「ソーシャル消費の時代」とプライベートブランド
本ホームページ「知識商人対談シリーズ」第2弾が面白い。
㈱成城石井社長・大久保恒夫さんの巻。
「杉山昭次郎のときどきエッセイ」も、ためになる。
ご愛読のほどを。
さて今日の日経新聞一面トップ。
「主要小売り本社調査」と銘打って、
「PB商品販売35%増」の見出し。
4大紙といわれる新聞の一面のトップ記事。
これは、毎日、4本しかない。
事件が起こると、4本ともに同じ記事が躍る。
特別の事件がないと、それぞれの新聞に特徴が出る。
しかし経済分野では、今やもう自他共に認める第一人者の日経新聞一面トップに、
プライべートブランドの話題が載ることに、
ある種の感慨を持たずにはいられない。
その記事の内容は、主要な小売業15社に調査したPBの2008年の現状。
年間販売額。
イオンは368億円。
セブン&アイ・ホールディングスは2000億円。
ユニーは854億円。
イズミヤ315億円、
ニチリウ563億円。
日本生協連4000億円、
高島屋230億円 。
そしてこれらの伸び率が35%。
もはや完全に、PBが認知されたことが証明された。
ただしこれはコモディティグッズのPB。
だから量が必要となる。
そこでユニー、イズミヤ、フジは、
PBに関しての提携を進める。
この記事に関連して、
「スーパー売上高12年連続前年割れ」のニュースが並ぶ。
これは4大新聞すべて。
しかしここでいう「スーパー」は、日本チェーンストア協会加盟企業のこと。
業態でいえば、総合スーパーを中心にした企業。
ちなみに欧米では、総合スーパーをひとくくりにして、
「ハイパーマーケット」と呼ぶ。
しかしこの総合スーパーは、
商業統計で平成9年にピークを迎え、
その後、ずっと下り坂にある。
12年連続既存店マイナスは、
業態のライフサイクルという考え方からして、
もう既成の事実。
だからPBの重要性が増しているとも考えられる。
昨日は、夕方から、東京八重洲口の「京すし」で、懇談。
電通ソーシャル・プランニング局長の上條典夫さんと。
上條さん、最近、講談社から本を出した。
「ソーシャル消費の時代」
サブタイトルは「2015年のビジネス・パラダイム」
上條さんの掲げるキーワードは、
「量から質へ」
「個から絆へ」
私は、「コミュニティとホスピタリティ」をキーワードとしている。
立教の講義シラバスでは、この二つのキーワードを研究すると宣言している。
上條さんのいう「ソーシャル消費」の中の「個から絆へ」は、
まさしく「コミュニティ」のことを言っている。
「量から質へ」は、コモディティとノンコモディティ。
これも意見が一致した。
上條さんは、農林水産省が推進する「日本の食料自給率向上運動」の事務局長。
FOOD ACTION NIPON
私も、その趣旨に賛同し、協力している。
私と上條さんを結びつけてくれた電通の土井弘さんと3人で、
京すしの美味と酒を楽しんだ。
ソーシャル消費の時代に、
プライベートブランドは、どんな役割を担うのか。
小売業の自主企画商品は、果たして社会性を有することになるのか。
日経一面トップで取り上げられるだけのニュースバリューはもっている。
ニュースバリューばかりでなく、
ソーシャル消費の中の商品価値をこそ、
獲得してほしいものだ。
もちろんメーカーにも、問屋にも、
その商品開発の価値が増大する努力を求めたい。
<結城義晴>