ドラッカー学会総会で学んだ「マネジメント哲学」と「生涯現役」
Everybody! Good Monday!
2009年5月第3週の始まり。
新型インフルエンザは、
今日18日未明段階で感染者92人に広がった。
兵庫・大阪の高校生を中心に一斉に発覚した。
もう国内感染を止めることはできない。
水際作戦から、本土迎撃作戦に変わる。
5月9日のこのブログで書いたが、
4つの対策がある。
第一。
対策は中央集権的ではなく、地方分権的であること。
発症後は、現場医療機関の対応がカギを握る。
医療機関に限らず、小売業・サービス業も、
現場の役割と責任の範囲をあらかじめ決めておくこと。
第二。
治安、水道・電力・食料・金融などライフラインの確保を優先すること。
その意味では、店舗や商業施設にこそ、
「公衆衛生」とライフラインの責任と実行が求められている。
第三。
ワクチン・抗インフルエンザ剤作成、確保の政策を取ること。
これは政府・厚生労働省の役目。
第四。
リスク・コミュニケーションを図ること。
「手洗い・うがい、マスク、咳エチケット」の徹底。
日本人の基礎体力と公衆衛生のレベルが試されている。
私は、この面では、比較的に楽観している。
人命尊重こそ、今、何より重視しなければならないこと。
その意味では、最も弱いところに関心を払わねばならない。
基礎体力と公衆衛生レベルが、日本で最も弱いところこそ、
早急に援助したり、公的対策を講じたりしなければならない。
小売商業・サービス業は、
人が集まるところ。
万全の態勢を築くとともに、
それを過剰にならない程度に、
顧客や地域にアピールすること。
営業に影響が出るからだ。
今週は、新型インフルエンザに、
明け暮れる日々になるに違いない。
慌てず、騒がず、堂々と。
「基礎体力と公衆衛生」のレベルは高い。
その自信を持つこと。
さて、昨17日の日曜日。
第4回ドラッカー学会総会が開催された。
私もドラッカー学会会員。
ところは、都の西北・早稲田大学。
ピーター・ドラッカー先生が亡くなられた直後に始まって、4年。
この学会の代表は、上田惇生先生。
ものつくり大学名誉教授にして、
コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン主任講師。
早稲田大学に小野梓記念会館というのがある。
かつては第一学生会館があったところ。
私は、この第一学館の19号室に毎日のように通っていた。
その小野記念会館の地下二階で、ドラッカー学会総会は開催された。
地下一階には小野先生の胸像。
地下二階の記念講堂。
午前の部は、全国から6つの支部活動の成果報告。
午後は、13時25分から総会。
事業報告、事業計画と収支予算案の可決、規約の確認など。
そして13時50分から、講演会。
最初に真打ち登壇。
上田惇生先生の「ドラッカー生誕100年に寄せて」
「ドラッカーのあとにドラッカーはいるのか?」
それは残念ながら、5年後も、10年後も、100年後も、いない。
ジム・コリンズがそう言っている。
上田先生の講義は、初期三部作からスタートした。
すなわち『経済人の終わり』『産業人の未来』『企業とは何か』
これらを通して、ドラッカーは、
人間の幸せを実現させることを、
「イズム」が解決できるわけではないと理解した。
「イズム」とは、イデオロギー。
それを実践するのは、「組織」であり、
組織の運営の仕方=「マネジメント」であると考える。
ここから上田先生の講義は、さらに現代にまで展開した。
素晴らしかった。
静かに、感動。
次の講演は、岩倉信弥先生。
多摩美術大学理事・教授。
テーマは「明日をデザインする」
元本田技研工業常務で、
全国発明表彰通商大臣賞、日本グッドデザイン大賞など受賞。
本田宗一郎さんと藤澤武夫さんの経営は、
ドラッカーそのものだった。
本田の「動く」と藤澤の「動かない」。
その両立が、ドラッカー理論。
最後の講義は、小島明さん。
日本経済研究センター特別顧問。
元日本経済新聞専務で、有数の国際ジャーナリスト。
ドラッカー先生との親交も厚かった。
テーマは、「ファルスタッフの教え」
ドラッカー先生は言い残している。
「私が大切にしていることがふたつある。
ひとつは日本であり、ひとつはファルスタッフである」
ドラッカーは日本の、とくに明治維新を「近代の奇跡」ととらえた。
その日本に親しみ、学んだことは、ドラッカーを支えた。
「ファルスタッフ」はヴェルディ作曲のオペラ。
オペラ好きだったドラッカーは、
80歳のヴェルディが書いたこの人間賛歌のオペラに感動し、
生涯現役を貫いた。
だから95歳まで、死ぬまで現役を続けた。
この講義にも、私は、感動した。
かくてドラッカー学会は終了。
私は、元気をもらった。
「生涯現役」を貫徹したドラッカー。
私は、55歳で30年間を折り返し、
次の30年、現役を続けることを宣言したが、85歳まで。
まだまだ、先生にはかなわない。
そして「マネジメントが人間の幸せをつくり出す」と悟ったドラッカー。
私の場合は、「商業・サービス業は人間の幸せをつくる」。
まずは、ここから。
そんな志を確認しながら生きれば、
新型インフルエンザも、なんなく乗り越えることができる。
そう思った。
Everybody! Good Monday!
<結城義晴>
2 件のコメント
4月3日のブログのコメント欄で、「アルバートソンのオペレーションが、なぜ、ダメになったか?」について質問し、お答えいただいた、「スーパーマーケット従業員」という者です。
せっかく、懇切丁寧に教えていただいたのに、お礼を、まだ、していませんでした。 すみません。 ありがとうございました。 よくわかりました。
アルバートソンが、アメリカンストアーズを買収した後で、アメリカンストアーズの経営が悪かったことがわかった、とのこと。
恐ろしいことですね。 これからM&Aを考えようとする会社の人にとって、人ごとではないですね。
私は、スーパーマーケットの経理課所属ですので、会社の建て直しが間に合わずに、つぶれてしまうのが、なんとなく、イメージできる気がします。
資金繰りに苦しんだり、金利負担に苦しんだり、新たな借入れも、なかなか、できない。 新たな借入れができても、さらに増えた金利負担に苦しみ、資金不足になり、支払いが、もう間に合わない・・・こんな感じでしょうか。
それは、そうと、この「CDオーディオ・セミナー」第1回の (株)ライフコーポレーションは、過去最高益を出したそうで、この対談を企画された方の「先見の明」を感じます。
この(株)ライフコーポレーション岩崎社長と、結城義晴様の対談内容は、まさに、会社の利益を出すための方策や社内改革についてなのですから、いやはや、これは、聞き逃せない内容ですよね。
「CDオーディオ・セミナー」、今後も、どんな人が登場するか、どんないい話を聞かせていただけるか、大いに期待しております。
スーパーマーケット従業員さま
ご投稿、感謝します。
経理課所属とのこと。
私も出版社の経営者をやっていましたので、
資金繰りや借入の面で苦労しました。
良くわかります。
しかしその苦労を乗り越えて、
良い会社にしていくのです。
ライフコーポレーションも、岩崎社長も、
そんな苦労をのりきって、
ひとつ一つステップを踏んでいます。
CDオーディオセミナー、楽しみにしてください。
毎月、素晴らしい人をゲストに迎えます。