商売が救うもの
商売は顧客を救う。
顧客の日々の生活を支え、
有事のときには命さえ救う。
商売は生産者を救い、
製造業と卸売業を救う。
小売業が販売することで収益は還元される。
商売は店を救い、会社を救う。
店が繁盛し利益を上げれば会社は発展する。
従業員もその家族もそれによって養われる。
商売は日本経済を救い、
日本の民主主義社会を救う。
資本主義社会も共産主義社会も商売が救う。
しかし商売が救うものは、
何よりも商売をしている人間である。
働く者であり、経営する者である。
ヨークベニマル創業者の大髙善雄は、
戦前の腕利き新聞記者を辞して、
野越え山越えの商売を始めた。
ニチイ創業者の西端行雄と春枝は、
小学校の熱血先生を辞めて、
戸板商売から再出発した。
ヤオコーの川野幸夫は、
弁護士になる夢を捨てて、
スーパーマーケットに身を投じた。
商売はそれを為す者を救う。
それに真剣に立ち向かう者を救う。
商売はそこに働く者を救う。
商売は顧客を救う。
商売は社会を救う。
そして商売は人間を救うのだ。
〈結城義晴〉