杉山昭次郎先生と「商業の現代化」論議「思想を変えるのが一番難しい」
2カ月に一回くらい、埼玉県の飯能を訪れる。
この地で隠遁生活を送る杉山昭次郎先生を訪ねて。
私の問題意識など、ぶつける。
すると、杉山先生から反応が返ってくる。
それが極めて有益。
私の父母より、一つ年下。
だから現在、81歳。
それでも元気で、
週6日はフナ釣り。
フナに始まりフナに終わる。
例の究極のヘラブナ釣りである。
釣っては釣っては、放流する。
川辺に糸を垂れ、フナと会話し、
釣りあげたら逃がす。
また糸を垂れる。
それを7日のうち6日。
あとの1日はゴルフ。
こちらには、仲間がいる。
皆、90歳近いご老人。
だから杉山昭次郎が一番若い。
若者扱いされる。
私が訪れると、必ず「たぬき」という焼鳥屋に行く。
そこで、飲みながら話す。
4時間くらい、すぐに経過する。
さて、今回は、コーネル大学RMPジャパンのご報告。
杉山先生、大変に喜んでくださった。
「流通業界は、上から下に、
何かを教えるという姿勢が強すぎる。
下も、上から教わることを待っている。
その上で、真似ばかり。
それが一番よくない」
「自分で考え、自分で創り出す若い人が、
出てこなければいけない」
私は、「商業の現代化」のヒントを杉山先生から頂いた。
「倉本長治にできなかったことを、
結城義晴がやらねばならない」
杉山先生は、こう言いつづけて、
私を、脅し、励ました。
叱咤激励である。
「倉本が商業の近代化に尽くしたのなら、
結城はその現代化である」
こうなった。
それが商人舎開設の動機ともなった。
今、現代化のために何をするか。
コーネル大学RMPジャパンがその一つ。
上から教えるだけでなく、
相互に影響しあいながら、
考え、新しいものを創り出す。
私は、コーネルをそう持っていきたい。
そして、杉山先生は言う。
「思想を変えるのが一番難しい」
思想を変えるには、
まず行動を変えねばならない。
Beheiviorを変えること。
その上で、
行動の変化が実績に結び付かねばならない。
杉山先生はそれを強調する。
アクションを変える。
それが数値となって表れる。
それを繰り返す。
すると思想が変わってくる。
これが「現代化」をもたらす。
杉山先生には、
コーネルのフォーマット論を紹介した。
フォーマットとポジショニングが、
バナーをつくる。
この理論。
いたく感心して、
研究してみる、とのこと。
「ポジショニングを、何か、いい日本語にしなければ…」
先生のご提案。
私の研究対象も、いま、この方向に向かいつつある。
「ジャーマン先生に会ってみたいな」
杉山先生、別れ際に、こう漏らした。
隠遁生活をしているが、
まだまだ好奇心に衰えは見られない。
私には、それがうれしかった。
「明日は、朝5時起きで、フナだ」
杉山先生、そう言って、手を振った。
<結城義晴>