土井善晴の「七草粥」と新成人106万の中の「知識商人」
Everybody, Good Monday!
[2024vol②]
2024年第2週、
そして今日は成人の日の祝日。
関東は暖かい冬の日だ。
なぜ木は垂直に立っているのだろう。
まっすぐに空に向かっている。
日経新聞夕刊エッセイ。
「あすへの話題」
料理研究家の土井善晴さんが、
連載陣に加わった。66歳。
土井勝さんの次男で、
跡を継いだ。
タイトルは「春の七草」
七草粥のおいしいつくり方、食べ方を、
簡潔に教えてくれる。
「前日に、八百屋さん、
いやスーパーに並んだ
パック入りの七草セットを買い求める」
「我が家では、2人だから、
米は1/2カップ」
「手のひらに米をとって
擦り合わせるようにして洗い、
蓋のできる雪平鍋に入れ、
6~7倍の水を注ぎ、
強火にかけて、
煮立てば底からひと混ぜして火を弱め、
蓋を少しずらして、20分以上炊く」
「火加減は蓋の隙間から覗(のぞ)いて、
静かな煮立ちを確かめる」
「粥(かゆ)は米粒が開いて、
花が咲けばよし」
「水気が残る感じにさらりと炊き上げる。
ボテボテするまで煮てはいけない」
ここまでずっと粥のつくり方。
ここから七草を入れる。
「粥を煮る間に七草を刻む。
餅はこんがりと焼き上げる」
刻んだ七草と、
焼き餅。
焼き餅は入れたことがなかった。
「火を止める直前の粥に
七草を混ぜ込み、
火を止めて、
香ばしい焼き餅を入れる」
「茶碗にそっと装い、緑を楽しみ、
自然塩でいただく」
以前は土井さん、
七草を下茹でしていた。
「生を直(じか)に入れるようにしてからは、
緑の味が際立って迫力がある」
「せめて1杯目は、炊き立ての
さらりとしたのをいただきたい。
この分量で2人が軽くおかわりできる」
軽くおかわり。
この程度が粥にはちょうどいい。
今年は餅を入れてみた。
美味かった。
土井さん。
「食事は文化だ。
文化が私たちの身を守る」
「この列島の文化は、
豊かな自然を背景に生まれた」
「自然の普遍を思う。
お天道さまの秩序という道筋に
美しいものは生まれる」
「料理する人は自然を信じれば良い。
自然にあるものを料理する」
スーパーマーケットや食品小売業は、
自然にあるものをまず提供したい。
それが文化をつくる。
今日、成人式の若者たちにも、
この文化は伝えたい。
能登には雪が積もった。
今日8日の午後2時現在、
死者は168人に増えた。
ご冥福を祈りたい。
安否不明者も323人に増えた。
避難所で暮らす人たちに、
七草粥は届くのだろうか。
一方、池田佳隆衆議院議員が、
逮捕された。
名古屋選出の57歳。
2人の政策秘書とともに、
政治資金規正法違反の疑い。
派閥パーティー券のキックバック事件。
もちろん安倍派。
自民党は党紀委員会で、
池田議員を除名処分にした。
除名にしたからといって、
自民党の責任が消えるわけではない。
金権体質は一掃しなければならないし、
金がついて回る現在の選挙も、
根本的に改めねばならない。
成人する若者たちに対して、
私たちは全責任を負っているのだから。
総務省の推計では、
今年の新成人は106万人だ。
昨年より6万人の減少。
男性55万人で女性52万人。
このうち何人が商人になってくれるのだろう。
そして何人が政治家になるのだろう。
私はそれを思う。
朝日新聞の「天声人語」。
作家の中島らも。
私と同年だが故人となった。
「人は所詮(しょせん)、
なるようにしかならない」
「不幸とは、
夢中になれることから目をそらせて
自分を不自然に
たわめていくことの中にある」
同感だ。
自戒を込めて、
新成人たちに伝えよう。
夢中になれることから、
目をそらせてはいけない。
それでも何人が、
知識商人になってくれるのだろう。
では、皆さん、今週も。
霧中になろう。
Good Monday!
〈結城義晴〉