エリザベス女王の国葬と老人の日の「老人の言葉」
Everybody! Good Monday!
[2022vol㊳]
2022年第38週、
9月も第3週に入って、
台風14号が上陸。
このところの日本は、
台風の話題ばかり。
今日は敬老の日。
しかし今日は、
エリザベス女王の国葬。
ウェストミンスター寺院で行われた。
11世紀にエドワード懺悔王が建設。
イギリス中世のゴシック建築。
1066年以降、英国国王の戴冠式は、
このウェストミンスターで行われている。
BBCが9時間を超える報道番組を組んだ。
その映像が素晴らしかった。
棺の入場。
王室近衛兵たちが棺を担ぐ。
その後ろに、
新国王チャールズ三世とカミラ王妃。
そして軍服姿のアン王女。
棺は実にゆっくりと運ばれる。
棺が祭壇の前まで運ばれ、
チャールズ王以下の人々が席に着く。
全員が揃うと国葬が始まる。
英国国教会トップのカンタベリー大主教、
ジャスティン・ウェルビーが、
はじめに説教をした。
ウェストミンスター大主教が祈りを捧げた。
ヨーク大主教が故人の功績を称えた。
英国国教会ナンバー2。
ステファン・コートレル。
故エリザベス二世とともに、
この国葬の主役は聖歌隊だった。
葬儀が終わると棺は砲車に乗せられる。
そして厳粛なパレード。
先導するのは騎馬の近衛兵。
砲車は142人の海軍兵士によって、
ロープで引かれた。
この砲車は1952年、
エリザベスの父ジョージ六世の葬儀でも用いられた。
チャールズ王とアン王女も行進する。
チャールズ三世73歳、プリンセス・アン72歳。
パレードは続く。
ユニオンジャックの下を。
秋のロンドンは美しかった。
パレードがウィンザー城に着くと、
その礼拝堂で埋葬のためのミサが行われた。
ここではチャールズ国王が、
エリザベス女王の棺に布をかける。
再びカンタベリー大教主が、
十字を切って故人を偲び、
新国王を祝福する。
最後は国歌斉唱。
「God Save the King」
チャールズ三世は黙って、
その「神よ、国王を守りたまえ」を聞いていた。
最後の最後は女王専属バグパイパーの演奏。
グレイトブリテン連邦の国葬。
感動した。
中日新聞の「中日春秋」が取り上げたが、
ビートルズの「When I’m Sixty-Four」
「私が六十四歳になったら」
あるときポール・マッカートニーが、
老人ホームを慰問した。
一人のおばあさんがピアノで、
ビートルズの曲を弾き終えて言った。
「マッカートニーさん。失礼ながら、
私には歌詞の書き直しが必要です」
その曲は「When I’m Sixty-Four」だった。
内容は、
「64歳になっても、
僕を必要としてほしいな」
「おばあさんにしてみれば、
高齢者扱いするには六十四歳は
若すぎるということなのだろう」
ポールがこの曲をつくったのは、
16歳だと言われる。
チャールズもアンも、
シックスティ・フォーを10歳近くも超えて、
長時間の行進に加わった。
日経新聞の「春秋」
詩人の鈴木志郎康さんのエッセイ。
「放りだされている『老い』」
さまざまな高齢者に、
自らの人生を語ってもらった。
そして詩人は記す。
「普通の老人たちなのに、
どの人の場合も私は、
感動しないではいられなかった」
そして感じる。
「人間というのは、最後には
“ことばを語る”というところに
行き着く存在なのか」
「老人とは濃密な情報の集積であり、
聞く側が彼らの言葉を
価値あるものとして読み解けるかどうかが
問われている」
クイーン・エリザベスは、
最後まで言葉を放った。
そして国民はそれを、
貴重で大切なものだと受け止めた。
彼女は特別な人だった。
しかし普通の老人たちも、
「言葉を語るところに行きつく」
私はまだそこまで行っていないが。
では、みなさん、
今週も、言葉を大切に語ろう。
合掌。
Good Monday!
〈結城義晴〉