商人舎ミドルマネジメント研修の「マネジメントの本質」
ドイツで脱原発が実現した。
稼働していた最後の3基が、
送電網から切り離された。
今後の電力供給は、
再生可能エネルギーを柱とする。
もちろん課題は多い。
2011年3月の東日本大震災の際、
東京電力福島原発が事故を起こした。
これを受けて当時のメルケル政権は、
「脱原発」の方針を打ち出した。
そして当時稼働していた17基の原発を、
段階的に停止してきた。
とうとう原発が稼働していない国となった。
それでもドイツの世論は、
脱原発反対派が59%、
賛成派は34%。
ドイツ経済界も反発する企業が多い。
ここにも、
トレードオンの問題解決が迫られている。
それでも脱原発をやってしまうドイツ。
二度の世界大戦を引き起こし、
二度もそれに負けたけれど、
凄い国だ。
さて、私たちは湯河原。
第20回ミドルマネジメント研修会。
初日の講義の中から、
5つの設問をする。
30分間に全神経を集中させる。
終わるとため息が漏れる。
背伸びする姿も見られる。
9時から結城義晴の講義。
鈴木哲男先生の52週MDに関しても、
ストアコンパリゾンに対しても、
私は大いに賛同しつつ、
別の説明の仕方をする。
午前中はマネジメント理論の変遷。
つまりマネジメントの歴史。
ここに大企業病や悪しき官僚化の根本原因がある。
テーラリズムとフォーディズム。
いつも米国の牛肉パッカーの話をする。
ヘンリー・フォードは、
その解体工場からヒントを得て、
自動車製造のオートメーションを考えついた。
アンリ・ファヨールの管理過程論から、
人間関係論や行動科学、リーダーシップ論、
そしてドラッカーやミンツバーグまで。
すべての企業に大企業病のDNAがある。
官庁や大企業、そしてチェーンストア志向企業に、
悪い組織の兆候が出ている。
ランチを挟んで、
計数の基礎講座。
白部和孝先生がおしえてくれていた講義内容を、
そのまま踏襲して、継続性を担保する。
演習の時間を設けて、
商品回転率や交差比率、
人件費率や人時生産性を計算してもらう。
それを指導する。
山本編集長の講義のあとは、
結城義晴の3時間。
初めに計数講座の補講。
PLとBSの基本と、
その両者に関係するROAの根拠など。
そのあとはドラッカーを中心に、
マネジメント手法やリーダーシップ論の解説。
それぞれに5つの概念が使われるが、
それが対比的な行動提起となっている。
リーダーシップ手法では、
ケン・ブランチャードのチームマネジメントを、
具体的に説明する。
そして最後の最後に、
チェーンストアの本質論。
本質から外れて、
テクニカルなチェーンストア経営論が多い。
しかし今、その本質にもどるときだ。
1日の疲れを癒してくれるのは、
魚介と肉の豪勢な夕食。
事務局のテーブルの隣で、
大いに盛り上がる元気なつわものたち。
アルコールは解禁だが、
誰も飲もうとしない。
なぜなら復習が待っているから。
派遣してくれた企業トップの皆さんが、
このブログを見ている。
こちらは関西スーパーマーケットの皆さん。
たくさんの受講生を派遣してくれた。
そして事務局席。
手前は山本編集長。
奥に高野保男先生と私。
高野さんは明日の朝一番の講義。
前日入りしてくれて、情報交換をする。
これが楽しみだ。
夕食を終えると、
自習室として開放された研修会場に、
三々五々受講生が集まっている。
背を丸めて静かに学ぶ姿。
いつもいつも感動する。
私は6時間の全力講義の疲れもあって、
部屋に帰るとそのまま爆睡した。
商人舎のミドルマネジメント研修。
かなり高度な内容を、
丁寧に教授する。
トップや人事部門の人たちに知っていただきたいのは、
しつけや道徳を教えているわけではないこと。
トップマネジメントになるために、
ミドルマネジメントは存在するのだ。
だからマネジメントの本質を手ほどきする。
その意味では、
トップマネジメントこそ、
この研修を受けてほしいものだと思う。
(つづきます)
〈結城義晴〉