中部ロピアの店舗クリニック[名古屋編]ポジショニングの在り方
日本の都市の人口。
2024年1月1日段階。
東京23区を市と考えると、
982万人で断然トップ。
しかし「市」で比べると、
第1位は神奈川県横浜市の377万人、
第2位は大阪府大阪市の277万人、
そして第3位が愛知県名古屋市の233万人。
さらに第4位は北海道札幌市197万人、
第5位が福岡県福岡市164万人。
私が生まれた福岡も人口が増えている。
福岡で生まれ、横浜で育った。
私は人口が多いところの人間なのだ。
あらためて思う。
愛知県内では、
名古屋市が人口トップ。
豊田市が42万人。
岡崎市が38万人。
岡崎市は愛知県のほぼ中央に位置し、
徳川家康生誕の地として有名だ。
豊田市はトヨタ自動車の地。
トヨタの企業城下町で、
工業出荷額も名古屋を凌いで県内1位。
名古屋市は熱田神宮の鳥居前町として発展した。
今川氏が那古野城を築城、
戦国時代には織田信長が本拠を置いた。
その後、徳川家康が名古屋城を築いて、
尾張徳川家17代の居城となった。
源頼朝と豊臣秀吉もここで生まれた。
中部ロピアの店舗クリニック。
岡崎市から名古屋市へ移動した。
ロピアを経営するのが、
㈱OICグループ。
2024年2月期で、
年商4126億円へと成長し、
まだまだ伸び続ける。
2024年9月現在で100店舗。
名古屋のロピアを見る前に、
近隣の競合店に寄った。
生鮮の強いディスカウンター。
この店は2007年6月7日開業の300坪型。
青果は木製什器のワンウェイ方式。
鮮魚、精肉も安い。
青果部門では主通路沿いに平台の売場があり、
その後ろに従業員がずらりと並んで、
袋詰めの手作業をしている。
ディスカウント作戦をとる場合、
大きく分けると二派になる。
人手をかけても売上げを上げて、
薄利多売を志向する派。
徹底的に人手や設備の経費を削減して、
エブリデーローコストを目指す派。
1964年、菓子問屋として創業。
その後、青果小売業をはじめ、
1979年、安売りのスーパーマーケットとなる。
2005年、バローグループに入る。
年商は2023年3月期で363億円、13店舗。
1店平均28億円を売る。
一方、カネスエみなと店は、
2017年5月10日オープン。
経費削減を徹底する。
売れなくても儲かる店を志向する。
簡素な店づくりだ。
㈱カネスエの年商は2023年で760億円、
スーパーマーケットのカネスエ51店舗、
小型スーパーマーケットFelnaが38店舗。
精肉・水産の一宮プロセスセンターと、
青果の森センター、惣菜の玉野センター、
さらに青果・精肉・水産の豊田プロセスセンタ-をもつ。
センター方式で多店化し、
ローコストオペレーションを実現させようとする。
2008年ごろには、
「カネスエ対アオキスーパー1円戦争」で、
全国的に知られた。
そのタチヤとカネスエの中間地点に、
名古屋地区1号店として開業したのが、
ロピア名古屋みなと店。
ディスカウント店の激しい競争に対して、
ロピアは「食のテーマパーク」を強調して出店。
そして奥主通路中央に惣菜部門をもってきた。
青果の八百物屋あづま、
鮮魚の日本橋魚萬、
肉のロピア、
そして惣菜の「GOCHISOU MARCHE」。
惣菜はワンウェイコントロールを採用。
アイテムを絞り込んで、
単品量販。
コロッケもトンカツも鶏唐揚げも売らない。
どこでも売られているアイテムは、
他で買ってください。
そのかわりに、
ロピアにしかないアイテムを売る。
ロピアにしかない楽しさを提供する。
このエリアの競争は実に勉強になる。
視察やストアコンパリゾンをお勧めしたい。
ポジショニングの在り方を、
学ぶことができる。
柴田昇本部長がそれを強く意識して、
「食のテーマパーク」を実現させた。
都心型路面店の実験店。
店舗面積は480坪。
コンパクトにまとめて、
地域の台所機能を果たす。
新しいロピアのフォーマット実験だ。
青果、鮮魚、精肉、惣菜は全面展開、
グロサリーは少し縮小。
そしてチェックスタンドには、
「銀行方式」を採用した。
ニューヨークなど客数が多い地区で、
トレーダー・ジョーやホールフーズが、
取り入れて成功させている。
ロピア千種店では、
顧客は3列に並ぶ。
レジは17台。
順番に空いたレジに行って、
勘定を済ます。
オープン初日は5200人の客数だった。
それをこの銀行方式でこなした。
銀行方式は客数の多い店で、
何よりも顧客にストレスを負わせない。
私は本当にうれしかった。
アメリカで何度もなんども見せたが、
柴田さんがそれに挑戦した。
店長と各部門のチーフたち。
みんなアメリカで指導した。
だから私もうれしい。
ありがとう。
㈱サポーレが 経営する高級スーパーマーケット。
名古屋市に2店舗、
三重県津市に1店舗。
医食同源を追究する。
名古屋はディスカウント色の強いエリアだ。
しかしサポーレのような店も成り立つ。
ずっと柴田さんに車でご案内いただいた。
心から感謝したい。
競争は激しい。
けれどだからこそ、
自分らしさを発揮する。
コンテスト型競争の時代である。
ロピアのポジショニングも、
もっともっと高められねばならない。
〈結城義晴〉