桐島聡「最後は本名で迎えたい」と「人生で大事な二日」
Everyone, Good Monday!
[2024vol⑤]
2024年1月最終週。
「一月、往ぬる。」
しかし今年の1月は、
どうしたことか長く感じられる。
木曜日から2月。
「二月、逃げる。」になる。
今、1年で一番寒い季節。
今週は原稿執筆に勤しむ。
ただし明日の火曜日だけは、
オンラインの会議やミーティングが4本。
そして日曜日の2月4日はもう立春。
あの男はきっともう一度、
桜が観たかったんだろうな。
桐島聡を名乗る人物。
私より一つ年下の70歳。
1974年から75年にかけて、
連続企業爆破事件を起こした。
三菱重工、三井物産、
大成建設、鹿島建設、間組本社などを、
手製の爆弾で攻撃した。
三菱重工爆破では、
8名が死亡し、376人が重軽傷を負った。
そして爆発物取締罰則違反容疑で指名手配された。
桐島は1954年1月9日、広島生まれ。
東京・白金台の明治学院大学に進んで、
在学中に東アジア反日武装戦線に加わった。
そして爆破テロに走った。
20歳から21歳のときだ。
それから50年ほど逃亡生活を続け、
今年、神奈川県鎌倉市の病院に、
末期癌で入院した。
男は数十年間、
藤沢市の土木会社に、
住み込みで働いていた。
入院して名前を明かした。
しかし、癌は進んでいて、
今日、病院で死亡した。
「内田洋(うちだひろし)」の仮名を使っていたが、
「最期は本名で迎えたい」と話していた。
自分の本当の名前とは、
自分の存在価値のようなものだ。
脚本家の三谷幸喜。
「それを言って死んでいきたい
というのがあるのかもしれない」
公安に対する「勝利宣言」か。
逃げおおせたという満足感か。
マーク・トウェインの言葉。
“The two most important days in your life
are the day you are born
and the day you find out why.”
「人生でとても大事な日が二日ある。
あなたが生まれた日と、
なぜ生まれたかがわかった日である」
朝日新聞「折々のことば」
第2982回。
それよりも、掃除をします。
(仙台の小さな書店にて)
店主は言う。
「開業してすぐコロナ禍になったが、
辛抱強く店を開いてきた」
編著者の鷲田誠一さんが、
「特別な工夫とかしたの」と訊(き)く。
店主は答える。
「持ちかけられたイベントに乗りもしたが、
最後はやっぱり”店の中に手をかける”ことだった」
「掃除をしたり、
本を少し動かしたり、
本の紹介文を書き、
それを買ってもらった本の袋に
そっと入れたり」
「そんな小さなことを重ねているうち
店はまた動きだすみたい」
商売の本質だ。
逃亡を続けた内田洋こと桐島聡に、
こんなエピソードがあったのだろうか。
なぜ生まれてきたかが、
わかったのだろうか。
本名で死ぬことだけが、
人生の意義だとしたら、
寂しすぎる。
しかしそれが犯罪者への罰なのかもしれない。
合掌はしない。
2024年1月の残された3日間を、
私は精一杯生き抜こうと思う。
生き抜くことができるだけで、
幸せというものだ。
では、みなさん、今週も、
精一杯生き抜こう。
Good Monday!
〈結城義晴〉