大谷翔平の「54-57の集中力」と岩崎高治の「準備力」
大谷翔平。
凄い集中力だ。
大事な時にこそ、
自分の力を最大限発揮する。
コロラド・ロッキーズ戦。
ナ・リーグ西地区3連覇を決めて、
残りは3試合。
いつものように1番・DHで先発出場。
シーズンの初めは、
1番ムーキー・ベッツ、
2番大谷翔平だった。
ベッツがけがで欠場している間に、
大谷が1番に定着して大活躍。
ベッツが戻ってからも、
1番大谷、2番ベッツで、
チームは活性化された。
このロッキーズ戦では、
盗塁を57に増やしてイチローの記録を抜いた。
さらに6回表の第4打席で、
特大のスリーランホームランを、
ライトスタンドに打ち込んだ。
これで54本塁打・57盗塁。
史上初の50-50の次の、
55-55を射程に入れた。
さらに短期決戦のポストシーズンに向けて、
集中力を高めてきた。
40-40を決めたときには、
サヨナラ満塁ホームランで決めた。
50-50を達成したときには、
3本塁打の大爆発。
ここぞという時に集中する。
打つ、走る、投げるの力は圧倒的だが、
心の力も抜きん出ている。
55本目のホームランは、
きっと最終戦で打つに違いない。
さて、夕方6時からのBS朝日の番組。
まったく偶然にも見つけた。
「トップの源流」
岩崎高治さんが登場。
㈱ライフコーポレーション社長。
タイトルは、
「意欲先走り」の準備不足戒めた
バスケ早慶戦の敗北
中学からバスケットボールを始めた。
キャプテンで3ポイントシューター。
慶応義塾高校でも、
そのあとの慶應義塾大学でも、
バスケットボールに集中した。
知らなかった。
高校のときの最後の早慶戦。
横浜キャンパスの日吉記念館で行われた。
前年の試合では、
逆転勝ちのスリーポイントを決めていたが、
3年のキャプテンの年には、
徹底マークにあって惨敗。
その反省は「準備が足りなかった」。
これが岩崎さんの源流となった。
すなわち「準備力」。
大学を卒業し、三菱商事に入り、
さらに英国リバプールで、
清水信次さんに見初められて、
ライフコーポレーションに出向。
岩崎さんがライフに来たばかりのころ、
商業界主催の韓国ソウル研修で初めて会った。
岩崎さんはライフから参加した、
7人の役員幹部の世話係だった。
廣井智之さんや並木利昭さんなど、
清水さん以外の重鎮がずらりと揃っていた。
岩崎さんは最年少だったが、
実に配慮の行き届いた行動ぶりだった。
私はコーディネーターだった。
韓国のウォルマート、カルフール、
テスコのホームプラス、
Eマートなどを巡った。
その後、岩崎さんは、
バスケットボールで学んだ「準備力」を信条に、
ライフの現場の改善改革に邁進した。
そして清水さんの厚い信任を得て、
39歳で社長に就任。
この辺りはよく知られた話だ。
朝日新聞「折々のことば」
第3217回。
気力は眼に出る。
生活は顔色に出る。
教養は声に出る。
(再び土門拳)
「さらに秘められた感情は口のまわりに、
年齢や悲しみは後ろ姿に出る」
稀代の写真家の観察力。
編著者の鷲田誠一さん。
「なるほど伏せておきたいものにかぎって
自分には見えないまま、
他人の眼に晒(さら)されている。
なんと無防備なこと」
土門は鋭い。
「本人が欠点と思っているところが、
実は案外、唯一の魅力だったりする」
「写真家は私どもを慰めもしてくれる」と、
鷲田さん。
岩崎高治も大谷翔平も、
その気力は眼に出ている。
生活は顔色に出ているし、
教養は声に出ている。
秘められた感情は口のまわりに、
悲しみは後ろ姿に出ている。
すばらしい。
〈結城義晴〉
2 件のコメント
「本人が欠点と思っているところが、実は案外、唯一の魅力だったりする」
これは、共感できます。完璧なものは案外つまらなくて、不完全なものに心惹かれるところがあります。
支え合って生きるのが人間なので、自分で補いたい気持ち、何か応援したい気持ちが生まれる不完全なものの方に心惹かれるのかもしれません。
人間の魅力とは、
その人間の思いが及ばないところにある。
あるいはそこまで自己客観化できないのが、
人間なのだ。
土門拳さんは多くの人を撮りながら、
人間の魅力の本質に迫って、
そんなことを考えたのでしょう。