将棋名人戦の藤井聡太勝利とセブン&アイ11兆円の決算報告
商人舎の体育の日。
桜も終わりの季節。
芽生える新緑と散り際の桜。
そして遅咲きの桜。
日本の桜はソメイヨシノが基準だ。
だからそれより早いのが「早咲き桜」
遅いのが「遅咲き桜」。
挑戦者の藤井聡太竜王の第一手は、
いつものように「お茶」。
つまりまずお茶を一口飲む。
それから本当の初手は、
8四歩。
持ち時間はそれぞれに9時間。
2日にわたって指される。
将棋界で一番古い歴史を持つタイトル。
江戸時代初期の1612年から、
家元制として名人位が受け継がれている。
実力名人制は1937年に始まって、
今、81期。
2日目も午後になって、
わずかに差がついてきた。
「藤井曲線」と言われるが、
ちょっとだけ生まれた差が、
どんどん開いて大勢が決まる。
戻ることはほとんどない。
つまり逆転の可能性が少ない。
虚空を見つめる渡辺名人。
そして投了。
史上最年少の20歳の名人に向けて、
藤井聡太が先勝。
七戦のうち4勝すれば、
将棋タイトルの七冠を獲得することになる。
38歳の渡辺名人の奮起が望まれる。
それを期待する。
そのほうが面白いから。
さて私は夕方から、
決算説明会。
㈱セブン&アイ・ホールディングス。
いつものように電話会議。
冒頭に井阪隆一社長が、
顔を出して一言挨拶。
それからはずっとパソコンに、
パワーポイントの画像が映された。
音声は電話を繋いで、
手元のスマホから聞こえてくる。
商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
2023年2月期営収11兆円超/米国コンビニ効果で最高益
2023年2月期決算。
営業収益11兆8113億円。
日本の小売業史上初めて、
売上高が10兆円を超えた。
対前年比35.0%増。
営業利益5065億円。
30.7%増。
経常利益4759億円、
32.7%増。
当期純利益2810億円、
33.3%増。
すべて過去最高を更新。
井阪さんも幹部の人たちも、
もっともっと胸を張っていい。
セグメント別実績にそれが顕著に出ている。
増収増益の推進役は、
米国コンビニエンスストア事業である。
2021年に約2兆円を投じて、
Speedway(スピードウェイ)を買収した。
もちろん7-Eleven, Inc.は、
全米トップのコンビニチェーンである。
海外コンビニエンスストアの営業収益は、
8兆8461億円。
前年比70.3%増。
これだけでイオン㈱を凌ぐ。
もちろんここには、
1ドル131円換算のレートが影響した。
ガソリン売上げ増も大きく貢献した。
それでも11.8兆円のうち、
8.8兆円が海外コンビニだ。
胸を張るのは恥ずかしいか?
同社の分類の「スーパーストア事業」は、
イトーヨーカ堂と、
ヨークベニマル、ヨーク。
総合スーパー業態とスーパーマーケット業態。
その営業収益は1兆4492億円、
前年比20.0%減。
営業利益は1億2107万円で、
マイナス35.4%。
イトーヨーカ堂はすでに、
首都圏にネットワークを集中し、
直営アパレルから撤退する意志を表明している。
社内は混乱し、もめている。
ヨークベニマルは、
既存店売上げは前年を下回ったが、
営業利益は180億円で22.5%の増益。
子会社のライフフーズと、
昨2022年3月1日付で合併した。
それによって商品粗利益率も改善した。
百貨店・専門店事業は、
営業収益4637億円、34.9%減。
売却先も見つかって、
最終段階の詰めをしている。
一応の決算説明が終わってから、
質疑応答の時間が設けられた。
その質疑の間、パソコンには、
この画像が出ていた。
井阪さんの顔が見たかったが、
声が聞こえてくるだけだった。
残念だ。
米国の物言う株主バリューアクトからは、
定時株主総会に諮る書面が届いている。
「取締役の選任に関する株主提案」
このバリューアクトの選任案の名簿には、
井阪社長と後藤克弘副社長、
社外取締役の伊藤邦雄氏と米村敏朗氏が、
含まれていなかった。
この件に関しては、
NHKなどから、
質問が出たが、
答えはなかった。
歴史に残る決算説明会のはずが、
「言い訳」に終始した観がある。
もっと胸を張っていい。
そのためにも、
顔を出して自信をもって発言すべきだ。
「男の顔は履歴書である」
故大宅壮一氏の名言。
11兆円の顔なのに。
その顔を晒さないのはもったいない。
ああ、もったいない。
〈結城義晴〉