イトーヨーカ堂・ヨークベニマルの「商業と商人の論理」

花粉症が酷い。
今年の予想は、東京・横浜は、
「やや多い」らしい。
3月上旬の現在はスギ花粉。
下旬に入るとヒノキ花粉。
毎朝、食事前に、
薬を飲んでいる。
さて、
セブン&アイ・ホールディングス。
昨日の報道に続く内容。
ヨーク・ホールディングスに関して。
商人舎流通Supernews。
セブン&アイnews|
SST事業をベインキャピタルに8147億円で譲渡
Bain Capital Private Equity, L.P.、
つまりベインキャピタルが
買収目的会社(SPC)を設立する。
SPCは「Special Purpose Company」で、
事務所もなく、従業員もいない会社。
そのSPCに8147 億円で、
イトーヨーカ堂とヨークベニマルなどが譲渡される。
その段取りが以下の図だ。
ステップ0からステップ③までが示されている。
吸収分割方式で譲渡されたら、
SPCはヨーク・ホールディングスに商号変更する。
その株主構成は、
⑴ベインキャピタル 60.00%、
⑵セブン&アイ35.07%、
⑶創業家 4.93%
創業家には伊藤裕久氏、伊藤順朗氏、
そして大髙耕一路氏が名を連ねる。
伊藤博久さんは故伊藤雅俊さんの長男、
順郎さんは次男で現ヨーク・ホールディングス会長。
大髙さんはヨークベニマル社長。
取引契約の締結は2025年7月1日、
効力発生日は2025年9月1日。
昨2024年10月に、
ヨーク・ホールディングスが設立されている。
セブン&アイの中間持ち株会社。
3月1日付でイトーヨーカ堂は、
代表取締役の異動人事を発表している。
真船幸夫さんが代表取締役会長で、
営業本部を管掌している。
真船さんはヨークベニマルの前社長。
現在は真船会長、山本哲也社長体制。
経験も実績もある真船さんに、
イトーヨーカ堂を立て直しさせる人事か。
それが実現すれば一番いいだろう。
イトーヨーカ堂を何とかしてもらいたい。
私はそう考えている。
ヨークベニマルは盤石だ。
ベインキャピタルは、
ヨーク・ホールディングスの再上場を目指す。
その上場益がベインの利益となる。
総合スーパー業態をやめて、
衣料品をもつスーパーマーケットとなる。
真船さんならそうするだろう。
しかし、しかし。
イトーヨーカ堂news|
原宿竹下通りに「TOYLO MART 原宿店」3/5オープン
3月5日(水)、原宿の竹下通りに、
「TOYLO MART 原宿店」オープン。
30坪のエンタメ特化型店舗。
イトーヨーカ堂は「TOYLO PARK」を運営している。
体験型おもちゃ売場。
トレンド性の高いキャラクターグッズ、
コレクショントイ、カード、
さらにTV ゲームなどを中心に、
顧客ニーズに応じた商品やサービスを提供する。
限定商品の展開、新商品のテスト販売。
その売れ行きを分析しながら、
今後の「TOYLO PARK」の品揃え強化につなげる。
この30坪の店の目的は、
「流行の発信地原宿エリアに出店することで、
『TOYLO』ブランドの認知拡大・強化を目指す」
そんなことしていていいのか?
イトーヨーカ堂は、
間違いなく大企業病にかかっている。
組織は悪しき官僚化のなかにある。
茹で蛙状態になっている。
「やってる感」が蔓延している。
それを全社員が自覚するところから、
再スタートを切らねばならないと思う。
そうしなければ、
ヨーク・ホールディングスという会社の意味がない。
ヨークベニマルだけならば、
IPOは可能だろうが、
イトーヨーカ堂がお荷物になる。
そして今のところ、
なんの展望もない。
一昨年の商人舎2023年5月号。
私は書いた。
「工業の論理でセブン-イレブンをスピンアウトさせる。
どこまでも突っ走る世界的なチェーンストアにする」
「一方、商業と商人の論理で
イトーヨーカ堂、ヨークベニマルを
セブン-イレブンから分離、独立させる」
「コンビニ事業以外は、
伊藤雅俊の思想を受け継ぐ企業であることを
思い出すべきである。
ヨークベニマル創業者の大髙善雄の
『野越え山越えの精神』を貫徹するべきである」
「そしてセブン-イレブンは
鈴木敏文のDNAを継承するのである」
「工業の論理と商人の論理で、シンプルに考える。
それがわからない経営者は去るしかない」
今もこの考えは変わらない。
〈結城義晴〉
7 件のコメント
工業の論理は言語化しやすく共有も進めやすいですが、商業、商人の論理は、言語化しづらく、従って共有も一朝一夕には難しいように感じます。
思いとか、理念とか、情念とか、言語化しづらい塊りのようなものの気がしています。でもだからこそ、とても強力な原動力になるのでしょう。
吉本さん、ありがとうございます。
工業の論理は欧米での研究の歴史が長く、
その成果が確定しています。
商業の論理は研究者が少ないこともあって、
いまだあいまいな部分も多いと思います。
渥美俊一さんの研究は、
商業の工業化でした。
しかしこれは商業そのものの研究ではありませんでした。
私たちはまだまだ熱心に、深く、
その研究に勤しまねばならないと思っています。
鈴木さんは
工業の論理でも、
商人の論理でも
無かったように思います。
しいて
言うなら
お客様の論理だったと思います。
鈴木さんは
一度も店長どころか
店員の仕事もしたことが無く、
なにか厨房で製造したこともない。
だから、
お客様果汁100%で仕事の出来る方でした。
なので、
常識を無視し
昨日の延長線ではない未来をデザインし
非情な指示を
出せたのだと思います。
お客様のために×
お客様の立場に立って〇
という考え方が
徹頭徹尾
出来る方でした。
お客様に対しては。
小売りラブ♬さん、ありがとうございます。
鈴木さんには私もたくさんのことを、
それも深く教えていただきました。
「顧客のためではなく、
顧客の立場に立って」
これがセブン-イレブンのスタンスだったと思います。
だから私は書きました。
「そしてセブン-イレブンは
鈴木敏文のDNAを継承するのである」
これが「顧客の立場に立って」でしょう。
ただし倉本長治の「店は客のためにある」も、
多くの成功をもたらしました。
そしてセブン-イレブンが今後、
世界戦略を展開するには、
インダストリアリズム(産業、工業)の考え方が、
必須だろうと思います。
イトーヨーカドーは長くトップダウンが続いていたためか、従業員が考えても否定されるから無駄という現場の声が多くあり、考えない会社になってしまいました。
今、会社は変わろうと色々な施策をしていますが、責任を誰も取らないため、全部中途半端。そんな会社が業績を変えるのは非常に時間とお金がかかるような気がします。
現場の声を真摯に聞いて全員で再生する位の気持ちで、正に一丸となり取り組んでほしいです!
田邊さん、ありがとうございます。
外から見ていてもよくわかります。
考えない会社になってしまうことは、怖いですね。
それでもこの機会に現場の声を大事にして、
再生してほしいですね。
昔のヨーカドーはどこに行ったのでしょう。
仰せのように完全大企業病、伊藤雅俊オーナーの商いの心配りが薄れている。
管理部門の人間は増えるのに、現場の人たちに何を報いているのか・・疑問しなかい。
まずは、働く皆さんに働きやすく、お客様のことを考えやすい会社に戻してほしいです。