内村航平体操個人総合金メダルにゼネラリストとスぺシャリストを思う
内村航平、やりました。
ロンドン・オリンピック、
体操男子個人総合で金メダル。
団体ではミスだらけだったが、
打って変わって、
後続を寄せ付けない孤高の演技。
塚原光男・日本選手団総監督。
「今夜は本物の内村だった。
五輪の本当の厳しさを知ったと思う」
ご存知、月面宙返りの生みの親。
今、日本体操界のトップリーダー。
加藤沢男・国際体操連盟技術委員。
「土壇場でこれだけの演技ができるのは相当な力がある証拠だ。
内村は技に向かって非常に貪欲。まだまだ進化する」。
1968と1972年、男子個人総合2連覇。
その美しい線は忘れられない。
私が最も好きな体操選手。
具志堅幸司。
「早く後継者がほしいと、ずっと思っていた。
体操ニッポンの強化は6種目が基本。
ようやく金メダルが取れた」
28年前の五輪男子個人総合金メダリスト。
具志堅が指摘する「6種目が基本」は、
日本の体操界がゼネラリスト養成を志向していることを示す。
対して、ライバルの中国は、
スペシャリスト養成派。
世界の流れは二つに分かれる。
ここで、オリンピックで金メダルを取るには、
スペシャリスト養成派が有利だ。
器械体操男子には8種目がある。
だから8つの金メダル、8つの銀メダル、8つの銅メダルがある。
全部で24個のメダル。
①団体、②個人総合、
種目別に③床運動、④跳馬、⑤あん馬、
⑥鉄棒、⑦平行棒、⑧吊り輪。
国別に出場できる選手は5人だが、
それぞれに世界一のスペシャリストをつくると、
種目別の金メダルは取れる。
しかも団体でも金メダルがとりやすい。
一方、個人総合は、
すべての種目を、
一人でやり遂げねばならない。
そんな選手をつくらねばならない。
現在のようにスペシャリストが増えてくると、
技術そのものはひどく高度化してくる。
だからゼネラリストとして、
全種目でトップレベルにいることは、
なおさら困難なことになる。
だからこそ、内村航平の価値は高い。
今回の銀メダリストのマルセル・グエン(ドイツ)。
「内村が金メダルを取ると思っていた。
最高の体操選手だ。
彼に追い付くのは、簡単ではない」
スペシャリストの養成は、
早期に大きな成果を上げる。
つまり金メダルの増産、量産を可能とする。
では、ゼネラリストをつくるのは、
何を意味し、何を目的とするのか。
私は「完成された人間」をつくることだと思う。
もちろんだからと言って、スぺシャリストが、
欠陥人間だなどとは毛頭、考えない。
しかしゼネラリストの体操選手は、
「完全なる人間」に近いのだと思う。
これは経営も同じ。
経営においては、
ゼネラリスト抜きのスペシャリストだけでは、
うまくはいかない。
両者が役割分担をしあって、
良い会社がつくられる。
内村航平も、
加藤沢男も具志堅幸司も、
さらに遡るが遠藤幸雄も、
「完全なる人間」を目指した。
そしてそれは見事に花開いた。
私はそう信じる。
ちょっと、古いか。
いや、体操を志した人間として、
心からそう思う。
なんといったって、
全種目で完成された演技をする、
その技量をもつ、
これ以上、カッコいいことはない。
とは言っても、銅メダルを取ることだって、
本当に大変なことだ。
現在までのメダル総数。
中国30、アメリカ29、
そして日本は17で第3位。
NHKへ視聴者からのコメント。
「『金」と『同』じと書いて『銅」と読む」
日本の若者たち、大したものだ。
日本の将来は暗くはない。
そう、信じたい。
さて、昨日の続き。
第1回商人舎ミドルマネジメント研修会。
5月28・29・30日に開催されて、
お陰様で、大好評。
その成績優秀者S評価獲得者。
アイウエオ順で昨日は6人を紹介した。
今日は残りの6人。
髙山時光さん
株式会社髙山
常務取締役
野口佳宏さん
株式会社平和堂
SM第四エリアマネージャー
福田正博さん
株式会社平和堂
SM第二エリアマネージャー
丸岡正人さん
株式会社平和堂
SM東海第2エリアマネージャー
森山寛樹さん
原信ナルスホールディングス株式会社
近江店店長
安田和明さん
株式会社いちい
店舗運営部グロサリスーパーバイザー
各社ともに精鋭を派遣してくれた。
その精鋭のなかの精鋭。
S評価獲得、心から祝福しよう。
おめでとう。
企業別にみると、
平和堂が3名、原信ナルスが2名、
それぞれS評価獲得者を出した。
研修参加者全員に言っておきたい。
この研修で学んだことは、
マネジメントのほんの入り口に過ぎない。
もっともっと自己研さんし、
学び、そして教えることに励んでもらいたい。
今月の商人舎標語。
「学ぶ組織・教える組織」
みなさんはその先兵である。
「学ぶ組織・教える組織」が、
知識商人を次々誕生させ、
商業・サービス業の現代化を果たす。
私はそれを信じている。
第2回商人舎ミドルマネジメント研修会の概要が、
ほぼ決定した。
日程は11月13・14・15日。
11月第3週の火曜日から木曜日まで。
場所はニューウェルシティ湯河原。
神奈川県湯河原町。
今回は合宿制だが、完全隔離方式を選んだ。
その方が学習の成果が上がるからだ。
隔離なのでちょっと遠い。
しかし新幹線の熱海駅からバスを仕立てて送り迎えする。
カリキュラムは全く変わらない。
52週マーチャンダイジングの鈴木哲男先生、
レイバースケジューリングの高野保男先生、
計数管理の白部和孝先生、
そしてドラッカーの分身・上田惇生先生。
もちろん結城義晴も渾身の力を込めて、
「学び・教える」。
各社とも、早目のご検討をお願いしたい。
申し込みはここから。
最後にニュースを一つ。
日経新聞朝刊のスクープ。
例によって夕刊で「確認記事」掲載。
ドラッグストアのココカラファインが、
新潟県のコダマを買収する。
「年内にも株式を 100%取得し完全子会社」にする。
ココカラファインは2012年3月期連結売上高3219億円。
首都圏のセイジョー、関西のセガミメディクス、
中部のジップ ドラッグなどを傘下に持つ業界第4位。
コダマは新潟県内トップシェアの売上高203億円。
新潟県を中心にドラッグストア「くすりのコダマ」を88店舗展開。
これによって、 直営店舗数1200店舗超の第3位企業となる。
第1位はマツモトキヨシホールディングス、
年商4345億円。
第2位がサンドラッグ、3868億円。
第3位、スギホールディングス、3272億円。
ドラッグストアの扱い商品は、
家電と同様の工業製品。
だからコモディティ化現象が起こりやすい。
「コモディティは寡占化する」
だからこの業界もM&Aの方向を止めることはできない。
しかし一方で、
顧客データ付POSシステム活用で、
フリークエントショッパーズプログラムを導入する動きも活発。
コモディティ化現象のなかの、
顧客志向マーケティング。
M&Aはこの行為と裏返しと考えてよい。
ゼネラリストとスペシャリスト。
裏返しの現象が起こることこそ、
一つの進化であると、私はつよく思う。
<結城義晴>
5 件のコメント
聞いた話ですが、「日清・日露を勝ち抜いたのになぜ太平洋戦争に負けたか?明治は、一平民だった浪士たちが、実戦を勝ち抜き、軍部を形成したことが、負けない戦の糧になった。一方、大正昭和の平和に慣れて、勉強は出来て賢いようだが、実戦経験がない軍部の戦略は無残だった。」と。スペシャリストはゼネラリストになれないという人がいますが、「見せかけのゼネラリスト」には誰もがなろうと思えばなれる気がします。この情報の時代、見てきたかのように振舞うのは簡単ですし、溢れる情報さえ上手くコントロールすれば可能です。しかし、内村のようなスペシャリストが、更にゼネラリストになったとすれば、これは最強です。今一番望まれているのは、スペシャリストは、上記の明治の軍部のように「最初から負け戦は絶対にしない」ことだと思います。そのためにも、日頃の鍛錬が大切です。どの世界でも、負け戦はいりません。そして、実戦経験は何物にも代え難く、さらに年齢に左右されません。馬にまたがる今大会出場者最高齢の71歳には敬意を表します。小売業を見ると、スペシャリストがゼネラリストになった事例は創業者に多く、後継者がスペシャリストを経て、真のゼネラリストになったところが、この業界をリードするでしょう。スペシャリスト抜きのゼネラリストも絶対に考えられません。
結城先生へ
「ドラッグストアのココカラファインが、新潟県のコダマを買収する。」の記事に関して、私も同じ業界に身を置く一人として非常に関心があります。
結城先生の「コモディティは寡占化する:だからこの業界もM&Aの方向を止めることはできない。」とのコメントを医薬品卸の再編・合併を私は肌身で感じてきました。高齢化社会の到来でDg.sの社会インフラの重要性が高まっています。今私の周りのDg.sでも狭小商圏内に居住する高齢者を自店に取り込み、リピータを獲得するために、既にIDPOSが実験・仮説→実証の段階に入りつつあります。
結城先生、お久しぶりです。
inoue氏のご意見に賛同いたします。
ゼネラリストとスペシャリスト。共に意義ある、価値ある尊いことと存じます。
自分は2代目経営者として理想とする方がいます。それは、北野武氏です。
もう30年以上、好きであったり嫌いになったりして、結局は今もファンであります。
氏は若き時に毒舌漫才という、いわば反社会的な姿勢で笑いに新たな世界をもたらしました。時が過ぎるにつれ、氏は毒舌を抑え、転換した。コント、ゲーム、バラエティー、小説、エッセイ、そして映画。
その変遷には、笑いの世界でスペシャリストの地位を、潔く捨てた感があります。
そして映画という、多くの人々の力やお金を集めて、不確実な未来への事業へと船出し「世界のキタノ」となられた。
ゼネラリストたる道は険しいことでしょう。でもそこに多くの人々に知識を伝え、未来への事業を構築し、責任を持って回して行く事は、まことに尊きことと思います。
では、良い週末を!(私は土日、仕事です・・・)
inoueさま、船村様、ありがとうございます。
スぺシャリストとゼネラリスト。
専門と総合。
興味が尽きないテーマです。
間違いないことは、
どちらも必要だというこの事実。
企業ごとに、あるいは国ごとに、
どこに力点を置くかが戦略であり、個性であります。
体操における日本と中国の違いを見れば、
それがよくわかります。
いまちゃん、ありがとう。
コモディティとノンコモディティ、
そしてマーケット・リーダー、
マーケット・チャレンジャー、
マーケット・ニッチャー。
どんな業界にも、
比重の差こそあれ、
この概念は当てはまります。
ドラッグストアでも、
ノンコモディティは必須であり、
だから顧客データの分析と活用は有効なのだと思います。