消費の天窓を開け放て!
コロナ禍が明ける。
5月8日に新型コロナは、
「5類」に移行された。
明けることはめでたい。
必ずしもマスクをする必要はなくなる。
感染療養期間中の外出は個人の判断となる。
医療費などは個人負担になる。
ワクチン接種は毎年の恒例となる。
けれど不安が完全になくなるわけではない。
現在も新しいXBB系統のコロナが流行している。
手洗いと換気の励行、三密の回避は無意識にも続く。
コロナによって変わった生活はそのままだ。
ここには不可逆性の原理が働く。
コーヒーとミルクを混ぜることは易しい。
だがそれを元に戻すことは難しい。
変わること、変わらぬことを見きわめねばならぬ。
ほとんどの店はマスク着用で接客する。
店舗入口の消毒液はしばらく設置される。
アクリル板などのパーテーションも外されない。
効果やコストを踏まえてそれぞれが決める。
だが生活の制約は少なくなる。
それは人々にとって朗報である。
自由であることが生活意欲を高める。
消費を活気づかせる。
コロナ禍が明ける。
明けることはめでたい。
ここは消費社会の天窓を開け放って、
さわやかな空気を吹き込もう。
それが小売業の役割である。
サービス業の使命である。
日本の消費社会の天窓を開け放って、
さわやかな空気を吹き込もう。
〈結城義晴〉
(注) 1919年、芥川龍之介は「あの頃の自分の事」のなかで、武者小路実篤や志賀直哉の白樺派の運動を「文壇の天窓を開け放つて爽やかな空気を入れた」と記した。