マイカル松井博史社長訪問し、オール日本スーパーマーケット協会で特別講演、2次会3次会で、応援団長も声が嗄れた。
大阪、4日目。
こんな「長期滞在」は久しぶり。
今から30年ほど前、
関西スーパーに1週間実習に入った。
当時の日本の最高峰「広田店」。
この1週間研修が、私の小売業体験の原点。
その時の関西滞在が、いちばん長い。
二番目に長いのが、
ダイエーが1兆円を達成した取材の時。
今回は、それに次ぐ長さ。
さて、滞在3日目の午前中は、船場のマイカル本部を訪問。
松井博史社長と面談。
松井さんには、今年、
浄信寺での「寺子屋塾」に出講していただいた。
そのお礼を兼ねた訪問。
松井さんは、
マイカル7000店の「店の中の店」構想で、
現場の刷新を図っている。
マイカル100店、それぞれに70の部門がある。
その一つずつの部門を「店の中の店」と見立てる。
だからマイカルには7000店の店があって、
7000人の店長が存在することになる。
7000人の「店の中の店」の店長が、
一人ひとり、真剣勝負で商売する。
それによって、マイカル全体が強い企業となる。
「小さく、狭く、濃く、深く」この考え方。
問題解決のためには、
「小さく考える」それが一番、効果的。
ウォルマートのThink SmallとStore Within a Store。
それが今、松井博史率いるところのマイカルの戦略。
松井さんとの会話の中にも出てきたが、
アメリカのチェーンストア11月の実績。
既存店前年同月比。
ウォルマートだけプラスの3.4%。
これまで好調を維持していた「勝ち組」も、
マイナスに陥った。
私がWWTCとプロレス団体のように名付けた企業も、
崩れはじめた。
何といっても衝撃的なのは、
コストコのマイナス5.0%。
ウォルグリーンまでマイナス1.0%。
ターゲットは相変わらず悪く、マイナス10.4%。
オフプライスストアのTJマックスもマイナス12.0%。
ディスカウントを志向するチェーンも、既存店割れ続出。
だから、百貨店やファッション店は、
もう、惨憺たる成績。
ノードストロームがマイナス15.9%、
コールズがマイナス17.5%、
サックスもマイナス5.2%。
JCペニーはマイナス11.9%。
ギャップ10.0%減、
あのアバクロは28.0%減。
アメリカでも「節約、倹約。もったいない」が、
この11月、極限に達した。
だからコストコでは、高額品が落ちこんだ。
コストコはプレミアムな買い物と、
コモディティの買い物が、
一つ屋根の下で可能となる商売。
これを「トレーディング・アップ」という。
しかしこのプレミアムの部分が、売れなくなった。
だから全体では、マイナスとなった。
コモディティ商品は、必需の生活用品。
必需のものだけ買う。
それが11月のアメリカ人の生活トレンドだった。
日本でも、このトレンド、大きく外れはしない。
松井さんも同感してくれた。
話は、つきない。
あっという間に、1時間弱が経過。
ありがとうございました。
来年もよろしく。
午後は、帝国ホテル大阪。
オール日本スーパーマーケット協会12月度トップ経営研修会で、
特別講演、90分。
テーマは「2009年の政策と対策」
今年の秋、同協会のアメリカ視察セミナーに同行した。
だからアメリカスーパーマーケットの動静を含めて語った。
サブタイトルは「蛻変のすすめ」
ドラッカー先生は言っている、と、
上田淳生先生が言っている。
「量の成長が見込めない時には、
質の充実を目指せ」
アメリカではウォルマートを除いて、
大規模チェーンストアは軒並み、量の成長が果たせなくなった。
だから質の充実を目指すことになる。
日本も同じような傾向の中にある。
ならば2009年、2010年は、
質の充実にあて、
その後、蝉が脱皮して、
姿を変えてしまうごとき「蛻変」を遂げねばならない。
そんな構想を描かねばならない。
とりわけ、会社と店に停滞が見られる企業は、
停滞の自覚症状がある企業には、
「蛻変」の準備と、
「蛻変」の断行が必須である。
私、自信を持って、言う。
この1年間、
私自身が「蛻変」したからだ。
そんな講義。
あっという間に1時間半が過ぎた。
まだ話足りないくらい。
講演が終わって、
浄信寺へ。
前阪神百貨店社長の三枝輝行さんが、
「四季の会」向けに寺子屋講義をされていた。
その陣中見舞いと、
商人舎寺子屋塾への出講のお礼。
西端春枝先生にも、二日続けてお会いして、
幸せな気分になった。
帝国ホテルにとって返して、
懇親会参加。
私たちのテーブルには、
荒井伸也協会会長と井上保副会長。
井上さんは、ご存知、関西スーパーマーケット社長。
荒井さんも井上さんも商人舎発足の会発起人。
つまり商人舎ファミリー。
そこで井上さんと写真。
井上さんが関西スーパーに入社したとき、
同社は4店舗の企業だった。
その4店は皆、歩いて行ける距離の中にあった。
私の言う最小で最強の「競争単位」。
その競争力を持った強い小売企業だった。
私が研修に入った広田店のころ、
10店を超えた。
このときも、強い競争単位を、
複数持つに至った。
小売業は1店舗が地域で一番の場合、
易しい。
その1店舗が3店、三角形に集合すると、
「競争単位」となる。
競争単位の三角形から、四角形、五角形と増やしていく。
すると、10店を超えたチェーンストアとなる。
みんな最初の競争単位は、歩いて行ける距離。
そんなことを井上さんと話しながら考えた。
懇親会のあとは、最上階のバーで2次会。
さらに㈱マツモトの松本隆文社長、
㈱セイミヤの加藤勝正社長、
㈱キョーエイの埴渕一夫社長、
㈱セブンスター大政典邦専務らと、
部屋で3次会。
話は盛り上がった。
講演でも声がかれたが、
この2次会、3次会で、
さらに声がかれた。
「スーパーマーケット応援団長」は、
声がかれても、大声で応援しなければならない。
それが私の役目です。
皆さんお疲れ様。
そしてありがとう。
最後に、林廣美の「金曜日のこの一品」
“エビ天丼”
売上げが困った時にはエビとイカ!
12月の二度目の週末。
困ったときには、エビ天丼。
お店の味をもっていると、強い。
惣菜やベーカリーは、
商品の入れ替えが必要。
それがないと飽きられてしまう。
しかし、これは、という商品をもっていると、
困った時に、その商品が助けてくれる。
エビ天丼が、それ。
今週末は、自分の売り場の得意の商品を、
「失敗を恐れない」で、
売り込もう。
では、よい週末を。
今日は、関西スーパー伊丹駅前店を視察してから、
やっと、横浜に帰ることができる。
4日ぶり。
いい旅だった。
夕方から、忘年会。
明日は、立教大学大学院の講義。
多忙な師走は、続く。
<結城義晴>