俵万智の「美人は性格がいい」と「美店」にはお客が「優しくなる」
横浜駅に隣接して流れる新田間川。
「あらたまがわ」と読む。
商人舎オフィスに出社するときは、
この川沿いの遊歩道を歩く。
春は、特に気持ちがいい。
新田間河畔の桜も、
芽吹き始めた。
もう1週間くらいだろうか。
今年は4月に入ってしまいそうだが、
「待ち遠しい」と待ちかねて、
そこで咲く桜も、いい。
「待ってました」と、
声をかけたくなる。
さて昨日、
ボクシングの世界チャンピオンが、
誕生。
世界ボクシング評議会のスーパーフライ級タイトル戦で、
挑戦者の佐藤洋太が、
タイの王者スリヤン・ソールンビサイに勝って、
世界戦初チャレンジで王座を奪取。
佐藤は27歳、スリヤンは23歳。
これで、日本のプロボクシング世界チャンピオンは、
史上最多の9人となった。
最も激しくて厳しいスポーツ。
殴り合いという最もプリミティブな格闘技。
草食系男子が増えたとか、
飽食の時代だとか言われる日本だが、
史上最多の世界王者。
なんとも頼もしい。
私は白井義男は話でしか知らないが、
ファイティング原田と海老原博幸の時代から、
ボクシング・ファンだった。
父親が力拳を握りながらテレビ観戦し、
母親がしかめっ面をしながらそれを見ていた。
私もひそかに父親と同じ心持を味わっていた。
もちろん矢吹丈や力石徹にも熱くなったが、
それでも、今、9人の世界チャンピオン輩出。
感慨深いし、
興味深い。
そしていつも思う。
日本の若者も捨てたものではない。
亀田兄弟のような例もあるが、
内藤大助のような男もいる。
将棋の渡辺明は、
20歳でタイトル保持者となり、
羽生善治の「羽生世代」を脅かす。
囲碁の井山裕太前名人は20歳4カ月で最年少名人となり、
山下敬吾や張栩らの時代を早送りさせている。
日本人のダイバーシティ(多様性)は、
大いに歓迎すべきことだ。
さて日経新聞夕刊の『プロムナード』。
歌人の俵万智さんが、
「美人は性格がいい(と私は思う)」を書く。
「あなたは、なんで美人とばかり友だちになるの?
いっつも引き立て役なんだから」
俵万智さんの母が、ため息をついた。
「中学のときも、高校のときも、
一番の仲良しは、学年で一番の美人だった」
「別に美人をねらったわけではない。
が、気がつくと、結果としてそうなのだ。
気が合うし、性格のいい人が多い」
ここから俵万智の「美人性格いい説」の考察が始まる。
「世の中の人は、あまりに美しい人を見ると、
せめて性格が悪いと思いたいかもしれないが
(そうでないと、私のように不器量な人が浮かばれない?)
残念ながら、美人は性格が悪くなる確率が非常に低いのです」
性格が悪くなる要因は「人の悪意を受ける」。
しかし「美人の場合、この悪意を受ける場面がとても少ない」
「人間、誰しも優しい面と意地悪な面を持っている。
そして美人に遭遇した場合、
多くの人は優しい面を彼女に向ける」
「みんなに優しくされれば、
みんなにも優しくなれるのが人というものだろう」
だから美人は性格が良くなる。
「もちろん、逆は必ずしも真ならず。
美人じゃなくても性格のいい人はたくさんいる」
「美人じゃないほうの立場を代表して言わせてもらえば、
人に優しくされる前に、
こちらから優しくすればいいのだ」
「ほうっておいても好かれるわけではないが、
こちらから好きになっていけば、たいていの人は、
やはり優しい面をこちらに向けてくれる」
「そうなれば、あとは、
美人と同じ仕組みと展開が待っている(と信じたい)」
私はこの「美人」をずっと、
「店」に置き換えて読んでいた。
岡田徹の詩。
「小さな店であることを
恥じることはないよ。
その小さなあなたのお店に、
人の心の美しさを
一杯に満たそうよ」
人の心の美しさに満たされた店に、
俵万智流に言えば、、
「多くの人は優しい面を彼女に向ける」
東日本大震災のあと、
大船渡のマイヤ社長・米谷春夫さんが言っていた。
「お客さんが優しくなった」
これも「美しい店」すなわち「美店」には、
人々が優しくなるからだ。
「みんなに優しくされれば、
みんなにも優しくなれる」
万一「美店」でなければ、
「人に優しくされる前に、
こちらから優しくすればいい」
俵万智、なかなかに、いい。
もちろん米谷春夫もいいし、
岡田徹もいい。
日本人のダーバーシティ。
なかなかに、いい。
<結城義晴>
2 件のコメント
美店を目指す。大賛成ですね。美人は厚化粧をしません。素顔が一番ステキなのですから。厚化粧でごまかしても直ぐにバレてしまいます。素顔美人というのは、心地良い空間ということだと思います。素顔の店にポイントでお化粧をするということを忘れてはいけないと思います。ヤオコーさんの店を「松島菜々子」と私は表現しましたが、まさに素顔美人だと思いますよ。
立地マン先生、ありがとうございます。
このジャンルのたとえ話、先生は秀逸ですね。
いつも感心させられます。