FOOD ACTION NIPPONと金沢激戦区を行く(後編)
「コンビニ価格の闇」
朝日新聞が、いかにも朝日らしく、騒いだ。
今日付け一面で、
「セブンイレブンを調査、公取委 値引き制限容疑」
という見出しで、取り上げ、
さらに二面の「時々刻々」を使って、
弁当・惣菜の値引き販売に関して、
センセーショナルに報道した。
コンビニは、フランチャイズシステムを採用する。
その中で、セブン-イレブン本部は、
弁当や惣菜の見切りを、加盟店に制限している。
これが加盟店に対する優越的地位の乱用に当たるのではないかという容疑。
弁当・惣菜は、不思議な商品で、
値引きすると、ほとんどの商品が売れる。
しかし、それが店側の、
安易な発注に結び付きやすい。
安易な商品管理に陥りやすい。
収益性も悪化する。
それをセブン-イレブン本部は、厳しく戒めて、
正価で売り続けて、期限を過ぎたら、
廃棄処分を励行している。
これに加盟店の一部が反旗を翻し、
本部との間に論争が繰り返された。
それを公取委が調査し、
朝日新聞が大きく取り上げたわけ。
直営のチェーンストアならば、なんら問題にならないこと。
しかしフランチャイズ方式を採用していると、問題になる。
商業としての「見切り」に対する根本的な考え方が問われている。
あなたは、どちらの言い分が正しいと考える?
本部と加盟店。
見切りをするか、しないか。
このブログ上での論争を待ちたい。
私の結論は、論争のあとで。
どんどんご意見を。
さて、昨日は、東京・汐留の㈱電通本社へ。
写真左は、ソーシャル・プランニング局長の上条典夫さん。
右は、ストラテジック・プランニング局の土井弘さん。
土井さんは、大電通の中で、最も流通業に精通した人。
その旧知の土井さんのご紹介で、上条さんに会った。
上条さんは、別の肩書を持つ。
FOOD ACTION NIPPON推進本部事務局総合プロデューサー。
これは農林水産省「食料自給率戦略広報推進事業」。
もう一つは、財団法人日本オリンピック委員会事業・広報専門委員会委員。
私がお会いしたのは、もちろん「食料自給率」の方。
昨年10月に、国民運動「FOOD ACTION NIPPON」が立ち上げられた。
その目標は、2015年に食料自給率45%の実現。
多くの消費者が国産農産物を選択して、食べ、使うことで、
日本農業の再建にも役立つ。
私も、この考え方に、大賛成。
食料自給率をカロリ―ベースで5%上げる。
その国民運動の推進。
全面的にご協力することをお約束して、三人で固い握手。
皆さんも、ご協力ください。
商業と農業の協働が、テーマとなります。
さて、今日も長編だが、お約束通り、
「金沢激戦区を行く(後編)」
地元ローカルチェーンのマルエーを中心にした競争。
マルエー藤江北店の周辺2キロに5年間に8店の新店がオープン。
新しいところでは、平成19年にユニーのアピタベイ金沢。
オープンエアー方式のアメリカのパワーセンターのようなショッピングセンター。
さらに平成18年にイオン示野ショッピングセンター。
こちらは、マックスバリュが核店舗。
マックスバリュは、イオンリテールの経営で、通常の出来栄え。
そして平成18年、バロー木曳野店。
600坪のスーパーマーケットで、こちらも近隣型のショッピングセンター。
バローは、そのプライベートブランドを「開発商品」と称して果敢に売り込む。
Vセレクト、Vクオリティ、Vオーガニック。
そして、地元スーパーマーケット東京ストアーが平成15年に新店で迎え撃った。
もともといちばん先にオープンしていたのはナルックス桂店。
450坪のスーパーマーケット。
CGCジャパン加盟店。
2年前に、この激戦に向けて、大幅リニューアル。
入口の青果部門。
98円均一で、盛り上げる。
店内はカラフルな装飾。
惣菜は、黄色で、ド派手。
私、アメリカのメキシコ系スーパーマーケットを思い描いた。
金沢市の県庁周辺の競合には、このほかアルビス鞍月店が平成13年、
マックスバリュ駅西店が平成17年、
ドンキホーテが平成17年、
ゲンキー金石店が平成17年、
それぞれオープン。
さて、どう考えるべきか。
こんなエリアでは、昨日報告したマルエー藤江北店の「異常値」作戦も必要。
「コロッケ・バイキング」で一日2000個販売を目指す。
小松空港から、羽田に向かう間も、
私は考え続けた。
「この競争の中で、どんな店が生き残るのか」
同質化競争は、激化するにちがいない。
その結果、「レッドオーシャン」赤い海となる。
そのレッドオーシャンから抜け出し、
ブルーオーシャンにこぎ出す企業だけが、
この激戦の中で生き残る。
もちろん、私はチャン教授・モボリュニュ教授同様、
レッドオーシャンを否定はしない。
レッドオーシャンも不可欠のマーケットを形成している。
しかしローカルチェーンは、ブルーオーシャンを目指さねばならない。
レッドオーシャンの勝者は誰か。
イオン、ユニー、平和堂、バロー。
彼らの中からもブルーオーシャン戦略を取る者が出てくるだろう。
しかし繰り返すが地方地場企業は、
レッドオーシャンでは、続きにくい。
だからブルーオーシャン戦略。
「食料自給率推進運動」は国民運動だが、
ブルーオーシャン戦略に貢献することは間違いない。
<結城義晴>
[追伸]
今日も長編のご愛読、心から感謝。
8 件のコメント
コンビにの弁当や惣菜の定価販売と廃棄について、私はこう考えます。今、地球環境を真剣に問う時代だと思います。まだ、十分に食べれるものを廃棄処分にすることは、資源の無駄であり、ゴミも大量に発生します。ゴミを全く出さないということは無理であっても、減らすことは可能です。結論は、値引き販売で完売することが今の時代に合っていると思います。フードバンクがあるように食に対する価値観を変える時代だと思います。スーパー、飲食店も同様な考え方が必要でしょう。
セブンイレブンもホコロビが出てきているんですね。大企業にとってルールを変える事がいかに難しい問題か。この廃棄問題は氷山の一角のように思えます。
立地マンさま、ありがとうございます。正価で売り続けて、期限がきたら廃棄する。これは仰るように地球環境の観点、食料問題の視点からは、考え直さねばならないことでしょうね。
デン助さまもありがとうございます。大企業にとって、ルールを変えることの難しさ。なるほど。変えるべきルールととらえるか、いや、われわれの、変えてはならない基本なのだと断じるか。それがセブン-イレブンの見切り問題に出た。
お二人ともご投稿感謝します。
もう少し、ご意見をもらいましょう。
セブン-イレブンを擁護する方は、いらっしゃらないのでしょうか。
廃棄を少なくするために値引き販売を実施したところで、発注精度が向上しなかったら廃棄が減るとは限りません。安易な値下げによって商品価値が低下し、発注精度も向上しないことによるデメリットの方が大きいと判断したからこそ、値引き販売をしていないのでないかと推測します。要は商品価値に見合った適正な価格がつけられているかが重要ではないのでしょうか。
いつも毎日ブログ楽しみに拝見させて頂いてます。
メーカーの立場というより一般論になると思いますが
この問題は、各店舗オーナーの普段の本部に対する不満が
(24時間営業の強要を始めとする。)
違う形で爆発してしまった結果の様な気がします。
勉強不足で申し訳ありませんが、発注精度を上げるとは
地域の行事や天気予報などからの予測可能な部分と
そうではない部分もあり絶対はありえません。
7-11側は、その社会的責任からリサイクルの仕組みを
説明(アピール)する義務があるのではないかと考えます。
単純に作った製品が捨てられてしまう。
作り手からするとその現実につらい想いがあります。
乱筆乱文失礼しました。
はじめてコメントさせていただきます。
弁当の廃棄はまことに「もったいない」ですが、海外のように
社会的弱者の方に配布する等、社会貢献や資源配慮は可能なのでは
ないでしょうか。小売業を支援する会社としては、前述のように
改善は必要かもしれませんが、安易な値引きに走らず知恵やシステム
で対処し企業価値を保ち、結果として社員や加盟店を守る7&Iが
正しいと考えます。
勿論、加盟店の方々も相当な努力をされた上でのことだとは
思いますが、同じシステムで利益を出している加盟店も沢山あるわけ
で、その点で更なる改善の機会はあると感じます。
こんにちは(*^_^*)
かなり昔に、イトーヨーカ堂が始めた生鮮食品の賞味期限問題を思い出しました。当時、消費者のニーズに答えるために、独自設定した期限をもって新しい生鮮品を常に品揃えするといっていたと思います。
でも、食べられる食品を廃棄するやり方は、小生にとって衝撃でした。今ではそれが当たり前のようになってしまっていますが、小生はそれ以来、イトーヨーカ堂は嫌いになりました。ただ、一方で最後まで売り切るやり方を取っていたダイエーはつぶれてしまいました。世の中、難しいです。
小生は、見切り販売に賛成です。もう食べられるものを捨てるようなビジネスはやめた方が良いと思います。企業の考え方が問われる時代になってきたのだと思います。
勝手なこと言ってスイマセン。では。
平均すると商品廃棄は60数万円/月程度にはなるようです。売上に対して2%になります。
予測発注であればマークダウンなくして売切ることは不可能です。発注精度を上げて売切ることを目指せば売場がもちません。365日24時間営業であれば常に“そこにはある”ことが、お客様の要求です。
直営店では問題は起こらないとのことですが、私が知る限り、直営店の廃棄金額は60万円/月では収まりません。恐らく80~100万円/月程度でしょうか、直営店は身銭を切られる思いがない分、発注自体は緩いのです。全店直営店であれば7-11にとっては更に深刻な問題になります。少なく見積もっても40万円(原価)×12ヶ月×12,000店舗で576億円/年の逸失利益となります。
発注一つでこれだけの利益を失えば、問題は起こらないか?です。
フランチャイズが主体のコンビニ本部は、もはや小売業とは言えません。コンサルタントを生業とするからこその利益率の高さです。現に同じ経営者が営む小売企業群の体たらくは、いったい何をやっているのか?
2月決算が揃いましたが、7&アイやイオンなど日本を代表する小売大手の惨憺たる決算内容には怒りすら覚えます。イオンにおいてはグループ売上が5兆円を優に超えながら1円の利益すら出せない。7&アイもコンビニ事業を除けば似たようなものです。
安易な発注に結び付きやすい。
安易な商品管理に陥りやすい。
収益性も悪化する。
尤もらしい理由ですが、見切り問題は単に本部と加盟店の権益の獲得闘争です。見切りすることで本部の利益が減るか、加盟店の利益が増えるか、それだけです。
安易な発注に結び付きやすい。
安易な商品管理に陥りやすい。
収益性も悪化する。