ツルハ・ウエルシア経営統合記者会見の「名と実」
株価は今、過去最高の水準にある。
2月22日、日経平均で3万9098円68銭。
1989年12月29日の3万8915円87銭を、
約34年2カ月ぶりに更新した。
しかし実体経済と金融経済は、
大きく乖離している。
イオン㈱の株価は今日、
3531円で終わった。
1年前よりも1000円上がった。
一方、セブン&アイ・ホールディングスは、
2100円となっている。
夕方の6時から、
突然の記者会見。
出席者は左から、
吉田昭夫イオン社長、
鶴羽順ツルハホールディングス㈱社長、
松本忠久ウエルシアホールディングス㈱社長。
商人舎流通SuperNews。
ウエルシア&ツルハnews|
資本業務提携締結・経営統合の協議開始
三者は経営統合の協議を開始した。
このブログでも、
このM&Aの話は書いている。
それが実現する。
遅くとも2027年12月31日までに統合する。
日本最大のドラッグストア連合体、
アジアNo.1のグローバル企業へ。
吉田イオン社長。
「ドラッグストアは、
成熟期、低成長期に入っています」
一方で、健康需要のサービスは、
「成長が見込まれる」
経営統合によって、
スケールメリットが生まれる。
「商品開発や物流面など、
規模の効果が実現できるものは、
早期に出していきたい」
ウエルシアHDの2023年2月期は、
売上高1兆1443億万円、
前年同期比11.5%増。
経常利益521億円(11.0%増)。
2589店舗。
ツルハHDの2023年5月期は、
売上高9701億円(前年同期比5.9%増)、
経常利益457億円(14.1%増)。
店舗数は2763店。
単純合算すると2兆1144億円、
経常利益978億円。
店舗数5352店。
圧倒的なトップチェーンで、
日本のドラッグストア市場8兆3449億円の、
4分の1を占める。
段取りは第1にイオンが、
ツルハHDの普通株式を追加取得し、
ツルハHDを持分法適用関連会社とする。
第2にツルハHDとウエルシアHDは、
株式交換によって経営統合を行い、
ツルハHDが親会社、
ウエルシアHDが完全子会社とする。
ウエルシアHDは上場廃止となる見込みだ。
第3に 経営統合完了後、イオンは、
ツルハHD株式の過半数以上51%未満を取得して、
ツルハHDを連結子会社とする。
資本業務提携契約の締結以降、
遅くとも2027年12月31日までに、
最終合意に係る契約を締結する。
鶴羽順社長は堂々としていた。
「5年後をめどに3兆円にする目標です。
ドラッグストアでアジア首位となる、
世界企業を目指します」
ウエルシアHDの松本忠久社長は、
「ドラッグストアはこれから成熟期に入り、
少子高齢化が進む日本では、
寡占化するだろう」
私は日本国内で寡占から鼎占、
そして複占に進むと言い続けている。
ツルハHDはイオンと、
資本業務提携を結んでいる。
岡田元也イオン会長が、
2021年7月まで社外取締役を務めていた。
それでも一部PBの供給程度の関係だった。
2023年度が終わる直前の2月28日に、
この記者会見が開かれた。
来年度に一気に統合に向けた交渉が進むのだろう。
世界のドラッグストアで見ると、
ウォルグリーン・ブーツ・アライアンスと、
CVSヘルスのCVSファーマシーが、
ダントツの1位2位だ。
そのあとの3位にASワトソングループが入り、
4位はアメリカのライトエイドだ。
しかし米国は複占状態で、
ライトエイドはもう見込みはない。
だから新生ツルハHDはすぐにでも、
世界4位に入ることができる。
そしてアジアでワトソンと競う。
そんな構図が見えている。
鶴羽樹ツルハHD会長が納得したのだろう。
イオンは今回も、
名をとらず実をとった。
ウエルシアの人々は、
そのことを了解した。
かれらも実を取った。
ツルハは当面、名を残しつつ、
3兆円のスケールのアジア1位2位、
世界第4位を目指す。
日本国内に追随する者が出てくるだろう。
ドラッグストアチェーンの再編は、
巨大化に向かって進む。
機械でつくられる商品の小売業だからである。
岡田元也イオン会長。
「生き残って、
消費者に必要なビジネスであり続ける。
そのためには一定の規模が必要です」
生き残るためには、
日本という範囲の経済の中で、
マーケットリーダーであることが条件だ。
それはそのまま、
アジアという範囲の経済圏での存在感となる。
セブン-イレブン、ユニクロに続いて、
世界チェーンが登場する勢いだ。
亡くなった宗像守は、
どう思うだろう。
そんなことを考えた。
〈結城義晴〉