大寒の句「働いてゐて大寒もまたたく間」
大寒。
「だいかん」と読んで、
二十四節気では、
「冬至」からだいたい30日後。
寒さがもっとも厳しくなるころ。
つまり1年で一番寒い日。
あるいは1年で一番寒い期間の始まりの日。
大寒の大々(だいだい)とした月よかな
〈小林一茶〉
大寒の月は大々としている。
つまりとても大きい。
それが寒さを実感させる。
大寒の埃(ほこり)の如く人死ぬる
〈高濱虚子〉
この句は1940年の作。
虚子66歳の大寒の日に詠んだ。
日中戦争が始まっていた。
虚子は多分、戦争の激化を予感していた。
大寒の日のホコリのように、
人が死んでいく。
人の死は呆気ないものかもしれない。
そんな厭世的な句だ。
ウクライナもそんな状態が続く。
怒りがこみあげてくる。
独りの独裁者のために、
人の命が粗末に扱われている。
新型コロナもいまだに、
人の死を呆気ないものにしている。
虚子でなくとも、
暗くなる。
虚子をもう一句。
大寒にまけじと老(おい)の起居(たちい)かな
大寒にも「負けじ」と、
老人が立ったり座ったりして生きている。
しかし、横浜は暖かい。
私は商人舎オフィスで、
テキストづくりに邁進する。
原稿を書いたり、
テキストをつくったりすると、
そのテーマの中に頭が埋没していって、
それを深く考えることになる。
情報を大量に頭に放り込んで、
そのなかで右往左往していると、
なにか発見がある。
これこそ「考える」ことの実態だ。
そして私は今日、
また、考えた。
発見した。
アメリカの小売業は、
コロナ下を経て、
大きく変わっている。
来週から16日間、
彼の地に赴いて、
それを確認する。
発展させる。
それを表現する。
そしてみなさんにご報告する。
それを受け止めていただいて、
仕事に活かしてくれる。
ありがたいことだ。
働いてゐて大寒もまたたく間
〈鈴木真砂女〉
真砂女(まさじょ)は波乱の多い女性だった。
昭和期を代表する俳人。
働いていると大寒の日も、
瞬く間に終わってしまう。
それがいいのだ。
ありがたい。
〈結城義晴〉