商人舎15周年記念セミナーの「トレード・オン」と「楕円の経営」
商人舎15周年記念セミナー。
ご参集、ありがとうございました。
この15年間のご支援にも心から感謝します。
次の15年に向けて、
第二の創業の心持ちで、
前進していきます。
2008年2月1日、
㈱商人舎は発足した。
そして4月17日に、
記念講演会が開催され、
そのあとで、
「結城義晴君を励まし商人舎発足を祝う会」が開かれた。
会場は東京お台場、
東京ファッションタウン(TFT)。
発足を祝う会では93名の方が、
発起人となってくださった。
そして多くの方々が参集してくれた。
あのとき、私は、
「30年頑張ります」と宣言した。
それから15年。
商人舎は、
皆さんにご支援いただきながら、
コロナパンデミックも乗り切った。
そして30年の折り返し地点を、
迎えることができた。
2023年9月12日の今日、
その15周年を記念したセミナーと
結城義晴の新刊お披露目のパーティを開催した。
15年まえの記念講演のテーマは、
「小売流通サービス業が21世紀の日本を救う」
15周年記念のセミナーは、
「トレード・オンが日本を救う」
石原靖曠先生、島田陽介先生。
両レジェンド講師と、
盟友の鈴木哲男先生、
そして結城義晴の4人が、
それぞれの視点から提案を行う。
けれどその共通する方向性は、
「トレード・オン」に向かっていた。
会場は東京・品川、
大崎ブライトコアホール。
10時にはスタッフが会場の準備を始めた。
山本恭広編集長がセミナーの総責任者。
さらに海外研修担当のJTBの二人、
商業界の後輩・北村純一郎君も駆けつけてくれた。
開場前に平富郎さんが来られた。
㈱エコス代表取締役会長。
15年前の発起人のお一人。
平さん。
川崎進一先生に教えられた。
「論理のない行動は暴走だ」
平さんは腰の調子がすぐれないため、
急きょ、セミナーには欠席となったが、
そんななかでもわざわざ、
私に会いにきてくださった。
ありがたいことだ。
㈱ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長、
㈱フルックスの黒田久一社長、
㈱JTB大阪第三事業部。
オール日本スーパーマーケット協会の田尻一会長、
ブルーチップ㈱の宮本洋一社長。
ありがとうございました。
会場が華やかになりました。
この15年の間に、残念なことだが、
発起人のうちの19名の方々が亡くなられた。
その方々を思い出しながら、
15年間のご報告をした。
「第二の創業です」
経済第一主義と人間第一主義、
人的資本主義と貨幣資本主義、
サーバントリーダー論を展開。
石原先生は、
ウォルマート研究の第一人者。
サム・ウォルトンの経営哲学と、
サムのリーダー論は、
石原先生ならではの内容だった。
アメリカには、
「従業員が所有する会社です」と、
大きく掲げた店がある。
そんな働く人たちが主役となる小売業を、
つくらねばならない。
それが石原先生の強い主張だった。
サブタイトルは、
「Z・M世代(のお客)にとって魅力ある産業、
働きがいのある人間産業へ」
世の中の変化、業界の変化、
理論の変化、店の変化、
それらを具体的に示しながら、
魅力ある産業、
働きがいのある人間産業の実現について、
8つの提案をしてくれた。
第3講座は島田陽介先生。
トレード・オンの経営を、
これでもかと語り続けた。
セブン-イレブンは、
トレード・オン・フォーマットそのものである。
そのためにどうするか。
「売上至上主義」を見直せ。
チェーンストアは、
自らカスタマーを創造することでのみ、
存在しうるし、成長しうる。
米国視察の是非を語ったときには、
「天に唾するごとし」と自虐ネタを言いつつも、
「私の言葉はコロコロ変わる」と嘯く。
それが島田陽介の講演だ。
しかしそれらの言説は、
聞く者に強いインパクトを与える。
このインパクトが織り込まれた講演なのだ。
私は最後列で、
先生方の講義を聴講した。
途切れることのない語りの島田節には、
本当に感服した。
石原先生は87歳、島田先生も87歳。
ますますお元気なお二人だった。
お二人に語っていただいた、
商人舎15周年講演会。
商人舎にしかできない講演会だ。
それだけでも成功したと思った。
セミナーの締めは結城義晴。
「トレード・オンのチェーンストアが
日本を救う。」
私が日本を救うわけではない。
日本の小売業、サービス業、商業が、
これからの日本を救う。
私たちはほんの少しだけ、
そのお手伝いをする。
誰もできない、お手伝いをする。
私の講演の大半は、
『チェーンストア――産業ビジョン』の、
解説となった。
本当は本を読んでほしい。
そして考えてほしい。
けれど出来立てほやほやの本。
印刷所からこの大崎のセミナー会場に、
直接届けられた本だ。
だからどうしても予告編がしたかった。
本のページを開いてもらいながら、
「伽藍洞の産業に向かっている」と、
厳しい指摘をした。
本の「まえがき」にある。
器は大きくなっても、
本当の貢献ができない産業。
何よりも重要だと、
国民から信頼されることがない産業。
そこで経営する人たち、
働く人たちが、
未来を描けない産業。
それが伽藍洞の産業だ。
そうなってはいけない。
それからチェーンストア1.0と、
チェーンストア2.0、
チェーンストア3.0概念を、
一気呵成に語った。
みなさん、本当に真剣に聞いてくださった。
ややもすると小難しい理屈だが、
私はそれをわかりやすく語りたかった。
業種+マーケティング=業態
おそらくこれが最もシンプルな、
業態の説明だと思う。
今回の本を書いているときに浮かんだ。
そのヒントはA&Pエコノミーストアから得られた。
15年前の発起人のみなさんは、
一番前で受講してくださった。
ヤオコーの川野幸夫さんも、
ライフコーポレーションの岩崎高治さんも。
この本の内容は今後、
このブログでも講演でも雑誌の記事でも、
繰り返し語ることになるだろう。
そしてこの本には、
発展形の続編がある。
来年のはじめに発刊する。
『チェーンストア――戦略マネジメント』
すでに構想はできているし、
原稿も書き進めている。
表紙デザインもできている。
ご期待いただきたい。
講演の最後は「両利きトレード・オン」
あちらを立てて、
こちらも立てる。
こちらを立てて、
あちらも立てる。
1995年から、
商業界の時代の雑誌巻頭言に、
書いていたことだ。
その時代は漠然と、
トレード・オフのチェーンストア経営に、
疑念を抱いていた。
しかしその疑念が、
「トレード・オン」の概念によって、
溶解した。
トレード・オンは、
「楕円の経営」である。
これまでの「円の経営」は、
中心点がひとつだった。
それがぶれると迷走し、崩壊した。
しかし「楕円の経営」は、
二つの焦点をもつ。
それがトレード・オンである。
二つの焦点だから、
変化に対応することができる。
二つの焦点をどこに定めるか。
それが経営の意思決定の違いとなる。
そのことを最後に語って、
1時間25分の講演を終えた。
アナログ一辺倒の講演会だった。
しかしユニークな試みだった。
ご清聴、心から感謝したい。
(明日につづきます)
〈結城義晴〉
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