商人舎秋のUSA研修とコーネル大学リテールマネジメント・プログラムの発表、そしてイオン第1四半期最終赤字に思う
今月の商人舎標語。
「Save Money! Live Better!」
「財布を閉めろ!よりよく生きよ!」
ウォルマートの最新のキャッチフレーズを拝借した。
ご活用のほど。
さて第1四半期、日本小売業の両雄が停滞。
特にイオンは連結で、最終赤字。
セブン&アイ・ホールディングスも営業利益横ばい。
特にかつてGMSと呼んだ「総合スーパー」が大不振。
今日は、この20世紀的なものが、
社会から否定されかけているという話。
だからアメリカ報告はいったん中断。
ご了解ください。
そしてご期待も、ください。
まだまだHEBに関しては、対ウォルマート作戦、
フード&ドラッグの経費構造、
HEBプラスというコンビネーション・タイプの進化度を、
書く予定です。
ウォルマートに関しても、
ダラス・プラノ地区のアップスケールタイプが、
さらに組織変更を伴った改革に入ったこと、
エコストアが普及版に入ったことなど、
報告します。
ホールフーズとトレーダージョーの最新情報。
ニッチのポジションを確保している店舗の紹介。
これは面白いですよ。
①ゼイバーズ
②フェアウェイマーケット
③ガーデン・オブ・エデン
④スチュー・レオナード
テーマも材料も山ほどあります。
ないのは時間だけ。
考えてみると、ブログというメディアは、
スペースに関しては無限です。
だから何とか商人舎ファミリーの皆さんのためにも、
自分のためにも、
時間をつくります。
問題はここだけ。
と言っているうちに、
秋の商人舎USA視察研修の詳細が発表されました。
’08秋USAスーパーマーケット視察研修会
早めにお申し込みください。
今回ご参加の「第一回歴史的研修」商人舎ファミリーの皆さんが、
もう次回のご参加を打診されています。
お蔭様で、また、満員御礼になることが予想されます。早めにお申し込みください。
もうひとつ、重要なご報告。
私が渡米している間に、発表されました。
コーネル大学リテールマネジメント・プログラム応募要項
学長は、エドワード・マクラフリン博士。
コーネル大学学部長。
私が、日本を代表して副学長。
荒井伸也さんが主席講師。
1カ月に1泊2日の集中講座の1年間ロングランコース。
その第一期生募集のお知らせ。
7月末日が最終締め切りです。
そして8月4日、最終選考会。
8月11日合格通知送付予定。
開校式は10日3日。
次代のリーダーを養成します。
しっかり勉強してもらいます。
経営者としての知識とスキル、理念を身に着けてもらいます。
一生の仲間が出来ます。
そのために、意欲溢れる知識商人を募集します。
詳細は日本セルフ・サービス協会ホームページをご覧ください。
この学校は、オープンマインドです。
協会加盟以外の方々も歓迎します。
スーパーマーケット業界の業界内大学です。
このフォーマットが時代に乗り遅れないよう、
研究し、指導します。
そのために全米有数のコーネル大学と提携しました。
勇気を持って、ご応募ください。
さて、イオンの四半期決算。
この方式で業績発表し始めた2006年以降、初めての最終赤字。
ショックは大きい。
売上高は1兆2792億円と4%プラス。
しかし営業利益が、226億円と前期比20%マイナス。
そして最終損益が92億円の赤字。
主な理由は、衣料品および住関連用品の売り上げ不振という。
食品は、トップバリューの絶好調に近い推進力で、伸びた。
問題は、総合スーパー。
セブン&アイ・ホールディングスも、
3カ月で営業収益は1兆3927億円と2%のプラス。
営業利益は710億円とほぼ100%をキープ。
しかしこれは連結であって、
セブン-イレブンのタバコ販売が、
営業利益65%増と大貢献したため。
こちらも総合スーパーやファミリーレストランのデニーズが大不振。
すなわち20世紀的フォーマットに、
金属疲労的構造問題が、
起こっていることになる。
かつて「GMS」と呼ばれた総合品揃え型の大型店。
衣料品をカテゴリーキラーに取られ、
住関連部門を新専門店に奪われ、
その存在意義すら問われている。
イオンは、125店の店舗を遡上に上げ、
そのうち40店を閉鎖する。
正しい判断だ。むしろ遅いくらい。
しかもこれらはほとんどが、単独店や駅前立地店。
郊外ショッピングセンターの店は機能している。
アメリカを見ると、
ウォルマート・スーパーセンターは、絶好調だ。
同社が新フォーマット実験を開始するのは、
スーパーセンターが不振だからではない。
全米で飽和を迎えているからだ。
日本の総合スーパーはなぜ駄目なのか。
アメリカでも、ウォルマートとコストコが好調で、
ターゲット、シアーズ・ホールディングス、JCペニーは悪い。
一概に総合フォーマットが不振なだけではない。
これ、重要で、スリリングなテーマ。
先手先手で、政策が打てない。
フォーマットのライフサイクルが、
実感として理解できていない。
20世紀的呪縛から逃れられない。
過去の成功体験を捨てられない。
「自ら、変われ」がない。
イノベーションがない。
顧客志向がない。
だから、捨てる勇気を持たねばならない。
組織の官僚化を廃しなければならない。
本当の価格対策を講じなければならない。
かといって、安さだけでは足りないことを、
自覚しなければならない。
ウォルマートを研究しなければならない。
ウォルマートがなぜ、
プラノでアップスケールタイプを実験したのか。
いま、総合と呼ばれる者の、
正念場である。
<結城義晴>