東北シジシー講演会と野菜相場高騰対応安売りとマクドナルド減収
今日は朝から、
東北新幹線に乗り込んで、
盛岡を目指す。
仙台に着く前に、
景色は真っ白。
ああ、東北はまだまだ、寒い。
あらためてそんな感慨を抱きながら、
結城ゼミ生の論文を読んだり、
パワーポイントをチェックしたり、
最後は急遽、原稿のゲラの校正をしたり。
2時間20分ほどで、あっという間に、
盛岡に到着。
30年ほど前に盛岡に通っていたころは、
いつも羽田空港からYS11に乗り込んで、
花巻空港に降りたものだった。
着陸直前には、必ず、
岩手山から吹き上げる風で、
機体がスーと持ち上がって、
それからガクーンと落ちる現象に見舞われた。
そんな盛岡が、
140分の時間距離に近づいた。
到着したら、㈱東北シジシーの鎌田晃さんが、
改札まで迎えに来てくれていた。
駅前のホテルメトロポリタン盛岡。
ここで㈱東北シジシー主催の「2013新春講演会」。
メンバー企業から、約300名が参集。
私は第一部で講演。
「2013スーパーマーケットのTide of Time」
今週月曜日の立教大学院サービスマーケティングが、
今年最初の講義だったが、
「講演」と呼べるものは今回が初めて。
気合が入った。
ご清聴を感謝したい。
しかし自分ながら、
今日はいい講演だった。
第二部は、岩田松雄さん。
リーダーシップコンサルティング代表で、
元スターバックスコーヒージャパン㈱社長。
昨年11月21日に名古屋の㈱折兼主催の「白熱教室」。
ご一緒して好評を博したが、
二度目の結城義晴・岩田松雄の共演となった。
岩田さんの講演テーマは、
「大競争時代の企業成長と組織再生」
私も一番後ろの席で聴講させてもらった。
もしかしたら、商人舎で、
岩田さんをお招きして、
講演会を開催できるかもしれない。
そう、考えたからだ。
とても感動的な講演だった。
さて、高値の野菜が続く。
そこで各地で「野菜のセール」が始まった。
気温低下の影響で野菜の入荷量が減り、
一部の価格が高騰しているため、
消費者の節約志向に応える。
これが名目。
日経新聞で報道。
まず、イトーヨーカ堂。
今日の9日から11日まで、
全161店で、
キャベツや長ネギなど18品目を、
通常より2割から6割値下げ販売。
期間中は通常の3倍の販売量。
約2000トン。
イオンは、グループの総合スーパーで、
野菜のディスカウント。
キャベツ、白菜、ジャガイモなど約20品目、
2~6割低価販売。
9~10日は関東の95店、
11~12日に関東を除く北海道から沖縄までの325店。
ダイエーは19~20日、
北海道を除く全国の約280店で、
野菜と果物の計20品目強。
これも2~6割のディスカウント。
相場商品を、高くなったら、安く売る。
それができる可能性は、
考えられる限り三つ。
第1は、自分の利益を度外視して、
仕入れて売る。
だから短期間、限定店舗。
つまり販促のためのマージンミックス説。
セブン&アイ・ホールディングスなら、
セブン-イレブンやヨークベニマル、ヨークマートなど、
グループを挙げて野菜の安売りができればいい。
イオンは、全国のマックスバリュで総力を挙げて、
これを展開できれば、拍手喝采。
ウォルマートやテスコなら、
そうするだろう。
期間限定、総合スーパーだけ。
これは集客の手段であり、
衣料品から住関連商品まで扱う土日型の業態だから、
展開する作戦ということになる。
第2は、年間契約で、
相場に関係なく調達できるから、
安く売れる。
調達説。
イトーヨーカ堂もイオンも、
農業経営に進出した。
だからそのメリットが出たということなのか。
しかしまだ、こんなことができるところまで、
生産量が高まってはいない。
第3は、取引先と利益減を分かち合う。
もちろん今回も協力を仰いでいるかもしれない。
だから量の限定がある。
通常仕入れのスーパーマーケットは、
青果物の相場が上がったら、
それに合わせて、
それでも利益を吐き出して売るしかない。
ここには画期的方策は、
考えられない。
革新的な農業経営をして、
産地直結するしか方策はない。
さてイトーヨーカ堂、イオンリテール、ダイエー。
いかなる手段で対応したのか。
今度、聞いてみよう。
もうひとつ大事なニュース。
「マクドナルド、9年ぶり減収」
日本マクドナルドホールディングスの2012年の既存店売上高。
9年ぶりにマイナス。
これは外食産業にとって、
ちょっとショックな報道。
「低価格メニューで客数は増えたが、
主力のビッグマックなど
価格の高いハンバーガー類の販売が振るわなかった」
「デフレ下の『勝ち組』とされた同社も、
消費者の節約志向を前に苦戦を強いられた」
2012年12月のマクドナルドの既存店売上高、
前年同月比8.6%減。
1~9月期が前年同期比2.2%減、
だから2012年度の減収が確定。
原田泳幸会長兼社長就任以来初。
つまり2004年以来のこと。
「かつて市場に驚きを与えた100円メニューは
今では珍しくない」。
原田さんの言葉。
しかし原田魔術にも陰りが見えてきた。
総合スーパーの野菜ディスカウントも同様だが、
この低価格消耗戦のなかで、
魔術はあり得ない。
今日の講演でも強調した。
最良のベーシックを、
全社・全店・全員で、
丁寧に販売していくしか、
道はない。
〈結城義晴〉