結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年05月22日(金曜日)

コーネル・ジャパン、賃金・労組・労務問題の核心に迫る

新型インフルエンザ、
東京・神奈川、埼玉でも感染者発生。  
今朝、満員の東海道本線に乗って銀座に出てきたが、
いかにマスクをしようとも、
あの接近状態で、20分、30分と寿司詰めにされては、
うつらない方がおかしい。

もう時間の問題で、全国に伝搬してゆく。

神戸・大阪は、良く時間を稼いでくれたと思う。
その間、さまざまな策を検討し、さまざまな対策を講じる余裕が出た。

そしてアメリカの研究所から発表された
1957年以前に生まれた人には抗体があるという仮説。
これは日経新聞が昨日の夕刊から報じていることで、
私はその1957年以前の生まれ。

弱毒性の認識も高まったようで、
公衆衛生のレベルを維持しつつ、
的確な対策を打ち続けることで、
一定の方向性が見えてきたように思う。

さて、昨日は、
コーネル大学リテール・マネジメント・プログラム・オブ・ジャパン二日目。
1

上田惇生先生、荒井伸也先生の講義に続いて、
朝から、弥富拓海先生による「賃金体系と福利厚生」の講義。
弥富先生が所長を務められる「賃金管理研究所」は、
日本の賃金問題の最高権威。
本田技研の賃金体系をつくってから、
日本中の企業の賃金の仕組みづくりを指導してきた。
その根底にあるのが、ドラッカー思想。  

全部つながっている。

yatomi

弥富先生の講義は、5つの大項目からなる。
1.企業は力強く成長しなければならない
2.お客様満足と従業員納得。
  従業員の満足ではなく、「納得」というのが、弥富先生の主張。
3.何を根拠に個別給料をきめるか
4.賃金と人事の制度の変遷。
5.労働基準法と福利厚生費の内訳

賃金問題が、オーソドックスに体系的に整理された。

つづいて、杉村司朗先生から「人材採用と育成」の講義。  
sugimura

いかに人事評価するかを中心に、その考え方、方法論が語られた。
採用に当たって重視する人材の要件。
管理者の役割。
人をやる気にさせるもの。
管理者のコンピテンシー。
業績評価の際、大切なこと。
①部下への非難、批判は業績向上にマイナス効果を持つ。
②褒めても、業績向上の効果はほとんど期待できない。
③明確な目標が示された時、仕事ぶりが著しく向上する。
このゼネラルエレクトリック社の指摘は面白かった。

2

さて、午後から、
UIゼンセン同盟会長の落合清四さんの講義。
「民主的労働組合と労使関係」  

労働者と、「働くこと」の意味。
労働組合の基本的な考え方と日本の労働組合の歴史。
この歴史的変遷は、本当に面白く、ためになった。
otiai
そして、健全な労使関係の構築のために何が必要なのか。

落合さんは語る。
「まず、労働組合と組合員との関係が第一により良くなること。
第二に、労働組合と経営者との関係がより良くなること。
そうすれば、経営者と従業員の関係もより良くなる」  
まさに正しい。

一般にマネジメントとは、
経営者が従業員をより良くマネジすることだと捉えられている。
しかしそれだけではうまくいかない。

だから企業には労働組合が必要なのだと思う。

最後は、木下潮音先生の講義。
「小売業の労務問題」  

kinosita

木下先生は、第一芙蓉法律事務所の弁護士。
労務問題の専門家で、小売業の専門家。
こんな先生、ほかにいない。

木下先生の講義は、直近で最重要の三つの問題。
①長時間労働問題。
②管理職と管理監督者の問題。
 これはマクドナルドの店長裁判として、話題になった。
③パートタイマーの活用問題。

ズバリずばりの指摘に、
受講生は、胸を打たれ、緊張が走った。

落合先生、木下先生の講義は改めて、詳述したい。

今回は、上田先生のドラッカーの講義が一本の芯になっていた。
その上で「ひと」の問題が、
さまざまの側面から浮き彫りになった。
問題解決の方向性も明らかになった。

私は、無性にうれしかった。

商業の現代化に向けて、
「人の問題」こそ、最も重要だと考えるから。  

そして第一期生を迎えたコーネル・ジャパンは、
それを果たした。

他の追随を許さないレベルで、それを成し遂げた。

私には、それが本当にうれしかった。

<結城義晴>  


2 件のコメント

  • 昨日は、とても素敵な講演をいただきましてありがとうございました。

    セブンーイレブン・ジャパンの近野 潤です。

    大事な事はアウトプットしなきゃということで、私も昨日日記に、21世紀は小売・流通・サービスの時代という内容で書かせていただきました。

    これから、毎日、結城先生のblogを楽しみにさせていただきます。

    今後ともよろしくお願いいたします!

  • 近野潤さま、昨日はありがとうございます。
    学習院マネジメントスクールの講義は2時間と決まっていますが、
    私は2時間半から3時間、話してしまいます。
    原因は、二つ。
    第一はマクラが長くなりすぎてしまうこと。
    マクラとは落語でいう前段のアドリブ。
    ご挨拶、自己紹介、マクラと、講演や講義は進みますが、
    最近、この[毎日更新宣言」を毎日書くようになってから、
    マクラが長くなってきました。

    もう一つの原因は、脱線が多くなること。
    これも[毎日更新宣言]が影響しているとは思いますが、
    しかし、脱線のほうが面白い、という聴講者の声もあります。

    昨日は、懇親会でもお話しして、
    まあ、予定の講義はできたかと思います。

    私には、伝えたいことがたくさんあります。
    昨日の講義でも、まだまだその一部しか語ることはできませんでした。

    機会があれば、もっともっとお話ししましょう。
    意見や情報も聞かせてください。

    ありがとうございました。

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