結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年08月29日(木曜日)

紀文正月フォーラムの「両利き経営とポジショニング」

台風10号(Shanshan)。
想像を超えている。

そのルート、その規模。

このままで日本列島を横断してしまう。
甚大な被害が出るだろう。

けれどニュースを見ていて思う。
日本という国は大したものだ。

被害を最小限に食い止め、
すぐに救助、復旧、復興の措置を施す。

小売業も卸売業も製造業も、
そのことに貢献する。

無私と利他。

日本は凄い。

台風10号はどういうわけか大型になる。

2020年9月6日の台風10号。

セブン‐イレブンは九州7県と四国4県、
そして岡山・広島・山口県の約半分の店が休業。
このエリアの3937店舗のうち2020店。

ファミリーマートは九州7県と沖縄県で休業。
1800店舗のうちの1000店。

ローソンは九州7県と山口県・愛媛県、
1691店舗のうち1181店が休業。

「東北の海岸線は、
東日本大震災によって地盤が沈下し、
高潮の被害を受けやすい」

「大げさすぎるくらいの備えが
欠かせないだろう」

去ってみれば
たいした被害もなかった、と、
胸をなでおろしたい。

それから2016年の台風10号。
私は8月30日のブログに書いた。
「迷走台風10号、岩手県に上陸」

この日も同じ講演会が開催されていた。

紀文正月フォーラム。
2024年も台風が九州に停滞しているうちに開催。

冒頭は堤裕㈱紀文食品社長。
創業100周年に向けて、
紀文が目指す姿を説明した。
2038年度がその100周年だ。IMG_6204 (002)

堤さんは丁寧にわかりやすく語る。IMG_6203 (002)
コーポレートブランドメッセージは、
「すこやかなおいしさ、日本から」IMG_6201 (002)

続いて基調講演。
和文化研究科の三浦康子さん。
日本の文化における
「食の力・おせちの力・行事育のちから」IMG_6200 (002)

行事育は三浦さんが提唱する考え方。
日本の行事を楽しみながら、
子どもの心を育て、家族の絆を育む。IMG_6199 (002)

ハレとケに対しても、
ユニークな解釈をしている。IMG_6198 (002)

それから堀内慎也マーケティング部長。
いつも紀文からの提案を語る。
「おせちの買い物に選ばれるお店とは?」IMG_6206 (002)

昨年のデータを丁寧に分析しつつ、
顧客調査をもとに、
2024年末商戦を語る。IMG_6195 (002)
おせちアイテムの解説をしたうえで、
どのアイテムをどのように売るか。
全国の数字をもっている紀文にしかできない提案だ。IMG_6196 (002)

そして最後の講演は結城義晴。
「円安不況と下克上の年末年始商戦」IMG_6187 (002)

PEST分析で2025年度までの、
政治・経済・社会・テクノロジーを概観して、
「選ばれる店」の条件を講演した。IMG_6186 (002)

大前提は「基本の徹底」である。IMG_6189 (002)

それから選ばれるための「ポジショニング」である。
「ポジショニング」とは、
マーケット〈市場、商勢圏と商圏〉の中で、
自社らしい特別の立ち位置を築くこと。
そしてターゲット顧客の頭の中に
独自のポジションを占めるために、
企業が店舗と商品とサービスの
イメージをデザインすること。

イメージをデザインすることが、
その具体的なアクションとなる。
IMG_6188 (002)

さらに「凄い売りの方程式」と、
「ハレの方程式」を復習して、
結論はやはりトレードオンと両利き経営。

「両利き経営」は、
成熟事業・既存事業と、
新興事業・新技術の、
両利きが必要であると説く。

前者に求められるのが「深化」である。
言葉としてはちょっとわかりにくいが、
これは「漸進型の改善」のことである。
「顧客への細心の注意」や「厳密な実行」が必須である。

古いチェーンストア理論で、
「完全作業」と呼んだりするが、
それは「深化」のプロセスのことを意味する。

一方、新しいものに対しては、
「探索」が必要である。
ここで求められるのは、
「スピード、柔軟性、ミスへの耐性」である。

新規事業と既存事業だけではない。

たとえばチェーンストアの商品部は本来、
バイヤーとマーチャンダイザーに役割分担する。

かつてのダイエーは同じ役割分担を、
コントローラーとバイヤーと呼んだ。

前者は枠の決まった仕入れ先と調整をする。
後者は新商品を開発する。

前者には「深化」が求められ、
後者には「探索」が要求される。

一人の商品本部長、あるいはトップが、
両方できるのがいい。
両利きのスキルである。

それができない場合には、
役割分担するのがいい。

ただしたいていの組織の場合、
既存事業のスキルが優先されていて、
それが新規事業のスキルを押しつぶしてしまう。

正反対の能力だからである。

その結果、多くのチェーンストアでは、
バイヤーはたくさんいるが、
本物のマーチャンダイザーがいなくなった。

両利き経営とトレードオンによって、
ポジショニングを確立する。

そしてポジショニング競争だからこそ、
下克上が可能となるのだ。
IMG_6192 (002)

講演会場の外のホワイエには、
「紀文と大相撲」の展示。IMG_6205 (002)

今年から「試食会」と銘打って、
多くの参加者に食べていただいた。

ほとんどの皆さんが、
試食してくれた。

ありがたい。

三浦先生とツーショット。IMG_6185 (004)

それからいつもの三人。
高柳謙一郎営業企画部部長と堀内さん。IMG_6208 (002)こまかい点までのご配慮、
ありがとうございました。
感謝します。

紀文正月フォーラムが無事に終了すると、
私にとって秋がやってくる。

Shanshanは依然、迷走しているけれど。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • トレードオンと両利き経営をごっちゃにしてました。両利き経営は、深化と
    探索という異なる方法論を指し、トレードオンは、テーゼとアンチテーゼという相矛盾するもののアウフヘーベンと理解しました。

    • その通りです。
      私も丁寧に説明してこなかったことを、
      ちょっと反省しています。

      雑誌や単行本では説明しているのですが、
      短いブログなどでは「言葉」をポンと投げるだけ、
      というのが多かった気がします。

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.