「心は燃やせ、頭は冷やせ」の「オプチミズムとペシミズム」
何かの機会があって、
自分のブログを検索する。
みなさんもぜひ、
やってみてください。
この商人舎公式ホームページの、
タイトルの下の横長の□のところ。
[検索]と薄い文字が入っている。
検索しやすいようにと、
結構大きなスペースをとってある。
ここに単語を打ち込む。
できれば二つくらい。
あるいは三つくらい。
そうすると、
その二つや三つの言葉を使った投稿記事が、
ずらりと出てくる。
読んでみると面白い。
現在の時点で6622のブログがある。
あと9年ちょっとで大台の1万になる。
80歳のときだ。
それまでは書き続ける。
さてウォルマートの記事を探していたら、
2016年12月1日のブログに行きついた。
『パリはわが町』という本。
ロジェ・グルニエ著、2016年10月刊。
発刊元のみすず書房は、
いい出版社だ。
哲学、科学、心理学、社会学、
それに現代史、西洋史などの専門書を発刊。
学術出版社のジャンルに入る。
出版界のマーケットニッチャーだ。
資本金1500万円で、
2023年2月期の売上高6億2000万円。
従業員28名。
㈱商業界よりもずっと小さな出版社だが、
頑張って経営を維持している。
創業は1947年。
創業者の小尾俊人(おびとしと)は、
大東亜戦争から復員して、
「出版社か農業をやろう」と考えた。
そうして最終的に出版社を設立した。
そのみすず書房発刊のグルニエの本。
グルニエは、
フランスのジャーナリストで作家だ。
第2次大戦中には、
パリ解放のレジスタンス活動に身を委ねて、
英雄的な働きをした。
あるインタビューに答えて語った。
「小さなことについては
オプチミスト、
大きなことについては
ペシミスト」
オプチミストは楽観主義者、
ペシミストは悲観主義者。
小さなことは楽観する、
大きなことは悲観する。
これは革命家の心構えだというが、
着眼大局・着手小局の極意に通じる。
先週木曜日の日経新聞「大機小機」
タイトルは、
「冷静な頭脳と温かい心」
コラムニストは九転十起氏。
学者だろうか。
「国内の消費が振るわない。
国内総生産(GDP)の実質個人消費は
3四半期連続でマイナス、
家計調査による消費支出は
実質で13カ月連続のマイナスである」
悲観的な材料がそろう。
「背景にあるのは物価高だ。
相次ぐ値上げによる”値上げ疲れ”が、
消費者の買い控えや節約志向につながっている」
同感だ。
月刊商人舎5月号では、
「円安不況」と表現して、警告を発した。
実質賃金は3月まで24カ月連続でマイナス。
今年の春闘で連合のベアは全体で3.57%、
中小組合でも3%を超えてきた。
「しかし、昨年の春闘も、
30年ぶりの高い賃上げ率だったはずだ」
連合の最終集計ベアは2%強だった。
一方、毎月勤労統計の所定内給与は、
パートも含めた全体の平均では1.4%増。
今年の上昇率は、
「前年比で3%に達するかどうか」
「物価上昇にやっと追いつく程度だ。
消費者がインフレを上回る賃金増を感じるには
ほど遠いだろう」
そこでコラムニストの専門の、
日銀の金融政策。
「緩和的な金融環境を維持し、
企業・家計のマインド悪化と
景気の腰折れを防ぐというのが
最善策であろう」
「それにもかかわらず、
年内の利上げが既定路線のように議論されている」
「データは大事だがあくまで数字でしかない。
より重要なのは国民生活の実態だ」
同感だ。
ここでアルフレッド・マーシャルの有名な言葉。
近代経済学の祖にしてメイナード・ケインズの師匠。
マーシャルはロンドンの貧民街を歩き、
困窮する人々のために
経済学を役立てるべきだと主張した。
そしてそのために、
「冷静な頭脳と温かい心」が必要だと説いた。
「Cool head but warm heart」
マーシャルから直接ヒントを得たわけではないが、
私は商業界の社長を退任した2007年から、
同じような言葉を自分の標語にしている。
「心は燃やせ、頭は冷やせ」
九転十起氏。
「経済学者をトップに頂く日銀は、
今こそ冷静な頭脳と温かい心で
我が国の現状を分析し、
臨機応変に対応する柔軟さが必要だ」
そしてこの際、大切なのは、
グルニエの言葉だと思う。
「小さなことにはオプチミスト、
大きなことにはペシミスト」
よろしく頼みます。
植田さん。
今の小売業や製造業の経営にも当てはまる。
いや、現場をもつ者にとってはもともと、
この心構えが必須なのだ。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
私も「悲観的な認識を持って楽観的に戦う」を、ポリシーにしています。結城さんがよく言われる「最悪の事態を想定」しながら、でも実行に移す時には、必ずうまくいくと信じてやっています。敗北主義は好きではありません。
最悪を覚悟して、最善を尽くす。
吉本さん、同志ですねえ。