アメリカ研修14日目の「虫の目・鳥の目・魚の目」と「心の目」
1月27日に成田空港を発った。
そして2週間が経過した。
ほぼ同じルートをバスで走り、
ほぼ同じ店舗を訪れ、
ほぼ同じ講義をした。
もちろん完全コピーではない。
人間だからその都度、
ちょっとずつ異なる。
聞く相手が変わるから、
その人たちに合わせて話すと、
違いも出てくる。
それを三度繰り返して、
今、四度目。
同じ店を曜日が異なる日に訪れる。
だから変化を発見することができる。
プロモーションが変わっている。
ポップアップセールは企画が変化している。
それが面白い。
帰国して、整理してみるつもりだ。
ロピア第4班の2日目。
リード役のもと、
皆でロピアの理念と7大用語を唱和する。
会議室ではマスク着用。
視察店ではマスクなし。
郷に入っては郷に従う。
結城義晴の第1回講義。
講義の前に初日の一部の行動を指摘して、
苦言を呈した。
それからアメリカの社会と消費、
そしてチェーンストア、
スーパーマーケットの、
潮流の変化を解説する。
虫の目、鳥の目、魚の目。
「虫の目」とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
「鳥の目」は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。
「魚の目」は、流れを見る力。
時間の経過の中で、
現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。
そして、四つ目は、
謙虚で、真摯で、
真っ正直な「心の目」である。
ロピアの場合、
団長の福島道夫さんが、
この四つの目の持主だ。
私の初日の講義は、
「鳥の目」と「魚の目」を、
ロピアのチーフたちに向けて、
提示することだ。
「虫の目」はそれぞれが現場で学ぶ。
サムの「10ルール」や、
リッツカールトンのクレド、
働きがいのある企業ランキングを示して、
カスタマー・サティスファクションと、
エンプロイー・サティスファクションを、
説明する。
バスに乗り込んで、
ベイブリッジを渡り、
対岸のバークレー市へ。
バスの中でも浅野秀二先生と交代で講義は続く。
そして、
バークレーボウルへ。
屋外売場には果物が山積みで、
デモンストレーション。
青果部門は全体の3割の売上構成比だ。
青果の「選別値入れ」技術が、
創業者の故グレン・ヤスダさによって、
この店に定着して利益を生み出す。
鮮魚、精肉、乳製品、日配品も、
そしてグロサリーも、
独自の品揃えである。
バスを北東へ1時間ほど、
ウインコフーズに到着。
スーパーウェアハウスストア。
スーパーマーケット業態のなかの、
倉庫型ディスカウントタイプの店。
フォーマットとして確立されている。
福島さんが指導している。
天井は高くて、スケルトン。
ローコストづくりの店舗。
そしてウォルマートよりも安い。
企業規模はウォルマートの70分の1。
なぜ、スケールが小さくても、
ディスカウントできるか。
それがウインコの重要なカギを握るものだ。
ビールのバラ商品は、
リーチインケース。
箱売りは右の入り口から入って、
冷蔵室内に陳列されている。
その冷蔵室の中。
部屋全体が冷却されている。
レジの前のラックのパン売場。
ここを調べるところはセンスがいい。
大事な売場だ。
陳列台に滑車がついている。
よく売れる商品、よく売れる価格。
これは買っていって食べてみるのがいい。
ナゲットマーケット。
入口右手が対面のデリ売場。
この店ではランチをとる。
ホットスープはホールフーズと同じ。
しかし3種類のカップそれぞれに、
1ドルずつ安い。
奥主通路のグロサリーエンド。
この会社はすべてがきちんとしている。
クレンリネスが徹底されている。
それが戦略そのものとなっていて、
コロナ禍で客数を増やした。
店長室を覗いてみた。
デスクの上に「ロピタ」が飾られていた。
そしてインタビュー。
四度目のサプライズで、
巨大なロピタの贈呈。
第4班リーダーと写真。
そのレクチャーと質疑応答。
料理教室として使われた部屋。
壁に掲げられた「マントラ」の説明。
ナゲットの哲学が記されている。
「マントラ」(Mantra)は、
サンスクリット語の「文字」「言葉」。
ナゲットは象徴的な表現を、
「マントラ」と呼んでいる。
この3年の間に考えられた。
インタビューが終わって、握手。
そして全員写真。
ナゲットを辞して、
ダラーツリー。
1953年にBen Franklinに加盟。
バラエティストアのフランチャイジーとなった。
ウォルマートのサム・ウォルトンは、
8年前の1945年に同じジーとなっている。
それから1986年に、
独自に1ドルストアを開業。
今、1万5000店の大チェーンとなった。
夜の料理コンテストのために、
1ドル商品を買い集める。
それから、
コストコホールセール。
ロピアの研修は、
店を訪れて、商品を買って、
それから食べる。
写真を撮っただけで終わりではない。
それを促すために料理コンテストを実施する。
この店には3日おきに来ているが、
プロモーションアイテムが、
ガラリガラリと変わる。
「売り切れ御免」の顧客へのアピールを、
最大限に活用して、売場を変化させる。
価格はウォルマート以上のEDLPである。
ベイブリッジを戻って、
セーフウェイ。
このサンフランシスコ地区で、
25.8%の最大のシェアを持つ。
アルバートソンと合併して、
全米第2位。
しかし第1位のクローガーと、
経営統合する方向でことは進んでいる。
クラブカード戦略をとっていて、
ベビーブーマー世代の顧客は残っているが、
ミレニアル世代などからは拒否されている。
その対面売場で、
福島さんがレクチャーしている。
同じショッピングセンターに、
トレーダー・ジョーがある。
1班が訪れたときから売場の改造中。
今日は冷凍食品売場の商品を撤去して、
改造を試みている。
アメリカでは改造中でも、
平気で営業している。
そして顧客は平気で買物している。
ロピアのメンバーも、
一番買うのはトレーダー・ジョーだ。
長いながい2日目が終わって、
ホテルに戻ると、
キッチン付きの部屋に戻って、
グループごとに調理に勤しむ。
集合はセミナー室に午後7時。
福島団長が仕切って、
料理コンテストが始まる。
すでに班ごとに陳列が終わっている。
ヨーイドンで、手を挙げると、
福島さんが指名する。
そして班ごとのプレゼンテーション。
打ち合わせに余念がない女性陣。
プレゼンテーションのあと、
全員で試食。
そして全員で10点満点の採点。
自分のグループには投票してはいけない。
採点とその集計が終わって、
全員が席について成績発表。
3位チーム。
おめでとう。
そして2位の準優勝チーム。
こちらもおめでとう。
最後に、優勝チーム。
思わず万歳。
そして拍手。
入念に計画し、準備し、買物し、
料理して、プレゼンテーションをした。
全4班中でも最高点のグランプリだった。
心からおめでとう。
ロピア米国研修2週間目も、
緊張と充実の1日。
「この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯」
故倉本長治商業界主幹の言葉が浮かんだ。
(まだまだつづきます)
〈結城義晴〉