ジジとサム[日曜版]
「サム君」がやってきました。
「環境ロボット犬」だそうです。
ユウキヨシハルのおとうさんが、
クルマにのせて、
つれてきて、いま、
チェンバロのしたにいる。
うごかない。
だから、ボクは、
ムシ。
でも、気になる。
うごかないのに、
いつも、うなってるからです。
イヌの仲間だそうです。
かわいい顔、してる。
カラダはツルツルしてる。
口がおおきい。
足はちいさい。
シッポがふたつある。
すごくほそいシッポ。
おとうさんは、
そのひとつを「アース」とよんでる。
もうひとつのシッポは、
まえのほうにでていて、
ヘヤのカベのコンセントにつながっている。
ボクのシッポは、
どこにもつながっていないし、
ちゃんとうごく。
ボクの思いどおりに。
サム君は、ごはんを食べる。
口をあけてもらって、
おなかのなかに、
ゴミをいれる。
それがサム君のごはん。
それだけ。
かまない。
じつは、ボクのウンチも、
サム君のごはん。
あとは、一日中、
うなってる。
ボクは、銀の食器にシーバを入れてもらう。
去年のクリスマス・プレゼント。
それをじぶんで食べる。
カリカリ、もぐもぐ。
食べおわったら、
舌をぺロリとやることもできる。
おもいきって、
サム君のうえに、
のってみた。
あたまもツルツルしてる。
モンクいわない。
もしかして、
いいやつかもしれない。
だから、
仲よくしようとおもいます。
仲よしといっても、
こんな感じですが。
ことしも、おわりだそうです。
ボクにも、家のなかに、
ひとり、
仲間ができた。
うれしいことです。
来年も、よい年になりそうです。
おとうさんにとっても、
よい年になりますように。
これからは、
サム君とふたりで、
おいのりします。
<『ジジの気分』(未刊)より>