2008年百貨店調査、1位三越本店、2位伊勢丹本店、3位阪急うめだ、1000億円超は13店
ちょっと気になるニュース。
日本政策金融公庫が発表した消費者動向調査。
昨年10月1日に、農林漁業金融公庫が、
国民生活金融公庫、中小企業金融公庫、国際協力銀行と統合して、
株式会社として日本政策金融公庫が発足。
従って、農林水産業向けの情報提供という前提を認識したうえで、
消費者が食品を選ぶ基準の変化。
「安全性を優先する」と回答した人が19.8%。
前回調査の31.7%から、11.9%ものダウン。
「食費を節約したい」と回答した人は35.1%。
前回の34.6%より、0.5%増加。
今年7月1日と2日に、
2000人の20歳から60歳の男女にサンプル調査したもの。
安全性と経済性は、
本来、秤にかけられるものではない。
安全だから価格は高い、
安いから安全性は低い。
これは絶対にいけない。
農林水産省のミーティングでも、
私はこのことを強調し続けている。
生産者だけでなく、
流通業者、小売業者揃って、
日本で生産され、流通され、小売りされ、
消費される食品は、
まず安全であるという「安全保障」を、
業界全体で構築し、維持しなければならない。
これが確立されれば、
遠大なる計画であるが、
日本の人口問題も解決に向かう。
「安全な食品が提供される国」として、
世界中から移民の希望者が殺到するに違いないからだ。
私は、人種や宗教にかかわりなく、
日本という国をよく知って、
その上でこよなく愛してくれる人々を、
移民として受け入れるべきだと考えている。
「精神と意識」のうえでの日本人。
食品や水の安全性、おいしさは、
日本という国の最大の特徴の一つだ。
さて、昨日の日経MJの2008年百貨店調査。
「百貨店の店舗数は30年ほどのうちに半減する」などと、
物騒なことを言っている私だが、
「百貨店がなくなる」だとか、
「百貨店は社会的機能を喪失する」などとは、
全く考えていない。
店舗数が減って、残った百貨店の価値は、
どんどん高まっていくに違いない。
その2008年度の百貨店の動静。
まず、店舗別売上高。
第1位は、三越日本橋本店 2531億円。
第2位は、新宿伊勢丹 2460億円。
この2店が、2000億円を超えている。
第3位は、阪急百貨店うめだ本店 1729億円。
第4位は、池袋西武 1692億円。
第5位、横浜高島屋 1613億円。
第6位、日本橋高島屋 1465億円。
第7位、大阪高島屋 1421億円。
高島屋が、5位から7位までを占める。
第8位は、東急百貨店本店 1243億円。
第9位、松坂屋名古屋本店 1232億円。
第10位、東武百貨店池袋本店 1224億円。
1000億円以上は、13店。
第11位、近鉄百貨店阿倍野本店 1206億円。
第12位、そごう横浜店 1117億円。
第13位、小田急新宿店 1048億円 。
都心の最高立地、超巨大な店舗。
絶大なる信用と暖簾。
三越本店の売り場面積は、
13万6941㎡と圧倒的な一番店。
伊勢丹新宿本店は、6万4296㎡だから、
こちらは、圧倒的な売場販売効率を誇る。
年商500億円を超える百貨店は39店。
39位が、548億円の西武渋谷店。
年商300億円を超えるのは69店。
年商200億円以上は109店。
150億円超は、139店。
そして100億円超は、178店。
総合スーパー100億円店舗が、
ひとつの分岐点とすると、
大衆百貨店機能を果たす総合スーパーと、
百貨店との分かれ目は、
年商150億円という線か。
あれは明らかに百貨店。
これは明らかに総合スーパー。
それがはっきりすることこそ業態の差異性。
かつて、千葉商科大学の学生に、ある先生が、
「君たちの地域で、君たちの考える百貨店の代表はどこか」と聞いた。
「イトーヨーカ堂」が圧倒的に多かった。
もちろん学生に百貨店と総合スーパーの差異性を、
正確に説明しておかねばならないのだが、
説明を受けずとも画然とした違いが分かるものこそ、
業態の違いでなければならないと思う。
そしてはっきりと違いが分かる店でなければ、
業態として生き残ってはいけない。
私は、そう思う。
成熟社会のオーバーストア競争のなかで、
サバイバルするとは、そういうことだ。
さて日経MJの調査では、
増収を果たした百貨店の店舗が12店しかなく、
これが全体の5%にすぎないと指摘している。
そして伸びた店が、郊外・地方店舗ばかりと強調している。
これには私、賛成と異論がある。
賛成の理由は、
伸びた店が「ロイヤルカスタマー」をしっかり獲得している点。
西武所沢店の生井俊一店長の発言。
「私の店と思ってもらう取り組みを徹底する」
この「私の店」とはかつて西武百貨店の中核にいて、
西友を創業した上野光平先生の言葉。
私、うれしくなった。
「私の店」と考えてくれる顧客をつくる店は、
業態を超えて、残る。
これは真理。
一方、郊外・地方の店が伸びたというのはおかしい。
郊外・地方で縮んだ店は、伸びた店よりも圧倒的に多いからだ。
伸びた店12店を見たら、郊外・地方の店で、
これらは「ロイヤルカスタマー」を獲得する努力をしていた。
地方や郊外のほうが、相対的に客数が少ない。
だから「私の店」化の努力をした。
そう見るのが妥当だろう。
最後に一言。
百貨店は、店舗別に評価するべきで、
企業別に判断するのは危険である。
良い店が数多くあるのが、良い企業。
企業全体の力量というよりも、
個店別の力を足し算するのが百貨店。
チェーンストアの評価とは全く異なる。
念のために言っておくと、
だからといってチェーンストアが、
個店を大切にしないというのではない。
全体と個との関係性を最大限に最適化し、
それによって掛け算の成長を果たすのが、
本来のチェーンストアである。
<結城義晴>
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