト。
「ウイルスに意思などないことは
分かっている。
しかし今年に入り、子どもたちが
狙い撃ちされたように思えてならない」

「これまで症状が軽かったことなどを理由に、
ワクチン接種が進んでいない層である」

「ここは踏ん張りどころであるが、
一体いくつの夏を踏ん張ればいいのだろう」

結論はいかにも朝日新聞。
詠嘆で終わる。

問題解決的ではない。

政府には緊急事態宣言や「まん防」など、
措置をとる気配はない。

日経新聞電子版に、
日色保(ひいろたもつ)さん登場。
日本マクドナルドホールディングス社長。

1988年、静岡大学人文学部卒業。
ジョンソン&ジョンソン社長を経て、
19年に日本マクドナルド社長兼CEO。
愛知県出身。56歳。
〈同社ホームページより〉
hiirotamotu
タイトルは、
「コロナ下で好調どう維持?」

既存店売上高は、
6月まで24カ月連続で前年クリア。

3月に値上げした影響。
「消費者が値上げを容認するかどうかは
不透明な面がある」

マクドナルドは不況に強いブランド。
しかしそれでも、
「先行きを見通すのは非常に難しい」

慎重な発言だが、
本音だろう。

しかしマクドナルドは、
3月にハンバーガーを値上げした一方、
6月上旬に「ビッグマック」を
期間限定で値下げした。

「新型コロナで生活様式が大きく変わり、
外食産業ではデリバリーや
テークアウトの需要が増えた」

「マクドナルドは12年前に
自前のデリバリーを始めるなど、
ノウハウが蓄積されていたので
巣ごもり需要に対応できた」

「業界全体のデリバリーの需要が
コロナ前の水準に戻るかどうかは
見極めていきたい」

スーパーマーケットで言えば、
ネットスーパーであろうか。

それでも、あくまで慎重だ。

「スマホで注文できるモバイルオーダーに
効率的に対応できるかどうかが、
今後の店舗運営の鍵を握る」

従来はスマホからの注文に、
ドライブスルーは対応できていなかった。

しかし昨2021年、
「約2950店のPOSシステムを刷新し終え、
様々なモバイルオーダーに対応できるようにした」

「4つに分かれていたスマホアプリを、
年内に統合し、使い勝手を高める」

どの産業でもスマホアプリ対応は必須だ。

「情報システムを整え、
スマホを軸にした顧客体験の向上をめざす」

DXはまず、
スマホアプリから。

店舗戦略は、
2024年段階で全国3000店以上の目標。

ピーク時は約3900店まで増えたが、
当時大量に増やした”サテライト店”を閉めた。

「小型店はメニューが少ないなど、
ブランド価値を毀損してしまった」

「こうした小型店は閉めており、
現在はブランドの価値を
表現できる店を増やしている」

ブランド価値が基準である。
これがマクドナルドにとって、
「良い戦略」だ。

戦略が良ければ、
戦術の失敗は
挽回できる。

「ある郊外店では
ドライブスルーのレーンを
1つから2つに増やして
待ち時間を短縮し、
店舗の魅力を高めた」

あくまで顧客の便利性を求める。
店舗の魅力を高める。

それがブランド価値戦略である。

コロナ禍にも値上げ禍にも、
良い戦略の貫徹で臨む。

これが商人舎7月号で訴えた、
「複合危機の戦略と戦術」である。

〈結城義晴〉


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