新渡戸稲造の「急ぐな、休むな」と「急ぐな、もっと休め」
昨日は高崎・前橋から宇都宮まで、
新幹線とレンタカーを使ったけれど、
やはり歩いた。
1万3911歩。
ウォルマートの店長は、
7000坪のスーパーセンターを、
日々、くまなく歩き回る。
2万歩を超える。
日本の総合スーパーの店長、
スーパーマーケットの店長、
かれらもどうやら、
2万歩が標準らしい。
それから比べれば1万3000歩は、
まだまだ少ない。
ゴルフでラウンドすると、
1万5000くらいか。
上手くなると無駄な動きがなくなって、
歩数は少なくなる。
私もアメリカなどで店回りをすると、
2万歩近くなる。
1日10店を巡ることもあるからだ。
昨日のクリニックは、
北関東の蒸し暑さの中で行った。
それで疲れが溜まって、
夜、12時間も眠った。
朝日新聞「天声人語」
「毛筆なのに英文。
格言なのに軽妙」
“Haste not, Rest not”
「急ぐな、休むな。」
新渡戸稲造の扁額(へんがく)。
生誕160年を記念した、
盛岡市先人記念館の遺品展。
イソップ物語の「ウサギとカメ」の教訓。
しかし、
隣にはもう一つの扁額。
“Haste not& Rest more”
こちらは一転、
「急ぐな、もっと休め。」
新渡戸は1862年9月1日生まれ。
1933年(昭和8年)10月15日没。
教育者・思想家。
農業経済学や農学の研究者でもある。
国際連盟では事務次長に任命される。
著書『武士道』は、
流麗な英文で書かれている。
この本はセオドア・ルーズベルト大統領らに、
大きな感銘を与えたという。
東京女子大学初代学長。
五千札の肖像で知られる。
岩手県出身の人物で一番有名なのは、
いまや大谷翔平だろうが、
歴史上は、
原敬や米内光正、鈴木善幸などの、
内閣総理大臣が出ている。
新渡戸は教育者として、
世界中から尊敬を集めた。
コラム。
「気宇壮大な理想を掲げ、
“休むな”と自らを叱咤(しった)しながらも、
休まざるを得ないもろさを自覚していた」
「だからこそ、
日本と世界をつなぐ大きな橋となった」
「急ぐな、休むな」は、
自らへの叱咤だった。
最近はスピードを強調しすぎるかと、
反省もさせられる。
「今日も一日、慌てず、急げ」
私がよく使う自虐的な言葉だが、
これは自分への戒めである。
しかし現代人は、
急ぎ過ぎるのだろう。
新渡戸は
「急ぐな、休むな」と言っておいて、
「急ぐな、もっと休め」と諭す。
どちらも正しい。
元気ならば、
“Haste not, Rest not”
急ぐな、休むな。
疲れたらならば、
“Haste not& Rest more”
急ぐな、もっと休め。
新渡戸はいずれにしても、
“Haste not”
急ぐな。
それが基本である。
「急ぐな、休むな」を一心に繰り返していると、
一つひとつにスピードが出てくる。
その合間には、
「急ぐな、もっと休め」があっていい。
けれどイソップのウサギになってはいけない。
基本は、
“Haste not”
急ぐな。
それがいい。
それでいい。
ありがとうございます。
〈結城義晴〉