君原健二の「自分との戦い」、義足のオスカーとクーベルタンの言葉
総務省発表の日本の総人口。
2012年3月31日時点で、
1億2665万9683人。
前年よりも26万3727人減少。
比率にすると0.21%減。
出生者数104万9553人は、
1968年の調査開始以来最低、
死亡者数125万6125人も過去最高。
3年連続の減少だが、その減少数は、
過去最多の2011年段階のマイナス13万4450人を、
大きく更新。
ただし東日本大震災がどれだけ影響したかに関して、
総務省のコメントは「分析し切れない」。
「0.21%」が26万3727人。
何ごともパーセントだけで、
見たり考えたりしてはいけない。
そのことを、この「0.21%」は痛いほど表している。
「分析」などしなくてもよい。
心から、ご冥福を祈りたい。
さて、日本の政治。
内閣不信任決議案が衆議院に提出された。
「消費増税関連法案の成立阻止」を狙ったもの。
しかし共同提出したのは、
共産党、社民党、みんなの党、
新党きづな、新党日本、
そして新党・国民の生活が第一。
時事通信の言い回しでは、
「自民、公明両党を除く中小野党6党」。
座布団一枚!
わかりやすい。
自民党も野田佳彦首相が「衆院解散の確約」をしない限り、
独自の不信任案、首相問責案を提出するらしい。
ロンドン・オリンピックにすっかり、
かき消された格好の政局。
どちらにしても、ニッポン選手団のごとく、
組織の力を発揮してもらいたい。
日経新聞の『私の履歴書』に、
君原健二さんが書いている。
メキシコ・オリンピックのマラソン銀メダリスト。
「マラソンとはいかに速く自分の体を
42.195キロ先にあるゴールまで
運ぶかという競技である」
「体が蓄えているエネルギー源(糖質と脂肪)は決まっている。
それをうまく使いながら、できるだけ速くゴールする」
「途中でエネルギーが
足りなくなってはいけないし、
エネルギーを余らせてもいけない」
これ、企業経営や店舗運営とよく似ている。
経費と利益の関係そのものだ。
君原さんのペース配分が面白い。
「5キロまで行ったら、このままのペースで
進んでも大丈夫だろうかと考える。
修正が必要なら、あと37.195キロを
どういうペースで走ればいいのかと計算する」
「疲労の度合いをチェックし、
気温や風向きの変化を感じ取ることが重要だ」
「そうしながら、10キロ地点では残り32.195キロの、
15キロ地点では残り27.195キロの
理想のペースをはじき出し、速度を微調整していく」
㈱セブン&アイ・フードシステムズ社長の大久保恒夫さんが、
コーネル大学ジャパンの講義で言っていたことが思い出された。
「店長にとって、期の途中で、
経費をコントロールできることが
何より大切です」
そのための情報と方法が、
用意されていなければならない。
用意するのがトップや幹部の仕事となる。
「人の動きに惑わされ、ペースを乱すと命取りになる。
そういう意味で、
マラソンとは人との戦いではなく、
自分との戦いなのだと思う」
経営も運営も、マネジメントも同じ。
「自分を見失わず、
自分の理想のペースを守れるかどうかで
結果は変わる」
35回のマラソン人生、すべて完走。
一度も棄権したことがない。
君原健二、さすがのランナーだ。
朝日新聞の『天声人語』も五輪ネタ。
義足ランナーのオスカー・ピストリウス選手。
南アフリカの400メートルのランナー。
準決勝で敗退したが、
次は1600メートル・リレーを走る。
「私の義足は靴と同じ」。
北京のパラリンピックでは「敵なし」だった。
10年前に亡くなった母親の言葉。
「オスカー、敗者とは最後にゴールする人じゃない。
はなから出場を諦めちゃう人を言うんだよ」
「参加することに意義がある」
クーベルタン男爵のこの言葉も、
ロンドン・オリンピックに参加する選手全員が、
勝者であることを語っている。
そのなかで、メダルを取り、8位入賞する。
人生最高の幸せだろう。
昨夜の女子サッカー。
なでしこジャパン。
最後は必死だったが、
みんな楽しそうでもあった。
それよりもフランスのブサグリア選手。
ペナルティキックを外したあの選手が、
ひどく印象に残った。
「私のサッカー人生で
忘れられないシュートになってしまった」
こう悔やんだそうだが、
見ている方はそうでもない。
美しかった。
このブログの7月10日版でも書いた。
「競争はあなたの仕事です」
「むしろ、はじめから競争に参画しない者、
すなわち競争を楽しめない者には
進歩も革新も与えられず、
能力開発の余地もないことをこそ
認識すべきでしょう」
<結城義晴>
クーベルタンは言う。
「人生において重要なことは、
成功することでなく、
努力することである。
根本的なことは征服したかどうかにあるのではなく、
よく戦ったかどうかにある。
このような教えを広めることによって、
いっそう強固な、いっそう激しい、
しかもより慎重にして、より寛大な人間性を
作り上げることができる」
商人舎最高顧問の杉山昭次郎先生が、
昨年のRMLC宇都宮クリニックの際に、
こう語ってくれた。
「お客の支持を得る店は、
現在のレベルが高い低いよりも、
そのレベルが高くなろうとしている店、
高くなりつつあることがお客にわかる店なんだよ」
オリンピック漬けの毎日、
なぜか勝者よりも敗者に、
共感を感じる結城義晴である。
<結城義晴>