東松山で商業界埼玉同友会納涼セミナー開催、総資本経常利益率ROIの大切さを強調
今日8月6日、広島に原爆が落とされた日。
私たちは、この日を忘れてはいけない。
合掌しつつ、黙祷。
昨8月5日、埼玉県東松山。
恒例の商業界埼玉同友会納涼セミナー。
講師としてお呼びいただいて、4年目。
私も毎年楽しみにしている。
考えてみれば、昨年は8月9日に開催された。
1年前のブログも懐かしい。
昨年の8月12日から、[毎日更新]を続けているから、
来週、丸一年を迎える。
昨年はこの会のあと、羽田からJALに乗って、札幌へ。
そこでイオン社長の岡田元也さんに、ばったりと会った。
あれからもう1年か。
早いようにも感じるが、
私の人生で、エポックとなる出来事が、
次々に起こった。
だから長くもあった。
埼玉県同友会での講演は、
昨年は(株)商業界社長として、
今年は(株)商人舎社長として、
志は変らず、立場は変った。
しかし立場以上に大きく違うものがある。
自由さだ。
自由だから、
自主独立、自己革新が出来る。
だからユニークな社会貢献が出来る。
自主独立。自己革新。社会貢献。
この三つが、わが商人舎のスローガンだ。
そんなことを思いながら、
(株)商人舎・小川寛専務と共に東松山に降り立った。
同友会の会合では、全員が立ち上がって、
まず『商売十訓』を唱和する。
もう50年も続けられていること。
そのあとで埼玉同友会会長の栗原一博さんのご挨拶。
栗原さんは(株)ダスキンくりはら社長。
ダスキンのフランチャイジーの全国の加盟店代表を務める。
商業界でも全国連合同友会副会長。
やがて会長の職を担ってくださる人物。
とにかく聡明で、人柄が素晴らしい。
もちろん商人舎発起人に名を連ねていただいた商人舎ファミリー。
栗原さんの次に、商人舎・小川専務が、
商人舎の活動やその趣旨をご紹介。
皆さんよろしくお願いします。
私の講義は、
商人舎標語から入って、
「店は客のためにあり、店員と共に栄える」の
顧客満足と従業員満足の重要性。
それから笹倉玄照堂、伊藤雅俊さん、岡田卓也さん、
さらに丹羽宇一郎さんの話など、
エピソードをたくさん盛り込んだ。
今回強調したのは、経営の基礎数値の大切さ。
現代の経営は複式簿記で行われる。
これは貸借対照表と損益計算書とで構成される。
両方とも、極めて大事だという主張。
とりわけて、貸借対照表は経営者にとって、
経営幹部にとって極めて重要であること。
そして両者がひとつの指標となった総資本経常利益率という数値を、
毎月のように把握しておかねばならないということ。
総資本経常利益率は、
貸借対照表における総資本と、
損益計算書における経常利益率とを、
比較して、パーセンテージにしたもの。
だからこの数値を見ていれば、
貸借対照表も損益計算書も、
両方に目を配ることが出来る。
そしてここからが重要。
総資本をコントロールするには、
総資本回転率を管理する。
総資本回転率とは、
貸借対照表の一番下にある総資産で、
今期の総売上高(営業収入)を割り算したもの。
経常利益率は、
今期の経常利益を売上高で割り算したもの。
こちらは損益計算書をコントロールする重要な数値。
客数がすべての源泉で、
そこから売上高が生まれる。
原価を差し引いて、
粗利益高が出る。
粗利益から販売費管理費を引いて営業利益、
営業利益に営業外の損益を加算引き算して経常利益。
この経常利益を売上高で割り算すると、
経常利益率が出る。
ちょっと回りくどいようだが、
この総資本回転率と経常利益率を、
掛け算した数字が総資本経常利益率、
英語でROIといわれるもの。
Return On Investmentである。
経営者は、リーダーは、
このROIを常に意識していなければならない。
それこそ人類が生み出した知恵の結晶「複式簿記」。
戦前の岡田屋(現在のイオンの前身)では、
この複式簿記が採用されていた。
実は、イオンという会社の本質は、徹底して、
この複式簿記で経営しているところにある。
お客様の満足は、何よりも大切。
それは日々の客数となって、数字に表れる。
客数と客単価を掛け算したものが売上高となる。
だから売上高も大事。
売上げから、原価を引いたら粗利が出る。
粗利も大事。
そして経費を差し引いて、
営業利益が出るが、これも大事。
経常利益ももちろん大事。
しかし商売というのは、一定期間に、
元手をいかに有効に活かしたかという付加価値で評価される。
この付加価値こそが、社会貢献の指標である。
それが総資本の回転率。
だから資本の回転も大事。
これらを総合して、店や会社は成り立っている。
従って、経営にとってひとつだけ最も大切な指標は何かと問われたら、
私は「ROI」と答える。
なぜならROIには、
すべてが含まれているからだ。
経営とは、すべてである。
部分ではない。
だからROIが唯一の指標となる。
そしてROIをコントロールできるところにしか、
企業の永続性はないし、
顧客満足も従業員満足も、
言葉に過ぎないことになる。
そんな講義。
私の後には、(株)東上不動産社長の永野英吉さんの
体験発表。
食肉小売の三河屋からスタートして、
外食、そして住の不動産事業を展開してきた体験談。
「不動産業では、
賃貸管理業をやる人が少ないから、
これならば一番になれる」
こう考えて、事業を成功させた。
「小さく、狭く、濃く、深く」の実践である。
「賃貸物件の情報業」として不動産業をスタートさせた。
ここが並みの発想ではない。
そしていつも言っている。
「比較するのは、昨日の自分」
だから永野さんとその会社は成長を続ける。
革新を続ける。
いい話だった。
さて埼玉同友会、納涼セミナーには30数人の参集を得たが、
最後は会員の皆さんだけ集まって、記念写真と懇親会。
よい会合だった。
とうふ工房わたなべの渡邊一美さんは、
講演会の締めの挨拶、懇親会の司会とお世話をやいてくださった。
埼玉県だけでなく日本中の豆腐屋さんのリーダー。
すべての皆さんに、心より感謝。
<結城義晴>