Las Vegas3日目の講義と視察と調査と考察
商人舎US研修会Basicコース。
毎年1回ずつ重ねて、
コロナ禍の3年間、
中断して、今年再開。
第11回を数える。
そのLas Vegas3日目。
宿泊は新装なったホースシューホテル。
その1階の会議室。
朝8時から2回目のセミナー。
Basicコースでは毎朝、
2時間半から4時間のセミナーを実施する。
今日の結城義晴の講義は、
この研修のメインテーマとなる。
なぜならば明日の朝、
理解度判定テストを行うからだ。
テストには、
最も重要なテーマを出題する。
すべてが重要だが、
もっとも重要なテーマだ。
だから講義にも力が入る。
休憩もとらず、
一気呵成の2時間半。
米国チェーンストアに、
共通する理念。
61兆円のウォルマートから、
たった2店舗のインディペンデントまで、
不思議なことに理念は共通する。
その第1は、
Take Care of Customers and Associates.
お客様と従業員に配慮せよ。
そして第2は、
Think small.
小さく考えよ。
Retail is Detail.
小売りの神は細部に宿る。
つまり小さく、狭く、濃く、深く。
それから、
チェーンストア経営理論と、
結城義晴のフォーマット戦略、
ポジショニング戦略。
ご清聴を感謝したい。
講義を終えるとすぐに視察と調査に出かける。
まずはターゲット。
ウォルマートと同じ業態を展開する。
そしてウォルマートに負けない、
ポジショニングを確立する。
アパレルが強い。
ウォルマートよりファッショナブル。
それでいて安い。
しかもこんなサイズ展開をする。
レディスは太めのマネキンを使うが、
メンズにはそれがない。
なぜか。
皆さんも考えてみてください。
明日、解答を書こう。
キッズは最近、特に力を入れている。
本当にかわいい。
自転車のプレゼンテーションは、
2段になっている。
ターゲットの食品売場は狭い。
スーパーターゲットが、
食品を充実させてデリまで扱う。
その狭い食品売場を調査する。
狭いけれどユニークな品揃えだ。
プライベートブランドにも強い支持がある。
ベーカリー部門の調査チームから、
相談を受けてアドバイスする。
ノンフード部門調査チームは、
アイテム数も陳列数も多いので苦労している。
ターゲットは一時期、
客離れが激しかったが、
それを持ち直した。
私もうれしい。
次にネイバーフッドマーケット。
ウォルマートのスーパーマーケット。
㈱田子重から参加した杉山海哉君。
調査は全員で、全店を行う。
実地棚卸と同じ手法。
つまり数量を調べる係と記入する係。
売場で㈱大阪屋ショップのお二人から、
ネットスーパーについて相談を受けた。
ネイバーフッドマーケットも、
大きく変化している。
フォーマット･カラーが、
スーパーセンターと同じになった。
レジはすべてセルフとなった。
ネット販売が増大した。
フォーマット･カラー問題は、
このネットの強化と関連している。
その理由は月刊商人舎誌上で明らかにする。
スミス･マーケットプレース。
今年1月にオープンした最新店。
実にいい店だ。
すべては月刊商人舎で紹介しよう。
天井は高く、売場は広く、
品揃えも豊富で、価格は安い。
デリ部門からミート部門へ。
今はまだ客数が少ないが、
絶対にドル箱店舗になる。
シーフードとミートの対面売場。
乳製品売場はリーチインケースを多用する。
主通路上のプレゼンテーションも凝っている。
それでもクローガーの全体の経費率は16.9％だ。
クローガーは必ず、
ファーマシーを併設する。
アパレルも実験中だ。
そのブランドはdip。
このスミスでランチ。
そして駐車場に集合。
ここでも元気を出して、
全員写真。
ボンズ。
アルバートソンがこの地区で展開しているバナー。
もともとはセーフウェイが運営していた。
しかし2014年3月、セーフウェイは、
アルバートソンを傘下にもつ
投資会社のサーベラス社に買収される。
そして、2015年1月、
アルバートソンに吸収合併された。
セーフウェイ時代から得意としていた、
フラワー売場。
マザーズデーを前に力が入る。
一丁目一番地の平ケースで、
カットフルーツを展開。
｢Buy１Get1 Free｣のプロモーション。
1個買えば1個もらえるという販促。
最近もこの情けない販促が増えている。
青果売場のバルーン。
売場を華やかに演出しても、
顧客がいない売場は閑散としている。
奥主通路にも人の姿は見えない。
現場は一所懸命にプロモーションしているが。
ミート＆シーフード売場の対面コーナー。
従業員同士が会話しているだけ。
顧客かと思えば、
調査チームの姿。
ファーマシーは奥主通路にあって、
マグネットの役割を担う。
ピックアップコーナーにお客の姿がある。
処方薬を定期的に求める顧客だけは、
ボンズを利用する。
ベーカリーとデリカテッセン。
顧客の姿のない店ほど、
無残なものはない。
その中で従業員は頑張っている。
果たしてクローガーとの合併で、
アルバートソンやボンズは復活するのか。
ウィンコフーズ。
2023年1月期は年商89億2000万ドル、
100円換算で8920億円。
134店舗でこの売上げを誇る。
倉庫型ディスカウントスーパーマーケット。
店舗面積は7500㎡。
ノンフリルの低投資型店舗で、
ローコストオペレーションに徹する。
価格は地域一番を目指して、
圧倒的に安い。
調査でそれが明らかになる。
特徴的なバルク売場。
バルクで販売できるものは、
なんでも揃える。
その数600品目。
対面のデリとミート･シーフードの売場。
広大な売場で、
パレット陳列やラック陳列を多用する。
そして単品量販する。
視察の最後は
ホールフーズ。
ライフスタイルセンターの一角を占める。
入口を入ると、オーガニックの青果売場。
しかし、以前よりも売場は狭くなった。
その分、雑貨売場のスペースが増えている。
シーフードの対面売場。
ホールフーズは鮮魚を部門化している。
アメリカでは極めて珍しい。
大抵、シーフードは、
はミート部門の一カテゴリーである。
婉曲するように
ミートの対面売場が続く。
奥主通路を突き当たった
第3コーナーにはワイン売場がある。
最終コーナーは、
フードサービスデリとベーカリー売場。
フレッシュな商品が減り、
加工食品や雑貨が増えた。
インフレ下で、
割高な価格政策のホールフーズは、
以前のような元気がない。
しかし売場に顧客が少ないのは、
その分をアマゾン･プライム会員が、
Netで購買しているからでもある。
視察を終えて、
一仕事してから夕食。
ホテルに隣接するイタリアンレストラン。
Giordano’s。
ディープ･ディッシュ･ピザが有名だ。
窓辺のテーブルから、
ベラージオの噴水ショーが見える。
15分おきに繰り広げられる水のショー。
イタリア料理とビールを堪能しながら、
ショーを楽しんだ。
今日もいい1日だった。
ありがとう。
(つづきます)
〈結城義晴〉
