迷走台風10号と「心こそ心惑はす心なれ心に心心ゆるすな」
台風10号「サンサン(Shanshan)」
気象庁。
「破壊力の強い台風となる条件を、
ほぼすべて満たしている」
気象庁の強さの階級は、
「非常に強い」に変わった。
災害リスクが極めて高い。
しかもその移動速度が遅い。
時速10kmに満たない。
普通に自転車をこいだ時のスピード。
酔っ払いの足取りは蛇行しがちだが、
それと似ている。
気象庁の予測は、
「西日本から日本海に抜ける可能性が高い」
そのうえ日本付近には前線がかかっている。
「秋雨の走り」の悪天がもたらされる。
局地的な豪雨や雷雨が起こる。
予報円も大きくて広範囲に被害をもたらす。
ただし、動きが遅い台風に対しては、
備えをする時間を確保できる。
台風情報を丹念に収集して、
万全の「備え」をしたい。
食料と防災グッズは、
最低10日分用意しよう、とある。
1日3食×10日分×家族数。
水や食料はこれだけ必要だ。
すでに多くの店で、
品切れに近い状態かもしれない。
緊急手配が必要だろう。
全員の安全を担保しつつ、
スピーディーに動きたい。
台風は遅い。
我々は速い。
頑張れ。
心こそ心惑はす心なれ
心に心心ゆるすな
〈沢庵宗彭(そうほう)の『不動智神妙録』〉
「ふどうちしんみょうろく」。
江戸時代の沢庵和尚の執筆。
『不動智』と略される。
新陰流の柳生宗矩に捧げられ、
宮本武蔵の『五輪書』と並ぶ、
「兵法家伝書」となった。
この道歌そのものは北条時頼の作とされる。
鎌倉幕府第5代執権。
有名な北条時宗の父。
心があるからこそ、
心の迷いとなる。
だから自分のその心に、
心をゆるしてはならない。
後天的に身についた我欲を、
「妄心(もうじん)」という。
歌の最初にある「心」が妄心である。
それが心の迷いを招く。
「妄心」とは心が一カ所に留まり、
固まっている状態。
「有心」ともいう。
人間が本来備えている生命力を「本心」という。
「本心」とはひとところに心が留まらず、
広がった状態である。
これを「無心」という。
その妄心を断ち切ることで、
本心を発揮させることになる。
沢庵はたとえを示す。
本心は水であり、
妄心は氷である。
溶けた水だからこそ、
幅広く役立つ。
固まった氷は、
それでしかない。
禅僧沢庵は禅の真理を説いて、
剣の道の真理を諭した。
この歌はその後の世界の剣術、柔術などに、
大きな影響を与えた。
私たちの仕事にも、
私たちの生き方にも、
意味を与えてくれる歌だ。
無心であれば、本心であれば、
ものをよく感じることができる。
無心の水の心。
台風は巨大な水の塊だが、
私たちは無心で臨みたい。
「心こそ心惑はす心なれ
心に心心ゆるすな」
ありがとう。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
「心こそ心惑はす心なれ 心に心心ゆるすな」
デカルト的世界観ともフロイト的世界観とも違う、客観よりも主観に軸足をおいた、優しさと厳しさを兼ね備えた世界観を感じます。
うまく言えないですが。
その通りですね。
禅の真理でしょう。
私たちはその意味で、
哲学や思想において、
和洋折衷をうまくやっていますね。