結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年05月27日(水曜日)

FMI発信のコモディティ低価格とカスタマーマーケティング

フード・マーケティング・インスティチュート。 
Food Marketing Institute。
「食品マーケティング協会」と訳す。
通称は、頭文字をとって、FMI。

米国内で、約1500社、2万6000店が参集する米国最大の協会。
大手チェーン企業から個人経営のスーパーマーケットまで。

FMI総年商は約3400億ドル、34兆円。  
日本の食品スーパーマーケットの年間商品販売額が17兆円だから、
その2倍の年商の協会ということになる。
これは全米の食品小売売上高の約75%を占める。

メーカーや関連産業から参加する「アソシエートメンバー」、
世界50カ国、200社を超える企業が加盟する「インターナショナル・メンバー」。
こういった協力者達の支援の下、世界中にメッセージを発信している。
日本には、 FMIジャパン事務局が、
社団法人日本セルフ・サービス協会の支援のもと、開設されている。

「ホーム・ミール・リプレースメント」の概念は、
1996年にFMIが発信し、
世界中に影響を与え、
現在のメイン・トレンドとなっている。

さて、そのFMIから発表されたこの1年間の情勢報告。
2009食品小売産業スピークス。  
「2009 Food Retailing Industry Speaks
Annual State of the Industry Review」

米国スーパーマーケットの3つの政策傾向。
①ナショナルブランドの低価格政策
②プライベートレーベルの強化政策
③ロイヤルカスタマー獲得政策  

FMI加盟企業の「低価格政策」は2007年の約70%だった。
それが2008年には78%に増えた。

ウェグマンズやホールフーズでも、
低価格を前面に出さなければならないと実行し始めた。

考えてみると、アメリカのスーパーマーケットでも、
日本のスーパーマーケットでも、
食品小売業で高いことを売り物にする店は、
ごくごくわずかだ。

宝石や骨とう品、ブランド品の店は、
価格が高いことを売り物にする場合がある。

しかし食品の店には、それがない。

超高級品でも、「あの商品がこんなに安い」が売り物になる。

今日の日経MJのコラムで、
ローソン社長の新浪剛史さんが語っている。
「コンビニは、価格対応も大切だが、
驚きを与えることが必要」

「700円、800円の商品を500円で提供できれば、
手を伸ばしてもらえる」

米国食品小売産業の第一のトレンドが、
低価格であることは、日本と変わりない。

第二のプライベートレーベルに関しては、
加盟企業の売上高に占める割合が、
2006年11.5%、2007年14.0%、2008年15.0%。

プライベートレーベルは、
消費と産業の一定の成熟化の結果、生まれてくる。
その意味では、アメリカやカナダという北米、
イギリスを中心にして先進ヨーロッパ、
そして日本も、同じ環境下にある。

第三のロイヤルカスタマー獲得政策は、
フリークエントショッパーズプログラムの本質的活用。
50.7%の加盟企業で顧客カードシステムを活用している。

ウォルマートをはじめとしたエブリデーロープライス政策に、
顧客情報を蓄積し、ロイヤルカスタマーとする政策で対抗しようという考え方。

私は、「コモディティ」と「ロイヤルカスタマー」とが、
大きな二つのキーワードと考えている。

だからその「マトリックス」をつくって、
事象を解説している。

名づけて、
「コモディティ×カスタマー」マトリックス。  

今回のFMIの報告は、図らずも、そのことを示した。

  <結城義晴>


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.