ヤオコー23期連続増益とワオン・ナナコでFSP・CRMブームの予感
昨日4月25日の晩、
帰宅したら、
プレゼントがあった。
開けてみると、
財布と名刺入れ。
この4月に就職した長女が、
25日にはじめて給料をもらって、
最初に買って、贈ってくれたもの。
一方、私の自宅の近くに、
ローソンがオープンする。
車で買い物に来ることはないが、
駐車場も広いし、
格段に便利になる。
期待が持てる。
これもなんだか、
私へのプレゼントのような気分。
店は毎日、
顧客になにがしかのプレゼントを、
贈っているようなものだ。
プレゼントするときの気持ち。
相手に対する思いやり。
プレゼントされた時の気分。
相手に対する感謝。
店とはそんな人間の気持ちが、
行き来するところだ。
大切にしたい。
『ほぼ日刊イトイ新聞』。
その巻頭に糸井重里さんが書く巻頭言。
「今日のダーリン」がいい。
「『わるいことを成功させる』のは、
難しいものです」
えっと、思う。
ここから小沢一郎陸山会事件に進むのか?
東京地方裁判所は無罪判決を下したけれど。
「ま、ものすごく穏便な例を出すならば、
野球の『盗塁』というものは、
(相手にとっての)『わるいこと』です。
『盗塁するぞ、盗塁するぞ』と言うだけなら簡単ですが、
ほんとうに盗塁を成功させるのは、難しいですよね」
糸井さんは昔の「どろぼう」を例にとる。
「ほっかむりをして、口のまわりのひげが濃くて、
大きな風呂敷を背負ったおっさんね」
「これにしたって、実際にやるとなったら大仕事です。
どろぼうを贔屓するわけではありませんが、これも、
ふつうに働いたほうがよっぽどラク、というくらいの、
めんどくさい大仕事なんじゃないかなぁ」
「ほんとうによくよく想像してみると、
犯人の側の身体的、精神的な仕事の質量というのは、
並大抵じゃないと思いますよ」
「いいことだって、ふつうのことだって、
実際にやるのは、ちっとも簡単じゃないですよ。
簡単なのは、『言ってるだけ』の人だけです」
「『わるいこと』『いいこと』『ふつうのこと』、
どれもぜんぶ、なかなか難しいものなんです」
仕事はみんな難しい。
そしてつぶやく。
「『言うだけ』だったら、なんとでもなるのにねぇ」
命令しているだけの人。
指示しているだけの人。
口だけの人。
「けしからん。ああせい、こうせい」「こうしてやる」
「責任もなくて、実現しなくてもいいのだったら、
それこそ『命をかけて』とかも、言い放題です」
「ぼくらの見ているインターネットの世界って、
そういう『言うだけ空間』になりやすいんですよね」
「『ネットの発言、8割引』ってことばを、考えました」
私自身、立場上、
「言うだけの人」になりやすい。
このブログも「言うだけ空間」となりやすい。
学者、コンサルタント、ジャーナリスト、
「言うこと」を仕事としている人は多い。
もちろん「考えること」を前提として、
「言うこと」をしている。
政治家も経営者も、
その面では似たようなところがある。
だから私は、せめてもと思って、
人ができそうもない、自分にしかできないことを言い、
それをやっている。
糸井さん、
「ネットで言うことと、
現実で言うことを同じにしたいです」
まったくの同感。
ヤオコーが、
23年連続経常増益を果たした。
例によって日経新聞の独壇場記事。
ヤオコーの23期連続増益は、
「ふつうでないこと」「いいこと」だし、
本当に難しいこと。
ヤオコーは、
「言うだけ」ではなく、やる。
川野幸夫会長は、いつも、
「みんなのおかげ」を強調する。
ヤオコーの2012年3月期の連結営業収益は、
2370億円、7%増。
既存店売上高は1.2%増。
連結経常利益は105億円で、
前の期比11%増。
単独決算のみの時期を含めて、
23年連続増益。
新規出店は8店舗だった。
そのうえで、
店舗運営の効率を高めて経費も圧縮した。
記事には「各店舗で異なっていた作業を、
効率の高い店舗に合わせて標準化」とあるが、
これは作業問題の改革がなされたことを意味している。
2013年3月期も増収増益を見込む。
そしていよいよ、
「ポイントカード導入」本格化。
4月の商業経営問題研究会例会で、
㈱たいらやの村上篤三郎社長も語っていた。
今年は、どうやら、
フリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)や、
カスタマー・リレーション・マネジメント(CRM)の、
大ブームがやってきそうだ。
もうひとつ日経の記事。
「電子マネー2年で倍増」
イオンとセブン&アイ・ホールディングスの、
電子マネー事業拡大のニュース。
日本経済新聞社の推計によると
2011年度のプリペイド式電子マネー6社の決済総額は、
前年比3割増の2兆1000億円。
2001年に初の電子マネー「エディ」「スイカ」が登場。
その後、8年で、1兆円。
それが、直近の2年で2兆円に倍増。
商品券・ギフト券市場は数千億円、
クレジットカードの取扱総額は約30兆円。
けん引役はイオンの「ワオン」とセブン&アイの「ナナコ」。
2011年度はワオンだけでも1兆円を超えた。
全体の7割強をこの流通系電子マネーが占める。
利用される店舗も、初めはコンビニ中心だったものが、
食品スーパーマーケットや総合スーパーにまで広がっている。
主要6電子マネー全体で、
1回あたりの平均決済金額は800円前後。
それが総合スーパー、食品スーパーでは、
2000円の客単価程度に上昇する。
両者の取り組み。
イオンのワオンは3月末で2440万枚発行。
イオン・グループおよびショッピングセンターのテナント約2万3000店で使用できる。
このうち、総合スーパーでは、
なんと支払額の約25%を占める。
ワオンは2014年度までに、
決済総額を2兆円に倍増の予定。
そのためにイオンは、
自社の店舗やショッピングセンター以外でも、
使える店舗、施設を増やしている。
今年3月には、日本航空とビックカメラと提携。
4月には長崎のテーマパーク「ハウステンボス」に導入。
ハウステンボスの平均客単価は8000円強で、
ワオンの平均利用額の約4倍。
さらに各地の商店街と提携した「ご当地ワオン」も拡大中。
全国67カ所で120万枚を発行、
数年内に全都道府県で400万枚に引き上げる計画。
セブン&アイ・ホールディングスのナナコは、
同じく3月末で、カード発行1653万枚。
前年同期比27%プラス。
セブン-イレブンをはじめとして、
国内に1万5000を超すグループ店舗を有する。
このうち、コンビニのセブン-イレブンでは、
特定商品にナナコ利用で数十ポイントを付与する販促を展開。
積極的に顧客を囲い込む。
イトーヨーカ堂は、この4月から
「シニアナナコ」を発行。
65歳以上限定の電子マネーカード。
年金支給日に当たる15日に、ほぼ全品を5%引き。
さらに6月までに東北のヨークベニマル約170店にナナコを導入。
その後、ロフト、赤ちゃん本舗など、
約800店のグループ店舗に拡大予定。
この流通系の電子マネーは、
買い物の会計時に小銭を扱う煩わしさがない。
そのうえ、ポイントがつく。
ナナコは100円の買い物につき1円相当。
ワオンは200円で1ポイント。
この電子マネーとカード化の動きのなかで、
セブン&アイは購買履歴を分析し、
売場作りや売れ筋商品の仕入れ、関連販売に使う。
これもFSPやCRMの考え方そのもの。
今年後半から来年にかけて、
FSPとCRMの大ブームが、
やってきそうな気配である。
<結城義晴>
4 件のコメント
結城先生、いつもブログ拝読させて頂いております。
今日の冒頭、うれしい記事が・・・なんと社会人1年生のお嬢様からのプレゼント!!結城先生のとろけるような笑顔が浮かびました。そして私まで、嬉しくなりました。
心優しく素敵なお嬢様になられたのですね。おめでとうございます。一生の宝物ですね。
ご家族の温かい気持ちに包まれた、結城先生のますますのご活躍、期待致しております。
えりこ様、ありがとうございます。
なんだか、照れくさい話でしたが、
ちょっとうれしかったので、
書いてしまいました。
お恥ずかしいかぎりです。
娘には、自分の道を歩いてくれることを、
祈っています。
そしていつも周りの人々を、
幸せにする努力を惜しまないことを。
結城先生はじめまして。
浅野先生に出会えたことにより、ブログを拝見させていただきました。
これからも勉強させて頂きます。
宜しくお願い致します。
安島大司さま、ご投稿感謝。
これからもよろしく。