商人舎ミドルマネジメント研修会の成功と「美しいか美しくないか」
中国では新体制が始動。
59歳の習近平国家副主席が、
共産党総書記と党軍事委員会主席を兼務。
一方日本は明日、
衆議院解散。
年末の12月16日まで、
一挙に選挙モードに突入。
しかし湯河原は、
今日も美しい快晴。
あの山並みの向こうに富士が見える。
商人舎ミドルマネジメント研修会最終日。
13日火曜日から15日木曜日までの、
2泊3日の完全合宿制研修会。
いよいよ最後の日を迎えることとなった。
8時前には受講生たちが集まってくる。
今日も朝から理解度判定テストが行われる。
昨日学んだことをどれだけ、
自分ものにしているのか。
自分の理解度を自分で知るためのテスト。
「知る」
「分かる」
「できる」
その「知る」のレベルを知るためのテスト。
昨夜は、夜の11時半過ぎまで、
自習室にこもる受講生たちがいた。
その成果がためされる30分間の小試験。
いよいよスタート。
ペンが走る音が鳴る。
誰もが30分間に集中する。
昨日学んだ白部和孝先生の計数問題も出題される。
電卓の音も会場に響く。
皆が集中する朝の30分間。
これが商人舎ミドルマネジメント研修会の特徴。
第1回テストではなんと、
100点満点が一人出た。
完璧な回答に事務局全員脱帽。
90点以上も5人。
難しい問題。
しかし誰もが一所懸命。
テストから解放された後の笑顔。
晴れやかな笑顔。
お疲れさま。
しかしそれもつかの間。
最終日の講義は、
はじめに高野保男講師。
作業問題とオペレーションシステム。
高野さんはレイバースケジューリングに関する、
紛れもない日本の第一人者。
レイバースケジューリング構築のための
作業改善の考え方と具体的な取り組みを、
豊富な資料映像とスライドを駆使して、
2時間にわたって講義してくれた。
最後は、エクセルを使った作成システムを紹介。
受講生たちは食い入るよう見て、学んだ、
次の指導先に移動する高野さんと、
ホテルの前で記念撮影。
1年に350日、全国を指導して回る。
指導依頼は引きも切らない。
日本でいちばん忙しいコンサルタント。
ありがとうございました。
そして、ミドルマネジメント研修会の特別記念講演。
上田惇生先生登場。
もちろんテーマは「ドラッカーの神髄」
ドラッカー翻訳の第一人者、
そしてドラッカーの分身ともいわれる上田先生。
「ドラッカー以上にドラッカーを知る」
上田先生の第一声。
「世の中を変えるのは日々の仕事だ」
「偉大な人物や有名な経営者が社会を変えるのではない。
ミドルマネジャーを中心とした毎日の仕事が、
人々の生活を変え、世の中を変える」
執筆中の最新著書は、
『ドラッカーのケーススタディ50選』。
その本を書くなかで上田先生自身、
一番感心したことがある。
「小売業で成功するのは簡単である。
二つのことをやればいい。
第一に、お客がにこりとする店をつくればいい。
第二に、働いている人がにこにこする店をつくればいい」
ほんとうに、それをすればいい。
ドラッカーはマネジメントをどのように考え、
どのように理論体系をつくったのか。
ミドルマネジメントにとって、何が大事なのか。
ホワイトボードいっぱいにポイントを書き出し、
丁寧に丁寧に、語ってくださった。
写真は「目標による管理」の8つの領域の説明。
(1)マーケティングの目標
(2)イノベーションの目標
(3)生産性の目標
ここには、肉体労働の生産性、
サービス労働の生産性、
そして知的労働の生産性があって、
ドラッカーはそれぞれを、
全く異なる視点から解明している。
この後に続くのは、
(4)人、労働資源の目標
(5)土地、つまり物的資源の目標
(6)資金「たちのいいお金」の目標
(7)社会的責任の目標
そして最後に、
(8)「必要条件」としての利益の目標
上田先生の講義のなかで、
私自身、大いに学んだことがある。
それはモダンとポスト・モダンの違い。
モダンとは「近代化」、
ポスト・モダンは「現代化」。
私は商業の現代化を標榜している。
「美しいか、美しくないか。
その判断しかない」
大きいこと、強いこと、速いこと。
みな、モダンの考え方だった。
そして近代化の上に現代化は果たされる。
だからモダンの考え方も重要だ。
しかしポスト・モダンの特徴は、
美しいこと。
店も美しい。
売場も美しい。
商品も美しい。
仕事も美しい。
数字も美しい。
会社も美しい。
人間として美しい。
美しいことが最優先される。
私は思いだした。
故上野光平先生の著書に、
『美しい商人・醜い商人』があった。
西友の創業者にして、
優れた流通業研究者。
そして上野先生は、
ポスト・モダンを訴えていた。
私はまた一つ、
「現代化」のキーワードが見つかった気がした。
最後に「事業に成功する三つのこと」
第一は現状を把握する、
第二は使命感を持つ、
第三は自分の強みを知る。
現状把握し、強みを知っていても
使命感がなかったら破滅する。
上田先生とドラッカーの厳しい指摘。
最後は質問タイム。
手を挙げ質問する東尾里江さん。
紅一点の㈱万代の教育マネジャー。
それに対しても、丁寧に答えてくださった上田先生。
最後はスタンディングオベーション。
上田先生、ありがとうございました。
右は、商人舎エグゼクティブディレクター川勝利一さん。
いつも上田先生のエスコート役。
3日間の締めくくりは私の総括講義。
「ミドルマネジメントが社会と会社を救う」
まず最新の経営戦略論のガイダンス。
それは現状把握のために必須である。
「フォーマットとポジショニングの戦略」。
時代はレース型競争から、
コンテスト型競争へと転換している。
上田先生の言う「美しさの競争」時代。
そのなかでいかに自らをポジショニングするか。
アウトスタンディングにポジショニングするか。
さらに「寡占から複占への現象」と、
「コモディティ化現象」。
これらも現状把握と脱コモディティのために必要だ。
現状把握したうえで、
自らの「強みを知る」。
「使命感」に燃えて。
最後は「ミドルマネジメント・イノベーション」
自ら、変われ!
自分が変わらねば、
仲間を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
店を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
会社を変えることは出来ない。
自分が変わらねば、
社会を変えることは出来ない。
お客さまがにこりとする店をつくるために、
働く人たちがにこにこする店をつくるために。
自ら、変われ!
3日間のご清聴に、
こころから感謝したい。
熱海駅、湯河原駅へ向かう受講生たちを乗せたバス。
バスの窓に笑顔がのぞく。
そのバスを見送った。
お疲れ様、ありがとう。
課題レポート、忘れずに。
次回、第3回商人舎ミドルマネジメント研修会は
来年の5月28日・29日・30日に実施。
場所は西新宿。
さらに来秋9月には、再び湯河原で
第4回ミドルマネジメント研修会を開催する。
「美しいか、美しくないか」
それがポスト・モダンの鍵を握る。
そのことがずしんと心に残った。
湯河原は美しかった。
<結城義晴>
2 件のコメント
ドラッカーファン垂涎の的☆
上田先生と結城様のW講演は、
本当にお聴きしに行きたかったです!!
上田先生、少しお痩せになりましたか?
saikiさん、ありがとうございます。
上田先生はご病気療養から復帰され、
お痩せになったことは確かですが、
お元気です。
なにしろ、1時間25分、立ったり座ったりしながら、
レジュメなしで語りつくすくらいですから。
ありがたいことです。
来年の2回のミドルマネジメント研修会でも、
記念講演をしていただくことになっています。