「円安は新常態」と「狭いながらも楽しい我が家」
今日は朝、一番乗りで会社に出た。
ライトをつけてから窓を開け、
室内に新しい空気を入れる。
自分のパソコンに電源を入れて、
メールやfacebookをチェックする。
いつもなら珈琲を淹れて、
みんながやってくるのを待つ。
けれど今朝は疲れていて、
ただ椅子にもたれている。
午前中は原稿の手直し。
もう47年もこの仕事をしている。
手直ししていると、
その情報が頭の中に入ってくる。
これまで蓄積してきた情報と融合して、
新しいことを考えつく。
その瞬間がとてもいい。
新しいことが浮かばないときには、
その原稿にはあまり価値がない。
独善的かもしれないが、
私はそう思っている。
そのうちスタッフがやってきて、
珈琲を淹れてくれる。
昔々のCMソング。
朝日が窓から差し込み、
テーブルを照らすよ
二つの珈琲仲良く
湯気を絡ませてる
僕たちの前を朝が
緩やかに過ぎる
そんな時この世界は
二人だけのようだよ
どこにもあるよなことです
それだけの幸せ
どこにもあるよなことです
それだけの幸せ♪
商人舎オフィスで淹れた珈琲は、
何処よりも旨い。
午前中は緩やかに時間が過ぎる。
それは私にとって至福のときである。
編集スタッフの鈴木綾子とツーショット。
さて何をいただこうか。
榎本健一、通称エノケン。
その「私の青空」
夕暮れに仰ぎみる輝く青空
日が暮れてたどるは
我が家の細道
狭いながらも楽しい我が家
愛の火影のさすところ
恋しい家こそ私の青空
狭いながらも楽しい我が家
愛の火影のさすところ
恋しい家こそ私の青空♪
さて円安は続く。
異常な状態は戻らない。
1ドル=160円台。
37年半ぶりの水準まで下落した。
政府・日銀は円安是正に向けて、
有効な手を打てない。
だから円売りが続く。
岸田文雄首相の打ち出す政策。
円安に歯止めをかけるどころか、
助長させている。
日経新聞「大機小機」に、
円安に対する考え方が連続掲載された。
6月25日版。
「円安トレンドで経済再生へ」
「円安要因には日米金利差がある」
長い目でみた円・ドル相場には、
米財政悪化の流れが大きく影響するだろう。
米財政見通しは悲惨だ。
米議会予算局によれば、
1990年代初頭の債務は、
国内総生産(GDP)の40%台だった。
現在99%に膨張。
2019年以降の財政赤字のGDP比は、
年平均ベースで約8%。
過去50年間の2倍だ。
中国、ロシアとの緊張は軍事予算を増やし、
高齢者配慮もあって歳出削減は難しい。
大統領選挙ではそれが全く忘れ去られている。
民主党候補のバイデン大統領は財政支出路線、
共和党候補のトランプ前大統領は減税を打ち出す。
どちらが勝利しても債務は増え続ける。
米国債発行が頻繁になり、
米長期金利の高止まりが予想される。
日米金利差の縮小には限度があり、
25年半ばごろには170~180円の中で
円安が進みそうだ。
あらら。
「ただし、日本経済にとって、
悪い円安とはならないだろう」
コラムニストは逗子さん。
「先進5カ国は1985年9月に
ドル高是正をめざした『プラザ合意』で協調した。
円高は240円から120円まで進み、
長期に及ぶ円高時代が幕を開ける」
「円高は日本の企業の競争力を失わせ、
デフレを招き、経済に、
『失われた30年』をもたらした」
ところが「このような勢いの円安は予想されない」
「むしろ長い目で想定される円安は、
プラザ合意とは逆方向の影響として、
日本の企業の競争力をよみがえらせ、
経済再生の強力なエンジンとなろう」
もう一つは6月26日版。
「円安を生かす政策とは」
こちらのコラムニストは環羽さん。
「円安が新常態となった場合、
これを経済政策にどう生かすのか、
という課題が浮上している」
「王道とされる対策が対内直接投資の促進だ」
しかし国連貿易開発会議の2022年末のデータ。
日本の対内直接投資は、
「名目GDP比で5%台にとどまり、
その水準の低さは北朝鮮以下と指摘されている」
だから「対内直接投資の促進」が鍵を握る。
円安はそれを促す条件ではある。
「投資先として日本が
高評価を得ている現実は確かにある」
「台湾資本の半導体工場、
米国資本のデータセンターなど
日本に拠点を設ける動きは
数多く報じられている」
今後も対内直接投資は、
「円安を生かすカード」として、
重要な経済政策と位置付けられる。
ここで2つの大きな問題に直面する。
「それは電力と人の問題だ」
前者は原子力発電所の稼働、
後者は移民政策の進捗。
「電力や労働力の供給が不安定な国に
大型投資を決断する企業はない」
「いくら立派な議論を重ねても、
最後にこの2つの論点が立ちはだかる限り、
円安を生かすカードに関する議論も完結しにくい」
「是非をどうするにせよ、
結論を出さなければ、
それまでの議論が
画餅で終わってしまうことになる」
二つの大機小機のコラム。
前者は楽観的で、
後者は難題を提起する。
けれどどちらも、
「円安は新常態」という前提の上に立つ。
小売業、流通業、サービス業も、
「円安は新常態」を前提にして、
商売を組み立てねばならない。
そうしなければ、
「狭いながらも楽しい我が家」にはならない。
そしてそれはむしろ、
我々には得意な世界である。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
歴史が繰り返すとすれば、日本もアメリカもどこかでハイパーインフレになるはずです。それを回避する地味で不人気な政策を進める政治家を、私たちが発掘し育てる必要があると思います。
吉本さん、全面的に同感。